Swan Lake / National Ballet of Japan
振付:牧阿佐美
出演:米沢唯、ワディム・ムンタギロフ 他
収録:2015年6月 新国立劇場オペラパレス / 129分
録画
プレミアム・シアターで録画。6月半ばに撮影された公演映像がその月末に放映される…ありがたい事です。主演は米沢唯さんとシーズンゲストのワディム・ムンタギロフ。牧版「白鳥の湖」としてはDVD BOOKとして発売された2006年の酒井はな/山本隆之組に続いて2度目の映像化。待望のHD撮影版ですね。
クレジット
- 音楽
- P.I. チャイコフスキー P.I. Tchaikovsky
- 原振付
マリウス・プティパ Marius Petipa
レフ・イワーノフ Lev Ivanov- 演出・改訂振付
- 牧阿佐美 Asami Maki
- 美術
- ピーター・カザレット Peter Cazalet
- 照明
- 沢田祐二 Yuji Sawada
- 指揮
- アレクセイ・バクラン Alexei Baklan
- 演奏
- 東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra
キャスト
オデット/オディール:米沢唯
ジークフリート王子:ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov
ロートバルト:貝川鐵夫
王妃:楠元郁子
道化:八幡顕光
家庭教師:内藤博
パ・ド・トロワ:柴山紗帆 / 細田千晶 / 池田武志
小さい4羽の白鳥:奥田花純 / 柴山紗帆 / 五月女遥 / 大和雅美
大きい4羽の白鳥:寺田亜沙子 / 細田千晶 / 堀口純 / 丸尾孝子
花嫁候補:川口藍 / 玉井るい / 朝枝尚子 / 加藤朋子 / 小村美沙 / 原田舞子
スペインの踊り:本島美和 / 堀口純 / 井澤駿 / 林田翔平
ナポリの踊り:奥田花純 / 五月女遥 / 原健太
ルースカヤ:木村優里
ハンガリーの踊り:大和雅美 / マイレン・トレウバエフ
マズルカ:若生愛 / 今村美由起 / 中田実里 / 成田遥 / 小口邦明 / 清水裕三郎 / 田中俊太朗 / 宝満直也
感想
牧阿佐美版も初演から随分経って、初演の頃とは演出が多少変わっているところもあるようですね。プロローグに友人たちが出てこなくなったのはいつからなのかな。
さて、ゲストのムンタギロフですが、おっとりした、人の良さの滲み出る王子でした。家庭教師、道化から貴族村人たちまで全方位的に屈託無く仲良し。牧版が若干あやふやだったみたいで、サポートなどたまにあやしくなっていたように見えるので私は気が散ってしまいましたが…。もちろんちゃんとカバーしていたし、ソロは本当に素晴らしい…あのふんわりしたジュテが大好きだわ。
米沢さんはもっと鳥に近いオデットを踊る方なのかと想像していたのだけど、すごく暖かいオデットでした。王子と恋に落ちてから、何度も王子の顔を見あげるのです。ちょっと笑顔で。魔法のせいで男性が本気で愛を誓ってくれないと人間に戻れない、という悲劇を忘れているわけではないけれど、一緒に過ごすこの時間が幸せ、、というように見えました。もしかするとワディムに振りを教えてあげてたのかなと思わなくもないのだけど(笑)…でも、2幕(あるいは1幕2場)の湖畔のシーンを恋のときめきとして踊っているように見えたバレリーナは、初めて見た気がします。
3幕は王子を誘惑するのを心底楽しんでいるオディール。オデットより彼女の華やかな踊りが生きていてよく似合っていました。客席までも誘惑していくかのような、目が離せない魅力的なオディールでした。グランフェテは前半が1-1-3?、後半が1-1-2ですごかった。。。そして4幕は自分のことより王子をひたすら心配するオデットでした。もう最初から王子を許しているのね。
貝川さんのロットバルトの安定感、そして道化の八幡さんは名人芸。これ見よがしなところが全くなく、超絶技巧と王子への忠信と。トロワの池田さんとか、いいダンサーだな好きだなと思う人たちはもういないんだよね…。あと場面場面で、お、このダンサー好きだって思ってよく見ると、だいたい堀口さんでしたね。自分の好みの変わらなさよ。ディヴェルティスマンも全て盤石なんだけど、スペインの華やかさが突き抜けてました。きびきびしたナポリ、ルースカヤの木村さんの、ベテラン勢とはまた違った爽やかさ、新国の屋台骨だった大和さんとマイレンのハンガリー。これだけ踊れるカンパニーなのだし、ブルメイステル版のようなオディール手下バージョンも観てみたいな。
HD映像なので、立役までお顔が割と判別できて、懐かしくなったり嬉しくなったり。カザレットさんの衣装も、私はかなり好きです。
この記事の更新履歴
- 2018.08.11 - 感想書きました