Swan Lake - Schwanensee / Ballett am Rhein Düsseldorf Duisburg
振付:マーティン・シュレプファー
出演:マルコス・メンハ、マルルシア・ド・アマラル ほか
収録:Opernhaus Düsseldorf / 本編132分 + 特典27分
画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD
タイトルのカンパニー表記は輸入元情報から参照しています。今年9月にこの作品を持って来日する際の表記はバレエ・アム・ラインになっていますね。アム・ライン・デュッセルドルフ・デュイスブルク・バレエというのかなー、デュッセルドルフ歌劇場バレエ?ドイツのバレエ団は難しいです…。が、とにかく、次期ウィーン国立バレエ監督が決まっているマーティン・シュレプファー振付による「白鳥の湖」です。
商品情報
特演映像:Interview with Choreographer Martin Schläpfer
- 海外|DVD(Euroarts:2055848)Released: 2019/03/29
FORMAT:NTSC / REGION:0
クレジット
- 振付
- マーティン・シュレプファー Martin Schläpfer
- 音楽
- P.I. チャイコフスキー P.I. Tchaikovsky
- 舞台装置・衣装
- フローリアン・エッティ Florian Etti
- 照明
- ステファン・ボリガー Stefan Bolliger
- ドラマトゥルギー
- アンヌ・ド・パコ Anne do Paço
- 指揮
- アクセル・コーバー Axel Kober
- 演奏
- デュッセルドルフ交響楽団 Düsseldorfer Symphoniker / Duisburger Philharmoniker
- 撮影
- Peter Schönhofer
キャスト
ジークフリート:マルコス・メンハ Marcos Menha
オデット:マルルシア・ド・アマラル Marlúcia do Amaral
ジークフリートの母:ヴァージニア・セガーラ・ヴィダル Virginia Segarra Vidal
式典長:チドジー・ンゼレム Chidozie Nzerem
ベンノ:アレクサンドレ・シモエス Alexandre Simões
Ladies of the Court:Claudine Schoch / Julie Thirault
Siegfried’s Friends:Brice Asnar / Rubén Cabaleiro Campo / Daniel Vizcayo
Princesses:Feline van Dijken / Sonia Dvořák / Aleksandra Liashenko
Court:Alexandra Inculet / Irene Vaqueiro
オディール:カミール・アンドリオ Camille Andriot
オデットの継母:ホ・ヨンスン Young Soon Hue
ロットバルト:ソニー・ロクシン Sonny Locsin
Entourage of the Stepmother:Yuko Kato / So-Yeon Kim / Tomoaki Nakanome / Eric White
オデットの祖父:ボリス・ランドツィオ Boris Randzio
Swan Maidens:Doris Becker / Julie Thirault
Ann-Kathrin Adam / Mariana Dias / Feline van Dijken / Sonia Dvořák / Aleksandra Liashenko / Kailey Kaba / Helen Clare Kinney / Aleksandra Liashenko / Norma Magalhães / Claudine Schoch / Elisabeta Stanculescu / Irene Vaqueiro
Women:Mariana Dias / Helen Clare Kinney / Norma Magalhães
Men:Yoav Bosidan / Odsuren Dagva / Pedro Maricato / Bruno Narnhammer / Arthur Stashak
# 役名・カナ表記は代理店表記による
感想
振付家のシュレプファー(シュレップァー?)にとって、これが最初の全幕振付だそうですね。チャイコフスキーの原典版の音楽とオリジナル版のリブレットにこだわったとのこと。オデットの祖父や継母が原典版の登場人物だというのは知らなかったです。湖はオデットの母が亡くなったときに祖父の涙で出来た湖なんですって(DVDリーフレットのアンヌ・ド・パコの文章より)。魔女であるらしきオデットの継母がロットバルトと共謀してオデットと召使いを白鳥に変えてしまうが、オデットに生涯の愛を誓う人が現れた時にその呪いがとけるのは(継母より強い魔力を持つ)祖父の力による…ということなのかなあ。リラの精と一緒で、かけられた呪い全部をチャラにはできないけど、ってことかしら。
設定は現代のようで、ジークフリートの母が守るのは”dinasty”と表現されています。周囲の人に恐れられ、息子ともあまりうまくいっていないようで、孤独ゆえに式典長に依存しているよう。でもこの式典長、3幕ラストを見た感じだと悪巧みしてるわけではなく忠実すぎる下僕のようでもあり。オデットも王子を誘惑しているみたいに見えるけど、これはダンサー固有の表現による気もします。別の人が演じるオディールはオデットのキメラとして作り出されたそうで、外見は全然違うけど魔法で騙すからいいってことかな。オデットの継母もロットバルトと恋仲っぽいのだけど、4幕にはロットバルトは出てこないんだよねー。という感じで、いろいろ仕込んでありそうなのにあまり把握できなかった私。
というのも(毎度書くのも気がひけるのですが)カメラワークがねー。ドラマを見せたいというのはわかるのだけど、表情アップ過多で全身映さず、ステージのあちらとこちらでドラマが展開してるのに片方しか映さないとか、切り替えが頻繁すぎて気が散るとかそんな感じでした。舞台を先に見ていれば必要な情報が脳内補完できるから、印象は違うと思うのですが。
衣裳では、白鳥たちがふわふわのオーバースカートを外すことで人間に戻る様子を見せたのが面白かったです。3幕は黒い空間にみんなダークな色合いの衣装で、例えば花嫁候補と宮廷側の人間とオディールの区別も付きにくいので、もう少し衣裳を記号化してもいいのでは、とも。踊りにくそうだったり踊った時に綺麗に見えない衣裳もちょっとあったかな。装置もシンプルでツアー向き。
ポワント履いてるのは身分の高い人だけのような気がします。白鳥たちの中でもオデットだけがポワント。これは特典映像で振付家が理由を話してました。素足の白鳥たちがあえて汚く踊っているように見えたのは、魔法の威力かな?一番クラシックの語彙に近く踊っているのは、王子とベンノ、友人と女性たちで、だから1幕は割とネオクラシックっぽく見られるんですよね。で、2幕であえて外した白鳥の踊りに意表をつかれるという。3幕の花嫁候補たちがギラついているのは現代っぽいと言えるかも(笑)。
王子役のダンサーは所作も美しく、柔らかい身のこなし。ものすごく背が高くて、というかパーツが全部他の人より一回り大きい感じで、オデットのダンサーがとても小柄なので、一緒に踊ると視覚的にこちらの脳が混乱します(笑)。王子以外だと、ベンノと王子の友人たち(マランダン・バレエ・ビアリッツにいたダニエル・ビスカヨがここにいました!)がよいです。王子とベンノのユニゾンもよかったので、もっとしっかり見たかった。
あとね、2018年世界初演で現代とも取れる時代を舞台するのであれば、PC的なものにもう少し気を配ってもよいのではないか、とも。でもきっと、その後も上演を重ねてブラッシュアップされているのではないかと思うし、実際に劇場で見る方が面白いだろうと思います(だから、この映像を来日公演に行くかどうかの判断材料に使うのはやめたほうが…笑)。
ちなみにこの映像は収録日が見当たらなかったのですが、初演が2018年6月8日ということなので、それに近い日付なのかな、と。DVDでは、あらすじの日本語字幕が用意されています。そうそう、エンドクレジットに「リン・シーモアに捧ぐ」とある理由も特典映像で語られていました。
Official Trailer
この記事の更新履歴
- 2021.11.17 - amazon.com/amazon.co.uk 商品リンク削除