Der Nussknacker / Semperoper Ballett

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振付:アーロン・S.ワトキン、ジェイソン・ビーチー
出演:竹島由美子、イリ・ブベニチェク ほか
収録:2011年12月14日 ゼンパーオーパー / 100分

録画

クラシカジャパンで録画。優れたダンサーでありながら日本ではあまり踊る姿を見ることがかなわなかった竹島由美子さんの金平糖の精を、今になって見られることが嬉しいです。パートナーはイリ・ブベニチェク。


クレジット

振付
アーロン・S.ワトキン(第1幕第3場、第2幕のバレエ団の振付) Aaron S. Watkin
ジェイソン・ビーチー(プロローグ、第1幕第1、2場、第2幕の子供たちの振付) Jason Beechey
音楽
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー: バレエ『くるみ割り人形』Op.71 Pyotr Ilyich Tchaikovsky
台本
E.T.A.ホフマン E.T.A. Hoffmann
マリウス・プティパ Marius Petipa
ドラマトゥルク
Stefan Ulrich
装置・衣装
ロベルタ・グイディ・バーニョ Roberta Guidi di Bagno
照明
マルコ・フィリベック Marco Filibeck
指揮
ヴェロ・パーン Vello Pähn
演奏
シュターツカペレ・ドレスデン Staatskapelle Dresden
合唱
ドレスデン・フィルハーモニー児童合唱団 Philharmonischer Kinderchor Dresden
合唱指揮
ユルゲン・ベッカー Jurgen Becker
映像監督
ヨアヒム・ヤッケル Joachim Jäckel

キャスト

マリー(大人):アンナ・メルクロヴァ Anna Merkulova
くるみ割り人形/王子:イシュトヴァン・シモン Istvan Simon
ドロッセルマイヤー:オレグ・クリィミュク Oleg Klymyuk
ねずみの王:クラウディオ・カンジアローシ Claudio Cangialosi
こんぺい糖の精:竹島由美子 Yumiko Takeshima
こんぺい糖の精の夫君:イリ・ブベニチェク Juri Bubenicek
雪の女王:ユリア・ワイス Julia Weiss
マリー(少女):リディア・ヤーン Lydia Jahn
フリッツ:ミシェル・フィリップ・ヴェーバー Michel Philipp Weber
ルイーズ:イザベラ・タウフキルヒ Isabella Taufkirch

Mechanical Dolls
Sugar Plum Fairy:Vanessa Illgen
Her Consort:Johannes Goldbach
Nutcracker:Aaron Rennau
Mouse King:David Hoffmann

Dances
Spanish Dance:ユリア・ワイス Julia Weiss / ローラン・ギルボー Laurent Guilbaud / ドゥオシー・ジュウ Duosi Zhu / マイケル・タッカー Michael Tucker / モニカ・タルダグイラ Monica Tardaguila / ヨハネス・シュミット Johannes Schmidt
Oriental Dance:イェンニ・シェファーホフ Jenni Schaferhoff / ミラン・マーダー Milan Madar / ボリス・リシール Boris Richir
Chinese Dance:ホン・ヴァイェーホ Jon Vallejo / ハンナ・マクドナルド Hannah McDonald / アニサ・シンテラル=スコット Anisa Sinteral-Schott
Russian Dance:ファビアン・ヴォランジェ Fabien Voranger / ヤン・オラティンスキー Jan Oratynski / フランチェスコ・ピオ・リッチ Francesco Pio Ricci
Dance of the Reed Flutes:サラ・ヘイ Sarah Hay / キャロライン・ビーチ Caroline Beach / 小笠原由紀 Yuki Ogasawara / カルメン・ピケーラス Carmen Piqueras / ブリオニー・ヴィール Briony Viele
Mother Ginger and her children:エマニュエル・コルシーニ Emanuele Corsini
Finja Marcia Rahn / ソフィア・クラウツィグ Sophia Kraffzyk / アンナ・ハーツ Anna Haatz / エマ・マリ・オーテル Emma Marie Oertel / シャーロット・アーバン Charlott Urban / アレクサ・ヘイズ Alexa Hase / ジャスティン・ラダー Justine Radder / アメリー・ブッホーン Amelie Buchhorn

