La Bayadere / The Royal Ballet, 2018

英国ロイヤル・バレエ《ラ・バヤデール》[DVD, 日本語解説付き]

振付:ナタリア・マカロワ
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ、ナタリア・オシポワ
収録:2018年11月8, 13日 コヴェントガーデン王立歌劇場 / 本編128分 + 特典8分

画像リンク先:amazon.co.jp - 国内仕様DVD

ヌニェス、ムンタギロフ、オシポワって現在見られる「ラ・バヤデール」の最強キャストではないでしょうか。しかもこのシーズンって、オシポワとヌニェスが役を入れ替えたキャストでも上演しているのでしたよね。そりゃあ両方見たいに決まっていますわ、という。DVD/Blu-rayが2月末に発売になっていますが、今月wowowでも放映されますので是非。


商品情報

特典映像:『ラ・バヤデール』について/「影の王国」の踊り/キャスト・ギャラリー(日本語字幕あり)

海外|DVD(Opus Arte:OA1296D / Naxos Japan:NYDX50071)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2020/02/28

[海外盤] Release: 2020/02/28

海外|Blu-ray(Opus Arte:OABD7263D / Naxos Japan:NYDX50072)

[国内仕様盤] Release: 2020/02/28

[海外盤] Release: 2020/02/28

クレジット

音楽
レオン・ミンクス Ludwig Minkus
振付
マリウス・プティパ Marius Petipa
追加振付・演出
ナタリア・マカロワ Natalia Makarova
編曲
ジョン・ランチベリー John Lanchbery
装置
ピエール・ルイジ・サマリターニ Pier Luigi Samaritani
衣裳
ヨランダ・ソナベンド Yolanda Sonnabend
照明
ジョン・B.リード John B. Read
指揮
ボリス・グルージン Boris Gruzin
演奏
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団 Orchestra of the Royal Opera House
映像監督
ロス・マクギボン Ross MacGibbon

キャスト

ニキヤ:マリアネラ・ヌニェス Marianela Nuñez
ソロル:ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov
ガムザッティ:ナタリア・オシポワ Natalia Osipova
大僧正:ギャリー・エイヴィス Gary Avis
ラジャ:トーマス・ホワイトヘッド Thomas Whitehead
マグダヴェーヤ:アクリ瑠嘉 Luca Acri
アイヤ:クリステン・マクナリー Kristen McNally
ソロルの友人:ニコル・エドモンズ Nicol Edmonds
黄金の仏像:アレクサンダー・キャンベル Alexander Campbell
ジャンペの踊り:マヤラ・マグリ Mayara Magri / ベアトリス・スティクス=ブルネル Beatriz Stix-Brunell
パ・ダクシオン:エリザベス・ハロッド Elizabeth Harrod / ミーガン・グレース・ヒンキス Meaghan Grace Hinkis / アナ・ローズ・オサリヴァン Anna Rose O'Sullivan / ロマニー・パジャック Romany Pajdak / クレア・カルヴァート Claire Calvert / 金子扶生 Fumi Kaneko / マヤラ・マグリ Mayara Magri / ベアトリス・スティクス=ブルネル Beatriz Stix-Brunell / リース・クラーク Reece Clarke / ニコル・エドモンズ Nicol Edmonds
影の王国:崔 由姫 Yuhui Choe / ヤスミン・ナグディ Yasmine Naghdi / 高田 茜 Akane Takada

# 人名表記は販売代理店による

感想

ヌニェス、オシポワ、ムンタギロフという組み合わせのみならず隅々まで豪華キャストで、劇場なら目がいくつあっても足りないところです。映像は好きなだけ戻して見直して楽しめるのがありがたいですね。

ヌニェスのニキヤは、ロシア系を見慣れていると少し違和感があって、例えば登場した時のヴェールを外された時の様子なども”絶世の美女登場!”という感じではないのです。ソロルへの愛情以外は、つつましく神に仕えていて、自分の人生であってそうでない、という人なのだと分かる。なかなかこんな風にニキヤを演じる人はいないのではないでしょうか。

