Swan Lake / Ballet Company of The National Opera of Ukraine (Taras Shevchenko National Academic Opera & Ballet Theatre of Ukraine)

キエフ・バレエ - チャイコフスキー《白鳥の湖》[DVD]

振付:アレクサンドル・ゴルスキー
出演:ナタリア・マツァーク、デニス・ニェダク 他
収録:2019年6月 ウクライナ国立歌劇場 / 129分

画像リンク先:海外版 - 国内仕様DVD

Bel Air Classiquesよりタラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立歌劇場バレエ団(通称キエフ・バレエ)の「白鳥の湖」のDVD/Blu-rayが発売になりました。


商品情報

海外|DVD(Bel Air Classiques:BAC174)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2019/12/20

[海外盤] Release: 2019/12/06

海外|Blu-ray(Bel Air Classiques:BAC574)

[国内仕様盤] Release: 2019/12/20

[海外盤] Release: 2019/12/06

クレジット

台本
ウラジーミル・ペギチェフ Vladimir Begichev
ワシリー・ゲルツァー Vasily Geltser
音楽
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Pyotr Ilyich Tchaikovsky
振付
マリウス・プティパ Marius Petipa
レフ・イワーノフ Lev Ivanov
アレクサンドル・ゴルスキー Alexandre Gorski
改訂振付
ヴァレリー・コフトゥン Valery Kovtun (Premired in 1986)
装置・衣装
マリア・レヴィツカ Maria Levitskaya
指揮
ミコラ・デャデューラ Mykola Dyadura
演奏
ウクライナ国立歌劇場管弦楽団 The Orchestra of The National Opera of Ukraine
映像
Bertrand Normand

キャスト

オデット/オディール:ナタリヤ・マツァーク Natalia Matsak
ジークフリート王子:デニス・ニェダク Denys Nedak
ロットバルト:ヤロスラフ・トカチュク Yaroslav Tkachuk

Pas de trois:Ganna Muromtseva / Olga Skripchenko / Oleksandre Skulkine
The Bride & Big Swans:Margarita Alyanakh / Irina Borisova / Ganna Muromtseva / Svetlana Onipko
Little Swans:Elisaveta Goguidze / Katerina Didenko / Inna Chorna / Katerina Chupina
Venetian Dance:Oleksandre Skulkine
Tutor:Sergey Litvinenko
The Knight:Vladislav Ivashchenko
The Queen:Ludmila Melnik

感想

キエフ・バレエ(タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ)の「白鳥の湖」はコフトゥン版。近年は毎年のように来日してくれるので見る機会の多いバージョンだと言えますが、私は今回が初見。1986年初演のプロダクションだそうです。様々な演出のある現在、大雑把に分類すればオーソドックスなロシアの白鳥になるのでしょうが、ペレストロイカの始まった頃という時期を考えれば納得がいく感じ。しかし、よく見ると意外と個性的なので、「そうは言ってもロシアの白鳥が好き」な方は楽しめるのでは。

一番の印象は、音楽が果たす役割の大きさ、かしら。音楽のテンポも曲によって変化自在ですし、コール・ドの振付など見ても、音楽との相乗効果が感じられるように思いました。一糸乱れぬって感じではないのですが、音楽を増幅するうねりを感じるというか。反面、後の改訂で重視されるようになってきた登場人物の心理や物語の整合性は手付かず…いや、むしろ軽視の方向に行ってるかも。

以下、目についた特徴を列記してみます。

1幕。道化は登場せず、1幕で家庭教師が揶揄われるのは控えめ。パ・ド・トロワには男性ダンサーが入っているものの、王子も踊りに参加します。王妃が登場するくだりでは、先ほどまで王子と一緒にいた若い男女は退室して雰囲気が一変します。王妃に先んじて騎士がやってきて、成人前夜の王子に騎士号を授与。その後、王妃が騎士のメダル(かなー、たぶん)とボウガンを授与します。ただ、ここで王妃は「明日は婚約者を選ぶのよ」マイムをしないままに去ってしまうのに驚きました。つまり王子は、純粋に成人前夜の心もとさを慰めるためにボウガンをもって湖畔へ行くのですね。

