New Year Ballet /
出演:新国立劇場バレエ団
収録:2020年1月11,12日 新国立劇場 オペラパレス / 85分
録画
新国立劇場バレエの今年のニュー・イヤー・バレエがNHKプレミアムシアターで放映されました。「セレナーデ」もばっちり放映されて、カンパニーがバランシン財団に信頼されている証かな、と嬉しく思いました。放映も毎年恒例になったら嬉しいな。
クレジット
- 指揮
- マーティン・イェイツ Martin Yates
- 演奏
- 東京交響楽団 Tokyo Symphony Orchestra
演目
- 「セレナーデ」 Serenade
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Pyotr Ilyich Tchaikovsky
振付:ジョージ・バランシン George Balanchine
ステージング:パトリシア・ニアリー Patricia Neary寺田亜沙子 / 柴山紗帆 / 細田千晶 / 井澤 駿 / 中家正博
- 「ライモンダ」から パ・ド・ドゥ Raymonda, Pas de Deux
音楽:アレクサンドル・グラズノフ Alexandr Glazunov
振付:マリウス・プティパ Marius Petipa
改訂振付・演出:牧阿佐美小野絢子 / 福岡雄大
- 「海賊」から パ・ド・ドゥ Le Corsaire, Pas de Deux
音楽:リッカルド・ドリーゴ Riccardo Drigo
振付:マリウス・プティパ Marius Petipa木村優里 / 速水渉悟
- 「DGV」 DGV: Danse à Grande Vitesse, 日本初演
音楽:マイケル・ナイマン Michael Nyman
振付:クリストファー・ウィールドン Christopher Wheeldon
美術:ジャン=マルク・ピュイサン Jean-Marc Puissant
照明:ジェニファー・ティプトン Jennifer Tipton第1区:本島美和 / 中家正博
第2区:小野絢子 / 木下嘉人
第3区:米沢 唯 / 渡邊峻郁
第4区:寺田亜沙子 / 福岡雄大
感想
第1部の「セレナーデ」。音楽が始まった瞬間に涙腺が緩むのは東京交響楽団の演奏ゆえでしょうか。そして幕があがって美しいコール・ドを見て、更にウルウルしてしまう…。新国立劇場らしい、清潔で折り目正しい「セレナーデ」でした。もう少し個が感じられてもいいかな、なんて贅沢なことを考えたり。プロットレスとはいえ浮かび上がってくるもののある作品だと思うのですが、今回はその点、寺田亜沙子さんが際立っていたように思います。はー、でも美しいバレエですよね。カーテンコールで出てきたパット先生も満足の笑みを浮かべていらしたようでした。
第2部はpdd集。牧阿佐美版「ライモンダ」の3幕のパ・ド・ドゥは小野さんと福岡さん。このパ・ド・ドゥ、現在は全幕からはカットされているってどこかで読んだような。アダージョだけなので短くて残念でしたが、安定のペアを堪能できました。
そして「海賊」pddはガラピース。若手の木村さんと速水さんのペアは、先の二人のあとだと分が悪いといいますか、速水さんがサポートの時に必ず数歩動いて微調整をするところなど探り探りの部分が見えて少し興がそがれるかな。速水さんのヴァリアシオンはさすがでした。十八番なんでしょうね。木村さんもしっかりメドーラだったし、盛り上がってました。ライジングスターがガラで踊るのは華やかだし楽しいので、あと1組くらい見たかったし、今後上演するレパートリーを紹介するような形でもよいのではないかしら。
最後は今回が日本初演の「DGV 」。フランス高速鉄道TGV(Train à Grande Vitesse)のパリ ー リール間の開通を記念してマイケル・ナイマンによって作曲された『MGV: Musique à Grande Vitesse(高速音楽)』にウィールドンが振り付けた「DGV(Danse à Grande Vitesse)」。第1区から第4区ペアの組み合わせが新鮮で、内部でキャスティングしたらここをこの人には踊らせないのではという新たな面が見られて最高でした。そうそう、こういうのが見たいのですよ。
どのペアも予想をはるかに超えてよくて、第1区の本島/中家ペアが無機質になりそうな踊りをしっとり踊っていたのもよかったし、第2区の小野/木下ペアのキビキビと踊りつつ情感があったのも素敵でした。第3区の米沢/渡邊ペアがこんなに合うとは、という驚きと、唯さんのしっとりした佇まいも印象に残ります。そして第4区の寺田/福岡ペアは驚くほど華やかでダイナミック。本当に本当に見られて嬉しかったです。楽しかった!最後にはウィールドンと製作陣も登場。ジェニファー・ティプトンって初めてお姿拝見したかも!衣装はオーストラリア・バレエのものだそうです。