Romeo and Juliet / Ural Opera Ballet

ウラル・バレエ《ロメオとジュリエット》(サモドゥロフ振付)[DVD]

振付:ヴャチェスラフ・サモドゥロフ
出演:エカテリーナ・サパゴーワ、アレクサンドル・メルクシェフ ほか
収録:2019年4月7日 ウラル国立歌劇場 / 117分

画像リンク先:amazon.co.jp - 国内仕様DVD

ウラル国立歌劇場バレエによる「ロミオとジュリエット」はヴャチェスラフ・サモドゥーロフの振付で、2017年のゴールデンマスク賞で最優秀バレエ・パフォーマンス賞と最優秀男性ダンサー賞(マキューシオ役イーゴリ・ブリツィン)を受賞しているとのこと。


商品情報

海外|DVD(Bel Air Classiques:BAC-180)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2020/05/15

[海外盤] Release: 2020/05/01

海外|Blu-ray(Bel Air Classiques:BAC-580)

[国内仕様盤] Release: 2020/05/15

[海外盤] Release: 2020/05/01

クレジット

音楽
セルゲイ・プロコフィエフ Sergei Prokofiev
台本
Leonid Lavrovsky, Adrian Piotrovsky, Sergei Prokofiev, Sergei Radlov
based on the eponymous tragedy of William Shakespeare
振付
ヴャチェスラフ・サモドゥロフ Vyacheslav Samodurov
振付補佐
Klara Dovzhik
装置
アンソニー・マキルウェイン Anthony Macilwaine
衣装
イリーナ・ベロウソワ Irena Belousova
照明
サイモン・ベニソン Simon Bennison
指揮
パヴェル・クリニチェフ Pavel Klinichev
演奏
ウラル国立歌劇場バレエ・シアター管弦楽団 Orchestra of Ural Opera Ballet Theatre
映像
Denis Caïozzi

キャスト

ジュリエット:エカテリーナ・サパゴーワ Ekaterina Sapogova
ロミオ:アレクサンドル・メルクシェフ Alexandr Merkushev
マキューシオ:イーゴリ・ブリツィン Igor Bulytsyn
ベンヴォーリオ:グレブ・サガエフ Gleb Sageev
ティボルト:ヴァデイム・エレミン Vadim Eremin

Lord Capulet:Victor Mekhanoshin
Lady Capulet:Elena Safonova
Nurse:Nadezhda Shamshurina
Rosaline:Rafaela Hernandes Morel
Rosaline’s Suitor:Andrei Veshkurtsev
Paris:Maxim Klekovkin
Friar Laurence:Ivan Sobrovin
The Duke:Anton Guzeev
The Duke’s companion:Sofiya Tyupa
Molls:Anastasia Begaeva / Anna Dome / Anastasia Rakitina
Folk Dance Soloists:Miki Nishiguchi / Kyonsun Pak / Alexei Seliverstov / Tomoha Terada
Gavotte:Anna Kamchatnaya / Yulia Kruminsh / Renata Nizamutdinova / Anastasia Kerzhemankina / Gleb Alferov / Alexei Seliverstov / Mikhail Hushutin / Tomoha Teraha

# かな表記は輸入元による

感想

2016年3月初演、芸術監督のサモドゥーロフが振り付けた本作はバレエカンパニーが舞台。冒頭の様子から私たちが観ているのは舞台稽古か公演のようだとわかるのですが、あとは幕が上がる時や場面が変わる時に物語のスピードを邪魔しない程度に舞台裏的なものがちらりと出てくる程度。公演の内容とダンサーの現実がシンクロしているというわけでもなさそうだし、夢オチでもないし、ただの舞台裏つきの物語なのかな。それとも、このような悲劇は公演のごとく日々起きて、翌日もまた何事もなかったように繰り返されるのだということなのでしょうか。

