Building Bastille: The tangled and improbable story of the Opera Bastille

noimage

出演:カルロス・オット、ジャック・ラング ほか
制作:2021年 カナダ / 52分

録画

1989年のフランス革命200周年を記念して建てられたオペラ座バスティーユ建築にまつわるドキュメンタリー。とてもとても面白かったです。4ヶ月も前に放映されたものですが、ようやくまとめられました。


クレジット

Producer
Leslea Mair
Director
Leif Kaldor
出演
カルロス・オット Carlos Ott, 建築家
クレイグ・ロバーツ Craig Roberts, 建築家
ジャック・ラング Jack Lang, 元文化大臣
ケント・ローソン(建築家) / マイケル・ディトマン(舞台監督) / ジェラール・シャルレ(建築家) / セシリア・オット(カルロスの娘) / フィリップ・バルテレミ(建築家) / ジョシー・オット(カルロスの娘) / イェルク・キュメル(音響設計士)
字幕
米澤啓子

感想

革命200周年を記念する新しいオペラハウス設計のコンペに勝ったのは、全く無名のカナダの建築家、カルロス・オットでした。というところから始まるドキュメンタリー。

だいたい完全匿名のコンペなのに大統領の意向で有名建築家を入れ、オットの案をその有名建築家のものだろうと勝手に判断したのは審査員たちなのですが、その名前を発表したジャック・ラング(当時の文化大臣)の困惑した表情は笑えました。取り繕うことすらできないほど、青天の霹靂だったのでしょう。

この調子でオットはオペラハウス完成まで終始フランスの政治(左派のミッテラン大統領と右派のシラク パリ市長のちに首相、との対立)と建前に翻弄され続けていくのですが、彼の語り口がとてもチャーミングで飄々としているので、こちらもついクスリと笑いつつ見てしまいました。パリで昼夜なく働き続けるうちに妻とは離婚することになったのは、ご家族にとって大変な不幸でしたけれど。

コンペの最終候補に選ばれたから明日の便でパリへ来るようにと言われ、ファーストクラスでたどり着いたらパスポートが6ヶ月も前に切れていた、と(どうやってカナダを出国したのかしら?)いう波乱の幕開けが、まずすっとぼけています。他の最終候補者2人は実績もあり大勢のスタッフを抱えているけれど、彼はたった一人。そこでパリの建築学部の大学生たちに手伝ってくれるよう、最終候補発表の場でスピーチします。

集まった学生たちと大きな熱意で完成された最終案は数ヶ月ののちに採用決定。でも、750も集まった案の中で実現可能だったのはオットのこの案だけだったそう。この時の学生さんたちの中に妹島さんっぽい女性がいたのですが、wikiの略歴を見るとこの時期に留学はしていないっぽいですよねえ。

すぐ隣に貨物用の運河があるために地下深くの工事に時間がかかり、周囲と反対派から工事が進んでいないと思われるを避けるべく、コンクリートの柱を建てて工事が進んでいるように見せかけたというのも面白い。内装の工事中にパヴァロッティが音響を試しにやってきて大いに気に入った(そしてオットと意気投合した)こと、そして晴れやかなオープニングガラの様子まで、非常に面白いドキュメンタリーでした。

ガラの様子はちらりとしか写りませんでしたが、パトリック・デュポンが踊っていたのはベジャールかしら。ジェシー・ノーマンの独唱を嬉しそうに聴くオットの表情がなんともよかったです。

バスティーユの客席はどこからでも舞台がよく見えると聞きますし、音響も素晴らしい、ちっとも古びない魅力的なオペラハウスですね。次にパリに行くことがあれば(一体いつになるのかしら……)その時はぜひバスティーユでバレエ鑑賞したいです。