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放映:2021年1月5日 NHK総合 / 45分
https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/M2W7K9NX5J/

録画

吉田都さんの新国立劇場バレエ団芸術監督としてのスタートに密着した「プロフェッショナル 仕事の流儀」が放映されました。コロナ禍での船出は予想外の逆風になってしまったけれど、都さんの姿勢がダンサーにもスタッフにも大きな影響を与えているのは、外から見ていてもわかります。その内幕に少しだけでも触れられた貴重なドキュメントでした。


出演
吉田都
ケヴィン・オヘア(英国ロイヤル・バレエ団芸術監督)
ピーター・ライト(元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団芸術監督)
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
井澤駿(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
伊東信行(新国立劇場バレエ団チーフプロデューサー)
小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
福岡雄大(新国立劇場バレエ団プリンシパル)<
br /> 菅野英男(プリンシパル・ソリストコーチ)
速水渉悟(バジル役ソリスト)
語り
橋本さとし / 貫地谷しほり

感想

2020年8月の、「ドン・キホーテ」チラシ写真の撮影から番組はスタート。「チェックする側は初めてで、いいですね」という都さん、よい感じに力の抜けたの笑顔が素敵でした。でも、番組のその後はずっと、いつもの打ち込んでいる時のあの笑顔で、だからこそ対比が効いていたように思います。このドンキのチラシは今までの新国とは違うシックな中にも華やかが香るものでしたが、やはり都さんの意向が大きく反映していたのですね。

コロナ禍で、本来なら悩む必要はなかったはずの困難からスタートしたものの、芸術監督として着々と有言実行で”できることから”改革を進めていく都さん。ダンサーたちへの基礎の基礎を大切にした指導、ダンサーの休憩スペースやトレーニングルームの設置など、就任の挨拶でおっしゃっていたことに早速手をつけていかれるのが頼もしい。

この番組はもちろん都さんの芸術監督としての船出を追ったドキュメンタリーですが、それと同時に、新しい芸術監督を迎えたダンサーたち、そして今まであまり表には出てこなかった運営面や芸術スタッフの日々を垣間見ることができたという点でも非常に面白いものでした。

公演キャンセルに伴う払い戻しであるとか、海外からレンタルする装置や衣装、あるいは指導者の渡航についてなどの会議のこと、バレエマスター/ミストレスとの話しあいなんて、今までは見られなかったものですものね。

都さんご自身がこだわったミリ単位の踊りをダンサーたちにも求めて指導していく姿は、現役時代の彼女には見られないものでしたよね。以前は、どこまで踏み込んでいいのかと逡巡しているようにも思えたのが、「私のダンサーたち」への指導はそれはもう明快かつ容赦無くて、看板ペアの小野福岡組すら、歩くところから細かく指導が入るほど。鮮やかに芸術監督へと転身した都さんに改めて惚れ直す機会となりました。満を持しての就任だったのだな、とも。それに応えて主役からコール・ドまで全てのダンサーたちの踊りが、みるみる変わっていくのを見るのも鳥肌ものでした。

特に、都さんの指導を受けての米沢さんの探究心は本番直前まで限界を超え続けていて、この番組の裏テーマは米沢さんだったよね、と。別のパートナーとの舞台、腰を痛めて迎えた本番など足がすくむような事の中でチャレンジし続ける米沢さんのバレエへ身を捧げる姿にひれ伏し、彼女を信じて応援しつづけた都さんの胆力、二人の関係にも心を揺さぶられました。それは都さんがピーター・ライト卿と築いた関係とも重なるのかもだけど。

本当に本当に、よいドキュメンタリーでした。たぶん今後も折々に都さんの事はNHKが追ってくださるだろうけど、ダンサーたちのこともどうぞよろしくお願いします。そして公演映像もたっぷり放映してくださっていいのですよ。楽しみにしています。

そういえば、米沢さんと速水さん公演日、盛り上がる客席が映った時にABTの隅谷くんらしき人が映りましたよね。なんだか嬉しくて、ほっこりしてしまいました。