Beethoven Project – A Ballet by John Neumeier / Hamburg Ballet

ハンブルク・バレエ 『ベートーヴェン・プロジェクト』

振付:ジョン・ノイマイヤー
出演:アレイズ・マルティネス、エドウィン・レヴァツォフ ほか
収録:2019年10月3,4日 バーデン・バーデン祝祭劇場 / 134分

画像リンク先:amazon.co.jp - 国内仕様DVD

NHKプレミアム・シアターで録画。DVD/Blu-rayも発売されていますし、コロナ禍でのオンライン配信でも見ることができました、、よね。ベートーヴェン生誕250年を記念して制作され(初演2018年)、2019年10月のバーデン・バーデン祝祭劇場で収録されたもので、シーズン前にヒューストン・バレエへ移籍した有井舞耀さんがゲストとして出演しています。


商品情報

海外|DVD(C Major Entertainment:753608 / King International:KKC-9539)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2020/04/20

[海外盤] Release: 2020/03/20

海外|Blu-ray(C Major Entertainment:753704 / King International:KKC-9538)

[国内仕様盤] Release: 2020/04/20

[海外盤] Release: 2020/03/20

クレジット

音楽
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven
振付・照明・衣裳
ジョン・ノイマイヤー John Neumeier
舞台美術
ハインリヒ・トレーガー Heinrich Tröger
指揮
サイモン・ヒューイット Simon Hewett
ピアノ
ミハウ・ビャルク Michał Białk
ヴァイオリン
エルミール・アベシ Ermir Abeshi
チェロ
テオドール・ルス Teodor Rusu
弦楽四重奏
シャンツー・カロ=ステムラー Xiangzi Cao-Staemmler, ヴァイオリン
ヘルムート・ヴィンケル Helmut Winkel, ヴァイオリン
ベンジャミン・リヴィニス Benjamin Rivinius, ヴィオラ
マリオ・ブラウマー Mario Blaumer, チェロ
演奏
ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団 Deutsche Radio Philharmonie
映像監督
ミリアム・ホイヤー Myriam Hoyer

構成・キャスト

第1部「ベートーヴェン断片集」 Beethoven Fragments
エロイカ変奏曲 Variations and Fugue in E-flat major, Op.35 ”Eroica Variations”

ベートーヴェン:アレイズ・マルティネス Aleix Martínez
ベートーヴェンの理想:エドウィン・レヴァツォフ Edvin Revazov
ベートーヴェンの甥:ボルハ・ベルモデス Borja Bermudez
Beethoven’s Friends, Siblings, Fantasies and Fears:Matias Oberlin, Nicolas Gläsmann, Madoka Sugai, Christopher Evans, Greta Jörgens, Georgina Hills, Xue Lin, Lizhong Wang, Leeroy Boone, Marià Huguet, Florian Pohl
Trolley Man:Vladimir Kocic

ピアノ三重奏曲 ニ長調 Op.70-1「幽霊」 Piano Trio in D major, Op. 70 No.1 ”Ghost”, 2nd movement

ベートーヴェンの母:パトリシア・フリザ Patricia Friza
Ensamble

ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3 Piano Sonata in D major, Op.10 No.3, 2nd movement, excerpt

Ensemble

弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132 String Quartet No. 15 in A minor, Op.132, 3rd movement

ベートーヴェンの“はるかな恋人”:アンナ・ラウデール Anna Lauderer
Ensemble

第2部「間奏曲 - プロメテウスの創造物」 Intermezzo
プロメテウスの創造物 Op.43 The Creatures of Prometheus, Op.43, excerpts

プロメテウス:アレイズ・マルティネス Aleix Martínez
創造物:菅井円加 Madoka Sugar / ボルハ・ベルモデス Borja Bermudez
アポロ:エドウィン・レヴァツォフ Edvin Revazov
テルプシコレ:アンナ・ラウデール Anna Lauderer
Mythical Figures:Haylay Page, Florian Pohl, Priscilla Tselikova, Mathieu Rouaux, Frederike Midderhoff, Lizhong Wang
The Society:Ensemble

第3部「エロイカ」 Eroica
交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」 Symphony No.3 in E-flat major,Op.55
1st movement

有井舞耀 Mayo Arii, Guest Soloist - ワン・リジョン Lizhong Wang
パク・ユンス Yun-Su Park - マルク・フベーテ Marc Jubete
Anna Laudere - Edvin Revazov
Ensemble

