Marius Petipa: The French Master of Russian Ballet

マリウス・プティパ ~ロシア・バレエの偉大なるフランス人 [DVD]

監督:デニス・スネギレフ
出演:ピエール・ラコット、ナチョ・ドゥアトほか
制作:2018年 フランス / 52分

画像リンク先:amazon.co.jp - DVD

NHKプレミアムシアターで録画。プティパと彼が生み出したバレエを、現代においてそれらに携わる振付家たちの言葉などと共に紹介しています。国内盤はエリア・ビーから「マリウス・プティパ ロシア・バレエの偉大なるフランス人」のタイトルで、海外盤はIcarus FilmsからDVDがリリースされます。


商品情報

国内|DVD(エリア・ビー:AREA-0030) Release: 2020/06/30
海外|DVD(Icarus Films) Release: 2020/05/12

FORMAT:NTSC / REGION:ALL

クレジット

監督
デニス・スネギレフ Denis Sneguirev
出演
ユリア・ヤコヴレワ Yulia Yakovleva, 作家
パーヴェル・ゲルシェンゾン Pavel Guerchenzon, バレエ評論家、舞踊史研究家、元マリインスキー劇場芸術監督補佐
ピエール・ラコット Pierre Lacotte, 振付家
ローラン・イレール Laurent Hilaire, 国立モスクワ音楽劇場バレエ芸術監督
ヴィクトル・ボチャロフ Victor Botcharov, 舞踊史研究家
ルドルフ・ヌレエフ Rudolf Nureyev, 振付家 *アーカイブ
ヴァレンティナ・ボネッリ Valentina Bonelli, 舞踊評論家、舞踊史研究家
アレクセイ・ラトマンスキー Alexei Ratmansky, 振付家
イド・アラド Ido Arad, 指揮者
ミハイル・ユロフスキ Mikhail Jurowski, 指揮者
ナチョ・ドゥアト Nacho Dato, 振付家
ポリーナ・セミオノワ Polina Semionova,ベルリン国立バレエ プリンシパル
タイラー・ペック Tiler Peck, ニューヨーク・シティ・バレエ プリンシパル
ニコレッタ・マンニ Nicoletta Manni, ミラノ・スカラ座バレエ プリンシパル
映像
  • 「眠りの森の美女」デジレ王子のヴァリアシオン:アルバン・レンドルフ Alban Lendorf, アメリカン・バレエ・シアター プリンシパル
  • 「ファラオの娘」ボリショイ・バレエ(ピエール・ラコット振付)
  • 「ラ・バヤデール」パリ・オペラ座バレエ(ルドルフ・ヌレエフ振付)
  • 「ラ・バヤデール」太鼓の踊り:ロシア帝室バレエ(1909年)
  • 「眠りの森の美女」オーロラ姫のヴァリアシオン:カサンドラ・トレナリー Cassandra Trenary, アメリカン・バレエ・シアター ソリスト
  • 「眠りの森の美女」キーロフ・バレエ(アラ・シゾーワ主演)
  • 「眠りの森の美女」ベルリン国立バレエ(ナチョ・ドゥアト振付):ポリーナ・セミオノワ/マリアン・ヴァルター(リハーサル)
  • 「白鳥の湖」ミラノ・スカラ座バレエ(アレクセイ・ラトマンスキー振付):ニコレッタ・マンニ/ティモフェイ・アンドリヤシェンコ
  • 「ファラオの娘」アスピシアのヴァリアシオン:エフゲニア・オブラスツォワ Evgenia Obraztsova, ボリショイ・バレエ プリンシパル

感想

プティパについては昔読んだ自伝(仏語で書かれたオリジナルの原稿が失われてしまったため、現在手に入るのはロシア語版から重訳されたものとのこと)と、各作品における有名なエピソード程度の知識しか持ち合わせていなかったので、とても興味深く見ました。プティパのターニングポイントとなった作品を軸に、歴史的背景をからめつつ 人間臭さも添えて紹介したドキュメンタリーで、「ファラオの娘」「ラ・バヤデール」「眠れる森の美女」「白鳥の湖」の4作品が取り上げられています。

29歳でダンサーとして行き詰まっていたプティパは借金を抱えた上に警察に追われていたところ、パリ・オペラ座のスターだった兄(リュシアン・プティパ、ですよね)のおかげでオーディション免除にてロシア帝室バレエに招かれ、4歳サバをよんでサンクトペテルブルクに向かった、というオープニングだけで、情報量がすごくないですか(笑)。

帝室バレエでは毎シーズン新作が3つかかっていたということなので、プティパの長年にわたる多作ぶりも頷けるというものです。ドキュメンタリーの半ばくらいまで、ナレーション(NHK版=翻訳:東 多鶴恵/字幕:錦織 文)はプティパに対して冷笑的に思えました。高待遇のダンサーとしてしばらく活躍したのち劇場付きの振付家となった彼は(ただし主席への道は遠い)、生き残るために皇帝のみならず劇場支配人、平土間を埋める軍人たち観客などあらゆる方面に気を使った作品を作っていきます。

初期の振付作品は決して評価のよいものではなかったそうですが、主席振付家就任から8年後の「ラ・バヤデール」影の王国が大きな感動を呼び、イタリア人バレリーナがもたらした驚異的技術に触発されてより複雑な振付を行なった「眠れる森の美女」で、”勤勉な振付家から72歳の芸術家へ”変貌。ここでナレーションのトーンも一変しました。プティパとともにこの作品を成功へと導いた帝室劇場新支配人フセヴォロシスキーについてもしっかり紹介しています。もちろん、チャイコフスキーについても。そして最後に「白鳥の湖」。

それぞれの作品を現代で手がけたラコット、ヌレエフ(アーカイブ)、ドゥアト、ラトマンスキーの様子も興味深いです。それぞれの関わり方は復元であったり改訂であったりいろいろですが、特に、時代にフィットするような改訂を手がけたドゥアト(とそれを踊るポリーナ・セミオノワ)と、プティパの振付を復元する方向へ向かったラトマンスキー(とそれを踊ったタイラー・ペック[試演]とニコレッタ・マンニ)の対比は面白い。ポリーナとマリアン・ヴァルターの眠りリハも、スカラ座の白鳥(マンニ/アンドリヤシェンコ)も、映像化はされていないし、NYCBのタイラーにプティパの振付を踊らせる無茶振りも貴重ですね。

1909年のロシア帝室バレエによる「ラ・バヤデール」太鼓の踊りの映像も貴重でした。ABTの二人が踊っていたのはラトマンスキー版で、そんなによく踊れてはいなかったと思うけど、プティパ+ラトマンスキーの振付を現代に踊るハードさ、と見ることはできるかも。トレナリーはオーロラ姫が全幕初主演だったような記憶があるのですが(ちょっと自信なし)、そういう時期の彼女を見られるのはABTファンには貴重といえるかも。

なお、エリアビーからは「マリウス・プティパ ロシア・バレエの偉大なるフランス人」のタイトルで、日本語字幕(訳:古田由紀子)つきで発売とのこと。手がける人が違うので、字幕から受ける印象もまた変わってくるかもしれません。こちらのジャケットにも使われていますが、本編でも当時の写真に彩色したイメージが多用されていて、(少々鮮やかすぎるかなと思いつつ)はっとする美しさがありました。


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昨年リリースされた本で私は未読ですが海外amazonの口コミはとても評判がよいですね。読んでみようかな…

Official Trailer

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