Rebels on Pointe

監督:Bobbi Jo Hart
出演:トロカデロ・デ・モンテカルロ・バレエ
制作:2017年 カナダ / 本編90分 + 特典映像145分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD

サンフランシスコ・ダンス・フィルム・フェスティバルのベストドキュメンタリー賞など数々の映画賞を獲ったトロックスのドキュメンタリー映画です。Pride Month、かつ来日公演が始まる6月にアップするのがふさわしいと思い、長く積んでいましたがようやくアップできました。


商品情報

海外|DVD(Icarus Films:0854565002265) Release: 2018/02/13

特典映像:Behind-the-scenes, backstage, interview outtakes
FORMAT:NTSC / REGION:0

クレジット

A film by
Bobbi Jo Hart
出演
Robert ”Bobby” Carter Trockadero Dancer
Mary Brennan Dance Critic, The Herald Scotland
Chase Johnsey Trockadero Dancer
Gia Kourlas Dance Critic, The New York Times
James Whiteside Principal Dancer, American Ballet Theatre
Tory Dobrin Trockadero Artistic Director
Raffaele Morra Trockadero Dancer
Carlos Hopuy Trockadero Dancer
Isabel Martinez Rivera Trockadero Associate Director
Jennifer Faulkner Associate Executive Director, Alberta Ballet
Liz Harler Trockadero General Manager
Elena Kunikova Former Ballerina, Mikhailovsky Ballet, Choreographer
Paolo Cervellera Trockadero Dancer
Carlos Renedo Trockadero Dancer
Nobu Kumamoto Dance Business International, Japan Tour
Ludmila Raianova Former Ballerina, Bolshoi Ballet, Choreographer
Duncan Hendry Chief Executive, Festival Theatre Edinburgh

感想

映画の中に出てくるJapan Tourが2013年、3組のカップルの結婚が2015年とのことなので、数年にわたって撮影されたドキュメンタリーのようです。たくさんの映画賞をとったのも納得のドキュメンタリー、日本語字幕付きで見る機会があるといいのに、と強く思います(クローズドキャプションはついています)。多くの人に見てほしい。

Robert Carter, Chase Johnsey, Raffaele Morra, Carlos Hopuyら当時の主力ダンサーたちとその家族のドキュメンタリーでもありますし、芸術監督のTory Dobrinのドキュメンタリーでもあり、そしてもちろんカンパニーのドキュメントでもあります。ゲイの社会的地位の変化を示す映画でもあるし、ダンサーの、そして誰にでも当てはまる、身近にある人生のドキュメンタリーでもありました。メモを取り始めたら数秒ごとに一時停止しないといけないくらいに、ありとあらゆるものが含まれています。でも、決して散漫な印象ではありません。……まとめる力のない自分が恨めしいけれど、力強い生命力に溢れていました。

関係者や舞踊批評家のほか、アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパル、ジェームズ・ホワイトサイドのインタビューも(たぶん、ジェームズがインスタで紹介してたのをきっかけにDVDを買ったような)。そのインタビューは長くはありませんが、トロックスについてだけでなく、自分自身の話も少ししてくれていたのが興味深かったです。Tory Dobrinはカンパニーの話と世の中の話がメインだったのですが、カンパニーのダンサーがエイズで多く亡くなった時の話がね……(彼自身もパートナーを亡くしている)。日本公演の時に森下洋子さんと一緒にカンパニーで撮影した写真が出てきたのですが、森下さんから左側に写っているダンサーはみんなエイズで死んでしまったというのですから、当時のカンパニーを襲った恐怖の大きさはどれほどかと。

でも、現在のカンパニーはレッスンの映像を見ても本当に本当にみんな笑顔が絶えなくて楽しそうで、それが印象に残っています。エジンバラのツアー先だったか、Raffaele Morraが40歳、Chase Johnseyが30歳を迎えた誕生日を祝うケーキが、二人合わせて70歳!となっていたのがカンパニーの仲の良さを象徴している気がして。

指導しているのもミハイロフスキーやボリショイにいた往年のバレリーナでみっちりレッスンしているし、コメディでなくとも十分魅せられるのに、とも。でもその先生いわく、トロックスでやっているのはコメディだけれど、振付を強調して見せるのは本当に難しいことなのだ、と。そしてToryは、昔は客席に子供なんて1人もいなかったけど、今は子どもたちがたくさんいるし、初めての劇場公演に選んで来てくれる、クラシックバレエだと構えちゃうところを、気軽に見に来てくれるのだ、と誇らしげに。文化貢献度がものすごいですよね。

なにしろツアーの多いカンパニーなので(Morraいわく200日はツアーに出ているそう)カンパニー内にカップルができるのは自然のことで(そのかわり、外に恋人ができても会えないので続かない、とも)この時は3組が結婚したばかり。Toryが支援者(かな?)向けのスピーチで「昔はこんな日が来るなんて考えもしなかった」と本当に嬉しそうにカップルを紹介していたのにジンときました。

チュチュから山ほど羽を落としながら出て来る「瀕死の白鳥」はトロックスの看板演目ですが、この中でも一般の人むけのワークショップがあったり、Morraの踊りがたっぷり見られたり。Morraが引退が見えてきたダンサーの人生を語るのを聞いたあとでは、客席はどっとわくけれど、深みのある踊りに泣きそうでした。引退の話もそうだし、彼の場合はお父さんが認知症で、そのお父さんが見に来た公演だったというのもあるのかも。

数年前まで正しいポワントのサイズがわからなかったとMorraが言っていたのはけっこう衝撃的でしたが(今はその点の知識も蓄積されていると思いますが)、リフトされるから体重は気をつけているとJohnseyが言っていたり、男性がポワントで女性役で踊ることについてのアレコレも散りばめられています。トロックスはチュチュとポワントで踊りたい男性の受け皿でもあるのですよね。今はノンバイナリーとしてポワントで踊るダンサーが出てきたところだけれど、ポワントで踊る訓練をした女性ダンサーと枠を争うのは大変なことでしょうし。

少し前に読んだノンバイナリーのダンサーがポワントで公演に出演するというNYタイムズの記事にChase Johnseyの話もありました(ENBで2018年に女性役で舞台に立っている)。この記事も重すぎる腰をあげるきっかけだったのですが、やっぱりうまくまとめられませんね。もっと色々な話が出てきますし、私の想いも書ききれませんが、少しでも興味を持ってくださる方が増えますように。


Official Trailer