Coppelia / Ballet Opera de Bordeaux
振付:シャルル・ジュド
出演:オクサナ・クチュルク、イーゴリ・イェブラ、シャルル・ジュド 他
収録:2010年7月 フェニーチェ歌劇場 / 94分
録画
クラシカ・ジャパンで録画。ジュド版の「コッペリア」は1950年代初めのアメリカを舞台にした物語。主人公のカップルもスワニーとフォンツィーというお名前なのね。
クレジット
- 振付・演出・台本
- シャルル・ジュド Charles Jude
- 音楽
- レオ・ドリーブ Leo Delibes
- 原振付
- アルトゥール・サン=レオン Arthur Saint-Leon
- 原台本
アルトゥール・サン=レオン Arthur Saint-Leon
シャルル・ニュイッテル Charles-Louis-Etienne Nuitter- 原作
- テオドール・アマデウス・ホフマン『砂男』 E.T.A Hoffmann
- 装置
- ジュリオ・アキッレ Giulio Achilli
- 衣裳
- フィリップ・ビノ Philippe Binot
- 照明
- フランソワ・サン=シル Francois Saint-Cyr
- マジック指導
- ジェラルド・マジャックス Gerard Majax
- 指揮
- ジェフリー・スタイルズ Geoffrey Styles
- 演奏
- フェニーチェ歌劇場管弦楽団 Orchestra del Teatro La Fenice
- 映像監督
- ファブリス・ルヴィヤン Fabrice Levillain
キャスト
スワニー:オクサーナ・クチュルク Oksana Kucheruk
フォンツィー:イーゴリ・イェブラ Igor Yebra
コッペリウス:シャルル・ジュド Charles Jude
感想
2010年にヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場で上演された際に収録された映像。1999年初演だそうなので、息の長いプロダクションと言って良さそうです。ジュド版の「コッペリア」は1950年代のアメリカが舞台で、スワニー(スワニルダ)とフォンツィー(フランツ)と名前も変わっています。フォンツィーは船乗りで、ジーン・ケリーやフレッド・アステアの映画を思い出させるような水兵服姿。またイーゴリ・イェブラが似合うんだ、これが。衣装もそうだし、フランツ的なお調子者もぴったりハマるので、見てて楽しかったです。
クチュルクはあまり50年代アメリカ女子って感じはしないながらも愛らしさと勝ち気さは絶妙だし、何よりスタミナが必要なこの役を余裕たっぷりで踊っていて頼もしい。振付そのものや世界観は当時のアメリカっぽさをはらりと振りかけた印象で、フォンツィーの仲間の水兵さんたちも生き生きしてて、カンパニーのカラーにこの作品はとても合っているのだな、と。
更にはコッペリウスがジュド様ご本人ですからねー。ご馳走さまでございました。太いストライプのスーツをお召しの怪しい紳士で、まさかそんなに踊らないだろうと思っていたけどフォンツィーと踊ったり、コッペリア(に分したスワニー)の代わりにステップ踏みまくったり。踊る曲が変わる度にスワニーの衣装がさっと変わるのが「マジック指導」が入るトコロなのでしょうね。最初びっくりしました(笑)。
で、ジュド様は、コッペリウスという振付家が腕をふるわずにはいられないであろうキャラクターにどのような魔法を掛けるのかしら……と思っていたのですが、殊更にコッペリウス重視の演出というわけではなかったようです。そりゃあジュドが演じるのだから視線を集めるコッペリウスなのですが、彼自身はむしろ若い恋人達の物語として描きたかったのかしら……。確かにダンディな紳士ではあるけれど、機械にしか興味がないようにも思えたり。個性を説明するようなところがない分、見る度に違った印象を受けたりするかも。
ジュド版はスワニーとフォンツィーがコッペリウスの家から逃げ出すところまでが1幕なのですが、コッペリウスは1幕の最後で自分が作った人形たちに懲らしめられて、その後は出てこないんですよね。ドラマティックなコッペリウスを勝手に期待していた分、ちょっと淋しい部分もあったのでした。だってジュド様だよー、期待するなっていう方が無理。
しかし全般には楽しめるコッペリアでした。私はこのカンパニーは以前見た同じペアの「ジゼル」よりこちらの方が好きだな。コッペリウスの工房にいる不思議な日本人形的ロボットも楽しかった〜。