The Sleeping Beauty / The National Ballet of Japan
振付:ウエイン・イーグリング
出演:小野絢子、福岡雄大 他
収録:2018年6月16日 新国立劇場オペラ劇場 / 本編約150分 / 特典映像約14分
画像リンク先:amazon.co.jp - DVD BOOK
今年6月に再演されたイーグリング版「眠れる森の美女」がDVD BOOKとして発売になりました。
商品情報
- 国内|DVD BOOK(世界文化社:9784418180042) Release: 2018/10/26
特典映像:アーティスト・インタビュー スペシャル・バージョン
クレジット
- 振付
- ウエイン・イーグリング Wayne Eagling
- 原振付
- マリウス・プティパ Marius Petipa
- 音楽
- ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Pyotr Ilyich Tchaikovsky
- 編曲
- ギャヴィン・サザーランド Gavin Sutherland
- 美術
- 川口直次 Naoji Kawaguchi
- 衣裳
- トゥール・ヴァン・シャイク Toer van Schayk
- 照明
- 沢田祐二 Yuji Sawada
- 指揮
- 冨田実里 Misato Tomita
- 演奏
- 東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra
キャスト
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大
リラの精:細田千晶
カラボス:本島美和
国王:中家正博
王妃:楠元郁子
式典長カタラビュート:菅野英男
プロローグ
6人の妖精:
誠実の精:玉井るい
優美の精:廣川みくり
寛容の精:飯野萌子
歓びの精:五月女遥
勇敢の精:柴山紗帆
気品の精:横山柊子
カヴァリエ:木下嘉人 / 小柴富久修 / 清水裕三郎 / 中島駿野 / 原健太 / 福田紘也
リラの精たち:中田実里 / 加藤朋子 / 小村美沙 / 原田舞子 / 土方萌花 / 山田歌子
カラボスの手下:宇賀大将 / 小野寺雄 / 髙橋一輝 / 渡部義紀
貴族:菊地飛和 / 北村香菜恵 / 木村優子 / 清水理那 / 廣田奈々 / 守屋朋子 / 稲村志穂里 / 関優奈 / 井澤諒 / 趙載範 / 小川尚宏 / 佐野和輝 / 中島瑞生 / 西川慶 / 樋口響 / 内藤博
乳母:赤井綾乃 / 伊東真梨乃
トランペッター:太田寛仁 / 髙尾直裕
衛兵:飯泉丈司 / 佐藤拓道 / 細矢瑞樹 / 湯村直史
召使い:杉山澄華 / 徳永比奈子 / 黒澤秀樹 / 中西大樹
小姓:亀井瑠奈 / 佐藤はな / 新貝美咲子 / 髙瀬水綺 / 立川祥南 / 松本理子 / 山崎日南子
伝令官:片岡祥平 / 遠田翔平
第1幕
糸紡ぎの娘たち:赤井綾乃 / 清水理那 / 関優奈
オーロラ姫の友人:川口藍 / 中田実里 / 益田裕子 / 若生愛 / 今村美由起 / 加藤朋子 / 小村美沙 / 原田舞子
4人の王子(オーロラ姫の求婚者):
イタリアの王子:浜崎恵二朗
スコットランドの王子:小柴富久修
ドイツの王子:貝川鐡夫
ロシアの王子:井澤駿
ガーランドのワルツ:朝枝尚子 / 菊地飛和 / 北村香菜恵 / 木村優子 / 土方萌花 / 廣田奈々 / 山田歌子 / 横山柊子 / 福田紘也 / 宇賀大将 / 小川尚宏 / 小野寺雄 / 佐野和輝 / 髙橋一輝 / 中島瑞生 / 西川慶
貴族:廣川みくり / 守屋朋子 / 稲村志穂里 / 趙載範 / 太田寛仁 / 樋口響 / 髙尾直裕
第2幕
伯爵夫人:渡辺与布
ガリソン(王子の知人):内藤博
狩の貴族:寺田亜沙子 / 木村優里 / 寺井七海 / 丸尾孝子 / 玉井るい / 伊東真梨乃 / 木下嘉人 / 清水裕三郎 / 中島駿野 / 原健太 / 福田紘也 / 中島瑞生
村の人々:奥田花純 / 柴山紗帆 / 五月女遥 / 広瀬碧 / 井澤諒 / 福田圭吾 / 佐野和輝 / 渡部義紀
森の精:飯野萌子 / 川口藍 / 中田実里 / 益田裕子 / 若生愛 / 赤井綾乃 / 朝枝尚子 / 今村美由起 / 加藤朋子 / 菊地飛和 / 北村香菜恵 / 木村優子 / 小村美沙 / 清水理那 / 原田舞子 / 土方萌花 / 廣川みくり / 廣田奈々 / 守屋朋子 / 山田歌子 / 横山柊子 / 稲村志穂里 / 関優奈 / 徳永比奈子
第3幕
宝石:
エメラルド:柴山紗帆
サファイア:寺田亜沙子
アメジスト:広瀬碧
ゴールド:木下嘉人
長靴を履いた猫:宇賀大将
白い猫:益田裕子
フロリナ王女:米沢唯
青い鳥:渡邊峻郁
赤ずきん:奥田花純
狼:小柴富久修
親指トム:井澤諒
猫をかつぐ犬たち:清水裕三郎 / 中島駿野
ポロネーズ/マズルカ:寺井七海 / 玉井るい / 菊地飛和 / 北村香菜恵 / 木村優子 / 廣田奈々 / 守屋朋子 / 横山柊子 / 趙載範 / 福田紘也 / 太田寛仁 / 小川尚宏 / 中島瑞生 / 西川慶 / 浜崎恵二朗 / 樋口響 / 渡邊拓朗
本: 目次
- あらすじ
- プロダクション・ノート
- DVD出演者一覧
