La Bayadère / Mikhailovsky Theatre St Petersburg

バレエ 「ラ・バヤデール」[DVD]

振付:ナチョ・ドゥアト
出演:アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、ヴィクトル・レベデフ、アンドレア・ラザコワ ほか
収録:2019年11月14,16日 ミハイロフスキー劇場(サンクトペテルブルク) / 本編98分 + 特典映像12分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD

Bel Airのリリース予定リストに入っていたのでいずれDVD/Blu-rayが発売されると思いますが、いち早くNHKプレミアムシアターで放映されたのを見ました。ドゥアトが改訂した「ラ・バヤデール」、世界初演から1ヶ月ほどたったところで収録されたもの。

(2020.10.17追記)2020年11月にBel Air ClassiquesよりDVD/Blu-rayが発売になります。


商品情報

海外|DVD(Bel Air Classiques:BAC-182)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2020/11/26

[海外盤] Release: 2020/11/06

海外|Blu-ray(Bel Air Classiques:BAC-482)

[国内仕様盤] Release: 2020/11/26

[海外盤] Release: 2020/11/06

クレジット

原振付
マリウス・プティパ Marius Petipa
改訂振付
ナチョ・ドゥアト Nacho Duato
音楽
ルドヴィク・ミンクス Ludwig Minkus
台本
Marius Petipa / Sergey Khudekov
美術
アンゲリーナ・アトラギッチ Angelina Atlagić
照明
ブラッド・フィールズ Brad Fields
指揮
パヴェル・ソロキン Pavel Sorokin
演奏
ミハイロフスキー劇場管弦楽団 Orchestra of Mikhailovsky Theatre
撮影
アンディ・ゾマー Andy Sommer

キャスト

ニキヤ(寺院の舞姫):アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ Angelina Vorontsova
ソロル(戦士):ヴィクトル・レベデフ Victor Lebedev
ガムザッティ(王女):アンドレア・ラザコワ Andrea Laššáková
王(ガムザッティの父):アンドレイ・カシャネンコ Andrey Kasyanenko
大僧正:セルゲイ・ストレルコフ Sergey Strelkov

感想

早いです、とにかくスピーディ。この作品の前にプレミアムシアターで放映されたプティパのドキュメント(後日アップ)の中で、ドゥアトが「みんな言わないけど、古典バレエは長すぎるよね」的な事を言っていましたがその言葉の通り、音楽のテンポを早めて、枝葉を刈って物語が進みます。神殿崩落もなしで、影の王国まで。結果、NHKのイントロダクションを入れても98分ですよ奥様。

私の「ラ・バヤデール」最初のお楽しみはニキヤの登場シーンの階段を降りる爪先の美しさなのですが、幕が開いた時にドゥアト版には神殿の入り口に階段がないのがわかり、しかも舞台中央奥、聖なる火(ヴィデオプロジェクション!)に重なるように配置されていたので、その時点で「あー、ドゥアトはそこに重きを置かないんだね、わかった、古典的お約束は忘れる」となりました。それでもちょいちょい思い出してしまうのですが、あれは私にとっては、とても分かりやすい「記号」だったのでした。

振付はドゥアトらしく腰を深く落としたポーズが入ったり、インド伝統舞踊のモチーフが入ったりと、プティパをベースにかなり手が入っていました。先に改訂した「眠れる森の美女」と比較しても、より自由に作っているように思います。音を無駄にせず、みっちり踊りで埋め尽くされていて、通常は立ち役であるラジャや大僧正、兵士や宮廷の男性陣も踊ります。2幕婚約式の参列者たち以外は、みんな踊るのではなかろうか。マイムも極力踊りに転化されているのが面白いところですが、元のマイムの意味を知らないと、振付を見て意味を取るのは難しいかな。ラジャとハイブラーミンの密告のやりとりもダンスで表現するのは面白いですよね。それで再認識したのですが、オーソドックスな版は意外と男性の踊る役が限られていたのだな、と。