# 役名、人名カナ表記はクラシカジャパンによる。

感想

ご当地シュトリーツェルマルクトから始まる「くるみ割り人形」、ドロッセルマイヤーはクリスマスマーケットでプレゼントを調達するのね(笑)。思い切りご当地版かなと身構えたのですが、割とスタンダードな版に近かったと思います。パーティの子役たちの衣装などはバランシン版を思い出しました。金平糖の精のパートナーが「Her Consort」としか表記されないのも、バランシン版もそうじゃなかったかな、と。振り付けのアーロン・S.ワトキンとジェイソン・ビーチーはカナダ・ナショナル・バレエ学校出身のようですが、二人ともスタンレー・ウィリアムズに師事したことがあるようですし、期間はわかりませんがSABで学んだこともあるようです(ワトキンはサマースクールって書いてあったかな)。

マリーという名前もそうですが、フリッツとルイーズも出てきて、フリッツがもらうプレゼントが頭が7つあるねずみ王の人形、というあたりはホフマンの原作を思わせます。マリー役は最初はバレエ学校生徒が演じていますが、ねずみと兵隊の戦いが始まる前に大人のダンサーと入れ替わり。ドロッセルマイヤーが見せる人形劇(金平糖の精とパートナー/くるみ割り人形とねずみの王様)をはじめ、バレエ学校生徒が踊るところはけっこう多く、それらがバレエ学校校長ジェイソン・ビーチーの振付ということのようです。

12時の時報のあとにマリーが見るのは、ドロッセルマイヤーの魔法の世界。ねずみ軍とくるみ割り人形軍の戦い、雪の世界、そしてお菓子の国という設定はオーソドックスですが、大人マリーとくるみ割り人形/王子のペアが踊りまくるし、ダンスの見応えはかなりありました。くるみ割り人形/王子役のイシュトヴァン・シモンが本当に凄い。凄いダンサーでした。彼の踊りだけでも、このくるみを見る価値があります。

雪の世界の美術と衣装が、とても好きでした。レース様の布が木々を覆って雪を表現しているのが詩的だし、ダンサーたちのチュチュが3種類あって、それぞれに美しい。踊りはなかなかハードそうだったけど、雪の世界を壊さないだけでなく、どこか怖い(snow queenに繋がる)ところも表現されていて、見応えがありました。最後の方、落ちてくる雪の量が増えるのですが、その落ち方も(きっと破片の形が工夫されているのでしょうけど)いかにも雪が舞い落ちる感じでよかったなー。気に入りました。

王子がマリーを乗せたカウチを押してたどり着いたお菓子の国では、上からゴンドラで金平糖の精(竹島由美子さん)が降りてきました。この国はおそらく、ルーイズがドロッセルマイヤーからプレゼントでもらったマジパンのお城なのね。各国の踊りは、振付は独自のところがありつつ、イメージとしては従来のもの。ロシアの踊りにお客さんが湧いていました。葦笛はプティパっぽかったです。サラ・ヘイがリード・ダンサーで、小笠原由紀さんもここで踊っていました。マザー・ジンジャーもあり。中に入っていたのは一番ちびっこの生徒たちかな。

花ワルは女性ダンサーのみで、リードをマリーと王子が担う形。花ワルは音楽も盛り上がりますし、事実上ここがハイライトでは?というくらいのフィニッシュに大満足。その後のGPDDは分が悪いのではと思うくらいだったのですが、そこは竹島さんとイリ、GPDDの美しさをじっくり堪能させる踊りでした。竹島さんの踊りは断片でしか見たことがなかったので、引退されてからだいぶたつけれど、ここで見られて嬉しかったです。イリとも音楽性も合うのか、見ていて多幸感がありました。

王子がカウチを押してお菓子の国から戻るエピローグ、ここで子役さんに戻るので、観客としても息の乱れや汗で大変そうだなーと気にしなくて済むのがいいかな。ねずみの王様を倒した時にドロッセルマイヤーがクッションの裏に隠した王冠が出てきて、これは夢ではないことをマリーは知っている、というところで幕。

シュターツカペレ・ドレスデンの演奏も耳に心地よく、ダンスの素晴らしさも堪能できる「くるみ割り人形」でした。


この記事の更新履歴

  • 2020.04.24 - 感想書きました。