装置は、真っ赤な集合住宅っぽい窓枠が3階建で並んでいて、スラムっぽくも見えるし、シェイクスピア・グローブ座の特徴的な建物のようでもあり。ここにカーテンや照明で変化をつけるのは効果的でした。でも一番の特徴は衣装でしょうね。ロミオたちやティボルトを含めた街の若者が着ている服に、ダヴィンチやラファエロのような聖母やキリストの絵が様々にプリントされていて、ちょっとびっくり。キャピュレット家や公爵たちの着ている服にも何か絵画っぽいプリントが施されていました。仮面舞踏会の女性たちが被っている帽子もユニークなんだけど(下のトレイラーでイロイロ見られます)、それよりトレーンのプリントが気になって気になって(でも結局わからない)。

キャピュレット家の舞踏会には公爵も招かれていて、まあ親戚のパリスとジュリエットに縁談が持ち上がるくらいなので変ではないですが、ちょっと珍しいかもですね。名家しかりとしたキャピュレット家に対し、ロミオたちは悪ふざけばかりの街の悪ガキのようでした。舞踏会を邪魔されて頭にくるのもわかります。お互い相手が目障りで喧嘩するのだけど、ティボルトは彼らのことを本気で憎んでいるわけでもなさそうで、「じゃこの辺で終わりにするか」って感じで手を差し出したりもするんですよね。でも、マキューシオがおちょくり続けるので、やっぱり怒ってしまう。

あとはキャピュレット夫人とティボルトの関係がはっきり明示されいて(夫がいる同じ部屋で愛人といちゃつくのは頭悪いと思うけど…黙認されているのかな)、ティボルトがロミオに刺し殺されるところに、キャピュレット夫人、ジュリエット、乳母の3人が居合わせた上に、キャピュレット夫人もショックのあまり死んでしまうという(見た感じショック死かな…)。そんな不幸が重なった状況で娘の縁談を無理やり進めるというのは、私にはちょっと違和感がありますが、そういうのを構わない時代や地域ということなのでしょう。ロザラインや僧ローレンスなども独自色がありました。

ジュリエット役のエカテリーナ・サパゴーワがすごくよかったです。マキューシオ役のダンサーがゴールデンマスク賞を受賞しているのですが、それなら彼女だって受賞してもおかしくなかったのでは…(ノミネートはされたものの、受賞はテリョーシキナだったようです)。背中が柔らかくてしなやかな踊りが綺麗だし、役を生きていてとても魅力的。この版のパリスは許嫁のジュリエットのことが本当に好きで拒否されるとがっくり落ちこんでしまうのだけど、それを見て優しく相手してあげるくらいには、ジュリエットも周囲が見えているのですよね。

ロミオ役のアレクサンドル・メルクシェフもはつらつとしたロミオでしたし、ゴールデンマスク賞のマキューシオ、イーゴリ・ブリツィンもキャラが立っていました。というかこのカンパニー、すごく水準が高いです。芸術監督サモドゥーロフの振付を踊りなれているというのもあるとは思いますが、みんな脚が強いし、アレグロの足さばきも鮮やか。底なしの体力でハードな振付を踊っているのに見ほれてしまいました。クラシックから外れた振付でも汚くならないし、古典を踊ってもきっと素晴らしいのだろうと思います。さすが連邦政府直轄バレエ団。

そのサモドゥーロフの振付ですが、クラシックをベースにバレエ的でない振付を取り込んで、けっこうな速さでパを詰め込んでいながら軽妙さもありました。ダンサーたちも振付をやすやすと踊りながら役を生きているので、見ている方が醒めるということもあまりありません。ただ、それがロミオとジュリエットの音楽を隅々まで生かして物語を伝える振付になっているかというと、それはまた別の話が気もしました。ラヴロフスキー版にもマクミラン版にも近しかったサモドゥーロフがどんな風に自分のロミジュリをつくるのか興味があったのですが、面白かったけどもう少し…と。

日本人ダンサーの西口実希さん、寺田智羽さんもご活躍。他のダンサーに見劣りしないどころか、とても魅力的でした。現在西口さんはプリンシパル、寺田さんはソリストなのだそうです。


Official Trailer

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