ガムザッティとの対決のシーンも、逆上しつつもそれができる相手ではないと気づいて体が硬直してしまう。彼女の運命が周囲の人たちによって決められていく、ラジャたちにとってはとるにたらない存在であるニキヤ…それが実感として伝わってきました。よく練られた役作りだったと思います。

彼女が踊るのを見るたびに強く思うことですが、今回もどんなパもおろそかにせず鮮やかに踊りあげていました。踊りの強度が圧巻なのは影の王国で、この場面はヴァリエーションにもプリンシパルを投入して見応えたっぷりなのですが、彼女達どころか相手役のムンタギロフすら霞むくらいの凄みがあります。

ムンタギロフも流されゆくソロルに説得力がありました。ダンスールノーブルの面目躍如で、ヌニェスとオシポワどちらと踊っても素晴らしいし、愛を貫けなかったソロルの心の揺らぎもビシビシ伝わります。シネマ中継用だから、細かい演技のニュアンスも拾ってもらえるということはあるにしろ、愛する女性を捨ててガムザッティと婚約し、目の前で愛する女性に死なれてアヘンに逃げる、、という駄目男ソロルに対して「あ、でも仕方ないよね、これは逆らえない…」と思えてしまうのって凄いことだと思うの。

そしてオシポワ。彼女もまた最初の登場でヴェールをとられてソロルと対面するのですが、こちらは自分の価値をよくわかっている華やかさ。ニキヤとの対比は鮮やかでした。オシポワの演技は細やかで、単なる恋敵ではなく彼女にもドラマがあることがガンガン伝わってくるので、このガムザッティが愛おしいと思ってしまってねー。ヌニェスが控えめ演技だったことと、ガムザッティのパパ、ラジャ役のトーマス・ホワイトヘッドも娘溺愛の一筋縄ではいかない濃い演技だったので、ガムザッティの育った環境について思いを馳せてしまったりして、見応えがありました。

2幕の婚約式、ヴァリエーションを何の心配もなく華やかに踊ってくれたおかげで、こちらも雑念なく集中できるのがいいですよね(ニキヤの3幕ヴェールの踊りもそうですが)。ニキヤが踊っている間、ソロルとの関係を見せつけるのも、「この人は私のもの」と勝ち誇ってのことというよりは、ニキヤにもソロルにも諦めて現実を受け入れてもらおうとしているように見えました。3幕でソロルが自分の方を向いてくれずに苦しむ様子も血が通っていて、初めてこのシーンでガムザッティに共感してしまったわ…。この場面はニキヤ、ソロルともに素晴らしくドラマティックで、今までみたマカロワ版の中で一番好き。

ギャリーのハイ・ブラーミンも勿論大熱演でしたし、瑠嘉くんの苦行僧、ユフィさん、ヤスミン、茜さんのShadeヴァリエーションも見所ですね。キャンベルのゴールデンアイドルは、最初の方、照明のせいかあげた脚が見えにくくて勿体なかったです。扶生さんはパ・ダクシオンに。やはりマラヤ・マグリの踊りが好きです、私。リースくん、パ・ダクションのあと後ろの椅子に腰掛けているだけで彫像のように美しく、眼福でした。

ジャンペやパ・ダクションはあまり踊りが揃ってなくて、そういうのは気にしないのかなと思っていたのですが、影の王国のコール・ドはよく揃っていたと思います。スロープは1つ。

カーテンコールにはマカロワも登場。お元気そうですね。マカロワといえば、DVD/Blu-ray付属のリーフレット今回はいつもと違ってマカロワ本人による解説、裏表紙をはじめ彼女自身のニキヤの写真も何枚か掲載されていました。ケヴィン・オヘアのコメントもあり。

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