- Interview 古典バレエの様式美とおとぎ話の世界観―『眠れる森の美女』を踊るということ - 小野絢子(オーロラ姫)、福岡雄大(デジレ王子)
- Interview 光と闇のコントラストで物語を紡ぐ、リラの精とカラボス - 細田千晶(リラの精)、本島美和(カラボス)
- 『眠れる森の美女』 各幕の見どころとなるキャラクター
- 振付/ウエイン・イーグリング
- 本書DVD収録『眠れる森の美女』音楽家/デザイナー
- 『眠れる森の美女』より深く理解するための10の鍵 - 守山実花
- バレエ・ヒストリー『眠れる森の美女』プティパ原典版とその後の主な振付版 - 守山実花
- 創世期から紐解く新国立劇場 バレエ団レパートリーの系譜―ロシア系古典バレエからバレエ・リュス作品まで - 守山実花
- 2018/2019シーズン 新国立劇場バレエ団ダンサー一覧
- DVD チャプター・プログラム
感想
新国立劇場のイーグリング版「眠れる森の美女」初演は2014年。2018年の再演を収録したものがDVD BOOKとしてリリースされました。Blu-rayがないのは残念ですが、ハイビジョン撮影なのでDVDとしては綺麗な画質だと思います。
プティパ版を元に手が加えられた演出で、カラボス役が女性ダンサーでポワント、GPDDのアダージオにフィッシュダイブが入る、あたりがチェックポイントでしょうか。この版の大きな特徴として、2幕で王子がオーロラ姫を目覚めさせたあとに”間奏曲”でawakening pddが踊られること、1幕の妖精が一人多く(気品の精)2幕男爵夫人の踊りの曲で踊ること、3幕のディヴェルティスマンに親指トムのソロがある、など音楽や踊りの変更が時折見られることも挙げられるでしょう。プロローグの序曲でリラの精とカラボスの因縁めいた敵対関係が描かれるのも、ユニークかも。リラの精とカラボスが手を掴みあうなど直接コンタクトがあるのも、割と珍しくないですか?妖精なのに何だか俗ぽい気がして面白い。
編曲はENB音楽監督のサザーランドさん(今wikiで彼の年齢を知って、ちょっと衝撃を受けているところw)。上に書いた通り、音楽の入れ替えがところどころにあります。概ね悪くないと思うのですが、1幕の糸紡ぎの針のくだりだけは唐突な印象を受けました。あと、これは演出の意向でしょうが全体にテンポが早く、演技面などが慌ただしくなってしまっていたのが惜しいような。
ヴァン・シャイクの衣装は、2幕王子や3幕青い鳥/ダイヤモンドに大きく襟ぐりの開いた上着を着せることに、どうしても目がいってしまいます。ダイヤモンドに違和感を感じなかったのは襟がついているからかなあ。木下嘉人さん、よくお似合い(宝石たちはチュチュも好みでした)。青い鳥の衣装、邊峻郁さんは似合っていたけど、袖のない素肌にベストみたいな上着なのが微妙というか。
2幕王子の衣装は他の貴族たちと比べてあまりに軽装なので(他の版のように上着を着ていて、ソロの前に脱ぐ、というのが好き)、そんな気軽な格好で狩にきて、そのままリラの精についていってよその姫君と結婚してしまうのは軽率すぎるのでは…王位継承権低めの三男坊あたりかな、などと他の版の「眠り」では気にならないところまでハラハラしてしまったのでした。でも、if so,の世界まで想いを馳せたくなる古典はそう多くないので、そういう意味では楽しい鑑賞体験であったと言えます。もしカラボスがパーティに招待されていたらどうだったか、とヴァン・シャイクやリラの精役の細田千晶さんが本誌や特典映像で語っておられたのも、頭に残っていたかもしれません。
女性陣ではカラボスの衣装が傑作ですよね。あと3幕の王妃や貴族たちのジョセフィーヌっぽいスタイルのドレス、フロリナ王女の衣装も好き。序幕の妖精たちの衣装の違いを見るのも個人的な楽しみの1つなので、みな同じ衣装だったのはちょっと残念(6人の妖精、リラの精のおつきがそれぞれ同じ衣装)。面白かったのは幻影の場の妖精たちの緑のチュチュ。パノラマの曲で踊る様子は、まるで森の木々が揺れているようでした。
小野絢子さんのオーロラ姫は盤石。ローズアダージオも安定して美しかったですし、2幕の幻影、目覚めpddの生き生きと情熱的な踊り、そして3幕gpddの華やかさと、大満足です。福岡さんの王子も、ただ「王子」なだけでない、若者らしい闊達さが魅力でした。2幕の目覚めのpddはキスで目覚めてから王から結婚を許可されて踊り始めるのだけど、そこが少々慌ただしいかな…。でも、「二人が恋に落ちる瞬間を踊りで表現する」という振付家の意図はよくわかります。
カラボスは本島美和さん。踊りそのものはとても軽やかで、風を巻き起こしながら踊っているかのよう。カラボスがポワントで踊る効果を目の当たりにしました。リラの精の細田さんは、見ていて「浄化」という言葉が浮かびました。カラボスが乱した場の空気を清めに出てきたような清涼感。また、菅野英男さんのカタラビュートが生真面目なキャラクターだったので、2幕の内藤博さん演じるガリソンのキャラ立ちが好対照で楽しかったです。冨田実里さんの指揮で見られたことも嬉しかったですね。
また、本の方に掲載されている守山実花さんの解説が非常に有用でした。特典映像では初演キャストの映像がちらりと見られるのも嬉しいです。
この記事の更新履歴
- 2020.04.17 - 感想書きました。