最初に見た時は音の早さに驚いて、踊りが流れがちなところも目について慌ただしく感じたのですが、何度も見ているうちに、これはこれで、、となってきました。それでも踊りが流れちゃうのはもったいないから、再演を重ねるうちに上手い工夫をしてくれるとよいな、とは思います。影の王国はもう少しがんばってほしいかな。いろいろ端折ったためにニキヤとガムザッティの対決など、心の機敏が欠けて見えたところがいくつかあったのも惜しい。でもこれは、個々の役の掘り下げに起因するのか、ダンサーたちの経験値なのか、それともドゥアトがそこに重きを置いていないのか、そのあたりは分からないですけどね。初演から1ヶ月ということもあるかもしれないし、あるいは見ている私の感覚がまだ追いついていないだけかもしれない。

ダンサーで印象に残ったのはソロル役のレベデフ。ドゥアトの振付も美しくこなすし、跳躍も高くて綺麗。かかとをついた状態でも自分より背が高いガムザッティ役のラザコワのサポートもよかったです。3幕の、ヴェールのサポートもすごく綺麗だった。また別の役で見てみたいです。ヴォロンツォーワのニキヤは、年頃の普通に恋する女性という感じで、あまり神に仕える踊り子という感じではなかったような。花かごの踊りの後半が省略されていたけど、それも見たかったな…。彼女はクラシックチュチュの方が似合っていて、ソロルが見る幻だからか、3幕は怒りを胸に秘めたまま踊っているように見えました。

ガムザッティ役のラザコワは、深窓の令嬢っぽさがとてもよいですね。とても華やかでした。収録日の関係か、影のソリスト(2nd)でも踊っていたのにはびっくり。あの影たちが、男を恨むウィリのようにみんなソロルにゆかりある女性だったら怖いよね、とか思ってしまいました(ガムザッティは死んでないけども…)。ちなみに、作品指導者にはアユポワ、ハビブリナ、ミャスニコフと共にサラファーノフの名前もクレジットされていました。

印象的だったのが、コール・ドにいたるまでのダンサーたちのプロポーションのよさ。なんというか、ボリショイやマリインスキーを見た時の「プロポーションいいなー」とも、欧州カンパニーの「プロポーションいいなー」とも違うのですよね。カンパニーの規模としては少しコンパクトになっていますでしょうか。舞台に乗ってる人はそこまで多くなかったように思いました。ドゥアトが振り付けるなら、あまり規模が大きくない方が面白いものができるとは思うけれど。

このプロダクションで一番気に入ったのは舞台美術と照明の美しさで(ドゥアト版眠りと同じスタッフ)、これについてはいくらでも語りたい気分。本当にため息が出るほどに美しい衣装のオンパレードだし、装置も美しかったです。ガムザッティの目の覚めるようなブルーの衣装も、ニキヤのシフォン遣いの衣装も素敵。ソロルの衣装も豪華でしたよねー。光沢のあるパンツはシワが寄ってしまうのが残念だったけど、よく見ると膝のあたりに装飾が施されていました。サリーを意識した豪華な衣装たち、ハイブラーミンやラジャの衣装も豪華豪華。また、影の王国の影たちに、淡い青かしら?のチュチュというのは初めて見た気がするけど、それも素敵でした。色だけでなくディテールがまた美しくて。デザイナーのアトラギッチのインスタグラムで、衣装の写真をたっぷり見られるので、ぜひぜひご覧になって。

影の王国のバックが星空というのも珍しいかしら。そして、全幕を通して照明の美しさは特筆ものです。照明デザイナーのブラッド・フィールズはABTの照明ディレクターなのですが、ドゥアト作品も数多く手がけているようですね。経歴見たら、あの作品もその作品も彼だった。

最初に見た時は気づかなかったのですが(エンドクレジットに驚いてすぐ見直した)太鼓の踊りをタチアナ・ミリツェワが踊っていました。びっくり!田中美波さんはジャンペやグラン・パ・クラシック、影の1列目台など、大活躍でしたね。
またプロダクションが成熟してきたところで、別のダンサーでも見てみたい作品となりました。


Official Trailer


この記事の更新履歴

  • 2020.10.17 - DVD/Blu-ray情報追加
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