湖畔でロットバルトにロックオンされた王子、という描写もあるのですが、何しろ心理面はあまり追いかけないバージョン、もう少しそこを詳しく…と思ってしまいました。また、湖畔で出会ったオデットも、「私はロットバルトに白鳥に変えられて」というマイムをしません。それ自体は不思議はないけど、心が通じ合ったあとオデットが「愛を誓ってくれるかしら」と王子に催促したように見えて、ちょっと笑ってしまいました。群舞のフォーメーションはかなり独特な印象で、白鳥の編隊を表しているような面白さがありました。異変を察知して、一斉に手を震わせたりなども。大白鳥は4人いて、花嫁候補も同じダンサーが踊るようでした。白鳥たちのチュチュがけっこう大きめだったのも印象に残っています。

舞踏会では、四人の花嫁候補のお相手する王子。踊り終わったところで「この中の誰かと結婚しなさい」と母妃が無茶振りしてました。それはジークフリートでなくても決められないのでは(笑)。拒否された姫君たちも、ショックを受けるでもなくそのまま退場。花嫁候補たちは白鳥よりコンパクトなチュチュ姿がかわいい。

スペインのディヴェルティスマンはオディールとロットバルト軍団の手下のパターンでした。そしてナポリのかわりにヴェネツィアと名付けられたディヴェルティスマン。民族舞踊はゴールドをアクセントにした衣装がどれも素敵でした。1幕でも感じたことですが、ここの王妃と王子は母子関係がとても希薄で、3幕終わりもそんな感じ。王妃の演出がおざなりなの、ちょっともったいない気がしますね、今見ると。

4幕では黒鳥が混じるパターンでしたが、他と違ってロットバルトの手下として描かれているようです。黒い子たちの動きが白鳥たちではなくロットバルトの動きに呼応していました。愛は勝つパターンの戦い方終わり方は定番ですが、ハッピーエンドの最後、夜があけたのか明るい希望の象徴なのか、それともその両方なのか、それまで寒色系だった照明にナチュラルな照明が混じって舞台を明るく照らすのは、悪くないと思いました。

ダンサーたちについてですが、世界的なバレエダンサー輩出国かつ美男美女の国でもありますから、舞台上にいるダンサーみな美しくてプロポーションも抜群でした。中でも群を抜いているのが王子役のニェダク。笑っちゃうくらい脚が長くて、一体この人の身体はどうなっているのかと。踊りももちろん美しいですし、ダンスール・ノーブルとしても申し分ないですよね。

マツァークは大柄で華やかなダンサーですね。プロポーションがよくアームスは優美、パのつなぎまで完璧に美しい、ロシアンクラシカルの宝石のようでした。オデットからして色香があるのですが、オディールはまた角度を変えた輝きがありました。超絶技巧派という感じではなさそうだけど(背が高いとなかなか難しいよね)、オデット/オディールなら大満足でしょう。タッチキンのコレスニコワみたいな、場数を踏んだ安定感みたいのを感じました。ちなみに32回転は前半の最後だけダブルであとはシングルでしたが、形がずっと綺麗だったのがよかったな(この場面音がちょっと先走っていたけれど)。

ロットバルト役のトカチュクはまだ若いように見えるけれど、パワフルかつ美しく踊るダンサー。最初のパワフルなソロから魅了されてしまいました。技巧系もノーブルもいける人だと思います。ここのロットバルトはメイクも濃くないしマスクもつけないし衣装もさほど大げさではなく、他のバージョンよりも踊りを魅せる演出かと思いますが、それが彼にはハマっていました。YTで検索したらスパルタクスのタイトルロールを踊っている映像があって、これがまた凄くて。お名前覚えておこうと思います。

パ・ド・トロワの女性は二人ともプロポーションがよくてスター候補!という感じ。男性も1幕トロワはちょっとお疲れっぽかったのですが、3幕のヴェネツィアで弾けてました。あと全体にデミポワントがよく使えているというか、脚先まで行き届いた踊りがとても印象に残っています。

あとですね、私は今回DVDを買ったのですが、我が家のプレーヤーとの相性なのかディスクの問題なのか、ブロックノイズが頻発します。パナのプレイヤーでもカクカクなったりするのですが、MacBookに接続した純正SuperDriveだとまともに見られないくらいです。BelAirのディスクは割と気になることがあって、これまでは気のせいかな、程度だったのですが…。今回はちょっとひどかったです。買ってすぐだったら返品したと思いますが、ずっと積んでおいたので今更なのですが。ということで、これから買われる方はまず再生確認なさってくださいね。私、今後BelAir製品買うの、ちょっとためらってしまいそうです。


Official Trailer

vc vc

この記事の更新履歴

  • 2020.04.15 - 感想書きました。