At the Hawk’s Well / Ballet de l’Opéra national de Paris

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振付:アレッシオ・シルヴェストリン
演出:杉本博司
出演:リュドミラ・パリエロ、ユーゴ・マルシャン、アレッシオ・カルボーネ ほか
収録:2019年9月22日 パリ・オペラ座 ガルニエ宮 / 40分

録画

NHK Eテレで放映された「瑠璃の舞台〜杉本博司 オペラ座への挑戦〜」、その再放送に続いてこちらの公演映像が放映されました。見る機会はないものと諦めていたので、収録されていたのは嬉しかったです。ドキュメンタリーがよいガイドラインとなりました。ちなみにこの公演はフォーサイスの「Blake Works」とのダブルビルとして2019年9月19日から10月15日まで上演されたものです。


クレジット

原作
ウィリアム・バトラー・イェイツ William Butler Yeats
舞台・照明演出
杉本博司 Hiroshi Sugimoto
振付
アレッシオ・シルヴェストリン Alessio Silvestrin
音楽・音響制作
池田亮司 Ryoji Ikeda
衣裳
リック・オウエンス Rick Owens
ビデオ制作
杉本博司・池田亮司
照明
杉本公亮
技術アシスタント
徳山知永

キャスト

鷹の精(鷹姫):リュドミラ・パリエロ Ludmila Pagliero
若者(クーフリン):ユーゴ・マルシャン Hugo Marchand
老人:アレッシオ・カルボーネ Alessio Carbone
老人(後半):観世銕之丞

感想

創立350周年を迎えたシーズン最初の演目の1つとして上演された「鷹の井戸」。折々に説明字幕が入りました。プレミアムシアターなどで慣れた入り方でなく、美術か古典芸術的な入り方っぽかったような(タイミングなど)。

冒頭のコール・ドのシーンは先日のドキュメンタリーの中で、杉本の指示で踊るダンサーのシルエットを見せるためダンサーに照明は当てないで、ということだったのですが、映像で見ると暗い中で動いているのがぼんやり見えるという感じで、私がイメージしていたのとは少し違う様子でした。ダンスを見たくて来ている層には、少しフラストレーションが溜まったのでは。引きの映像で見ると、そこまで暗くもないのかなと思ったりもしたのですが、あんなに苦労して独特な振りを身体に入れたダンサーたちよ…と少々気の毒になってしまいました。

老人役のカルボネは、振りに込められた意味がよくわかる踊り。彼が引退を前にこの役にいかに注力したかが伺えました。クリアで静謐だけれど雄弁で美しいポーズ。そしてそこへ若者役のマルシャンが入ってくると…ユーゴの輝ける存在感と若さが際立つ振付とで、二人は太陽と月のようにも見えるのでした。井戸を守る鷹として登場するパリエロとマルシャンはpddで井戸を巡る攻防を示しているのかなと思うのですが、振付の激しさのわりに伝わりにくいような。ダンサー三人にはそれぞれのキャラクターを踏まえた振付がなされているようですが、ダンスの目線だと少し物足りなく感じました。おそらく、杉本やシルヴェストリンの中にある様式美に当てはめるとわかりやすいのでしょうけれど。

リック・オウエンスの衣装は、折り紙をモチーフにした大きな衣装と、精霊たちの黒の衣装がユニークで楽しかったです。老人役がカルボネから観世銕之丞へと変わってのエンディングも評価は様々かと思いますが、客席に背を向けて座っている若者=ユーゴの衣装は照明に映えて確かに美しい。

照明はストロボのような激しい光やチカチカ細かく点滅するところが、私はちょっと苦手でした。杉本の写真作品をイメージしたホリゾントは美しかったし、その審美眼にかなったものがたっぷり詰まっていたので、杉本好きでこの公演を見た人は満足したのではないでしょうか。個人的には、どうしてもダンス作品として見てしまうので、杉本の宇宙から踏み出した演出でも見てみたかった、とも。