2nd movement

Anna Laudere - Edvin Revazov
Ensemble

3rd movement

Emilie Mazon - Alexandr Trusch
Greta Jörgens - Christopher Evans
Ensemble

4th movement

Anna Laudere - Edvin Revazov
Mayo Arii (guest soloist) - Lizhong Wang
Yun-Su Park - Marc Jubete
Madoka Sugai - Marià Huguet
Emilie Mazon - Alexandr Trusch
Nako Hiraki - Christopher Evans
Xue Lin - Matias Oberlin
Greta Jörgens - Alessandro Frola
Patricia Friza - Borja Bermudez
Kristina Paulin - Mathieu Rouaux
Hayley Page - Florian Pohl
Ana Torrequebrada - Leeroy Boone
Mengting You - Marcelino Libao
Viktoria Bodahl - Eliot Worrell
Charlotte Larzelere - Nicolas Gläsmann
Olivia Betteridge - Pietro Pelleri
Georgina Hills - Lasse Caballero
Yaiza Coll - Illia Zakrevskyi
Giorgia Giani - Louis Haslach
Priscilla Tselikova - Emiliano Torres
Frederike Midderhoff - Roberto Pérez
Chiara Ruaro -- Lennard Giesenberg

感想

ベートーヴェン生誕250年を記念して制作されたこの作品は、ノイマイヤーがベートーヴェンの音楽で作った初めての全幕ものだそうですね。最近読んだ山本康介さんのご著書「英国バレエの世界」の中で、山本さんが”振付に使う音楽を選ぶ時は曲を聴きながら心の中で作曲家にお伺いをたてるのだけど、ベートーヴェンは絶対に首を縦にふらない(大意)”というようなことを書かれていて、ノイマイヤーのことを連想しました。ノイマイヤーでも、ベートーヴェンからYESを引き出すのにずいぶん時間がかかったのだな、と。

第1部はベートーヴェン断片集の名の通り、その人生の断片が、母や恋人、甥の姿が、ところどころで立ち現れます。アレイズ・マルティネズは、純粋で自らの旋律の中でだけ自由でいられるかのようなベートーヴェンでした。難聴になってからはピアノの振動から音を感じ取っていたということを思い出させる、オープニングのピアノとの一体感。自らの内にうまれる旋律をいとおしみ、輝かしく目の前にある理想=エドウィン・レヴァツォフを抱くけれど、それはふいと逃げてしまう。

舞台上にはピアノ(ミハウ・ビャルク)がいて、弦楽器が加わり、そして耳に変調をきたすとピアニストもそっと去り(去り際に二人が交わす視線の淋しく痛々しいこと!)……。大道具さん?のVladimir Kocicが、黄金の竪琴を抱えて登場する頃には、空だったピットにオーケストラのメンバーが着席し、休憩なしで第2部へ。「プロメテウスの創造物」について、人間に火を与えた神話のそれではなく18世紀に書かれた小説を基に作られたバレエだと、Patricia Frizaがマイクで観客に案内をして去っていきます。

ここでのマルティネズは創造主たるプロメテウスでありベートーヴェンでもあるのですよね。創造物たる菅井円加さんとボルハ・ベルモデスを人の形につくりあげ、アポロ=エドウィン・レヴァツォフとテルプシコレ=アンナ・ラウデールが彼らに学問と芸術を与えて洗練させていくという内容は、インテルメッツォの名の通り、第3部へ橋渡ししつつ、箸休め的な気安さもありました。菅井さんの身体能力の高さと無邪気な笑顔が生かされた創造物は見応えあり。なんという多幸感を与えてくれるダンサーでしょうか。シラーの言葉が映写された幕を、マルティネズが見つめるところで第2部は終了。

第3部は交響曲第3番「英雄」によるシンフォニック・バレエ。有井舞耀さんがソリストの一人をつとめる第1楽章に続き、葬送行進曲の第2楽章はラウデールとレヴァツォフ。恋人かもしれないし親子かもしれない、死神にとりつかれた人間のようでもあるし、運命に翻弄される人間のような瞬間も。

第2部と第3部には、第1部で見られた振付がところどころに出てきて、それが彼が第1部で創作した音楽ということなのかな。衣装の色のリフレインにもそんな意味合いがありそうです。そういえば第3部の第4楽章の男性陣は、ベートーヴェンと同じ白い首輪のようなタイのような布を巻いて出てきたけれど、あれにはどんな意味があるのかな(そしてベートーヴェン本人は黒Tシャツにジーンズという姿で踊っていた…)。

菅井さんの他には、ボルハ・ベルモデスがとても気になりました。ラインが美しくて表現力があって踊りも綺麗ですよね。アレイズ・マルティネズも怪演で、身体能力の高さが存分に生かされたベートーヴェンでした。

Official Trailer

vcvc