Manon / The Royal Ballet, 2018

英国ロイヤル・バレエ《マノン》ケネス・マクミラン振付 [DVD](日本語解説書付き)

振付:ケネス・マクミラン
出演:サラ・ラム、ワディム・ムンタギロフ、平野亮一 ほか
収録:2018年4月26日, 5月3日 コヴェントガーデン王立歌劇場 / 120分 + 特典映像13分

画像リンク先:amazon.co.jp - 国内仕様DVD

昨年のシネマ中継で大好評を得たサラ・ラムとワディム・ムンタギロフ主演の映像がDVD/Blu-ray化されました。これは嬉しいですね。


商品情報

特典映像:イントロダクション、高級娼婦をめぐって / デボラ・マクミラン(ケネス・マクミラン夫人)へのインタビュー

海外|DVD(Opus Arte:OA1285D)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2019/04/26

[海外盤] Release: 2019/04/26

海外|Blu-ray(Opus Arte:OABD7255D)

[国内仕様盤] Release: 2019/04/26

[海外盤] Release: 2019/04/26

クレジット

演出・振付
ケネス・マクミラン Kenneth MacMillan
音楽
ジュール・マスネ Jules Massenet
衣装
ニコラス・ジョージアディス Nicholas Georgiadis
照明
ジョン・B.リード John B. Read
ステージング
ジュリー・リンカーン Julie Lincoln
クリストファー・サウンダース Christopher Saunders
オーケストレーション・指揮
マーティン・イエーツ Martin Yates
演奏
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団 Orchestra of the Royal Opera House
撮影
ロス・マクギボン Ross MacGibbon

キャスト

マノン:サラ・ラム Sarah Lamb
デ・グリュー:ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov
レスコー:平野亮一 Ryoichi Hirano
ムッシューG.M.:ギャリー・エイヴィス Gary Avis
レスコーの愛人:イツァール・メンディザバル Itziar Mendizabal
娼館のマダム:クリステン・マクナリー Kirstin McNally
看守:トーマス・ホワイトヘッド Thomas Whitehead
ベガー・チーフ:ジェームス・ヘイ James Hay
高級娼婦:Fumi Kaneko / Beatriz Stix-Brunell / Olivia Cowley / Mayara Magri

Gentlemen:Matthew Ball / William Bracewell / Marcelino Sambe
Clients:Nicole Edmonds / Benjamin Ella / Reece Clark / Alastair Marriott / David Yudes
Old Gentleman:Jonathan Howells

感想

サラ・ラムのマノンは登場した時からキラキラに輝いていて、そりゃあみんな夢中になるよねという説得力がありました。ファムファタルとしての磁力を強調するように演じる人が多い中で、サラ・ラムは相手の欲望を映す鏡のよう。フィジカルは非常にクリアで、次にどこまで脚を上げるか誰の手が待っているか、体に叩き込んで準備万端、というように見えました。聡明なサラらしいけれど、「マノン」については”正しすぎる”感じも。

それがいい意味で崩れたのが沼地pddで、よくありがちな段取りや安全さが優先されるようなパートナーリングが一切なく、これ、これが見たかった!という凄みのあるpddでした。中でも一番印象に残っているのが、スピンしながらワディムにキャッチされて手を伸ばすという振付のところ。あの場面はもう力が入らないという風に踊るダンサーが多い気がするのだけど、サラは天に向かってとても強く手を伸ばすんですよね。命の火が消えようという時になって、初めて自分自身のために生を渇望しているような。

気立てのよさと品のよさが服を着て踊っているようなワディムは、デ・グリューのキャラクターもことさら作り込んではおらずナチュラルであったかと。子犬のようなワディムからは濃密な愛情や執着は見えにくいのだけど、それゆえに悲劇が際立つようにも感じました。ペアで踊るところは本当によかったのだけど、ソロになるとロシアンスタイルが強調されるところがあり、それは少し気になったかな…。

デ・グリューの難易度の高い振付を見るときは吸い付くような軸足と美しくあげる脚に意識がいきがちだったのですが、実は大きく胸を開くことと背中の柔らかさがとても大事なのだなと今回認識しました。私の大好きな1幕デ・グリューの求愛ソロ、技術的に盤石なワディムは脚のラインはとても綺麗だったけど、上半身のラインがあっさりしていたのですよね。ただ、2幕の娼館でマノンと再会した時のソロでは同じポーズを胸を広げ背中をしならせて踊ることで切々とした感情が伝わってきたので、1幕と2幕で違いを持たせたのかな、とも。

割と二人の役作りが今まで見てきた「マノン」と違っていたので最初は戸惑ったのですが、繰り返し見ているうちに彼らの物語を味わうことが楽しくて仕方なくなったし、壮絶な沼地は見られるしで大満足となりました。

レスコー。平野さんはこの絶対近づいたらダメな男を輪郭鮮やかに演じていました。DV男の冷徹さと、底抜けのアルコール依存っぽいけど一見楽しいお酒、妹のためにイカサマを仕組めば小心者っぽさも顔をのぞかせる…歴代の名優ダンサーたちはこの役に陰影を与えたりしてきたけど、平野さんはMeToo以後の現在らしい役作りだったのかな、と。

彼とイツァールの娼館での酔いどれダンスはなかなか派手なことになっていて、観客も大喜びだった模様。日本人の私は酔っ払いの平野さんにドリフターズの系譜を見てしまったけど、平野さんはドリフ世代よりずっと若いですよね?(笑)。ポーズをとってニカッと笑った時に客席が受けていて、ああ平野さん、ロイヤルオペラハウスの観客に愛されてるなーと嬉しくなりました。

ギャリーのムッシュG.M.はもちろんいうことなしに突き抜けていました。レスコーの愛人のイツァール、ベガーチーフのヘイくん、ジェンツの3人、高級娼婦のベアトリスと扶生さんもよかったです。娼館のジェンツ・トロワ、すごく好きなんですよねー。「マノン」を見たあとはあの場面が脳内リピートとなるので、今も頭の中で3人がぴょこぴょこ踊っております。。今回の3人はマクミランスタイルも鮮やかで大満足でした(サンベくんプリンシパル昇進おめでとう!)。マシュー・ボールはこういうデカダンな雰囲気もイケちゃうんですね。正統派美青年もダークな敵役もイケて白塗り紳士もかっこいいなんて反則だわー。


Official Trailer

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