Sylvia / Wiener Staatsballett

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改訂振付:マニュエル・ルグリ
出演:ニキーシャ・フォゴ、デニス・チェリェヴィチコ
収録:2018年11月10,12日 ウィーン国立歌劇場 / 105分

録画

マニュエル・ルグリがカンパニーに振り付けた2作目の全幕バレエ「シルヴィア」がプレミアムシアターで放映されました。主演のフォゴは初演の後ファーストソリストに昇格。他にもルグリが採用して育て上げた若いダンサーたちの活躍が目立つ公演でしたね。


クレジット

原振付
ルイ・メラント Louis Mérante
改訂振付
マニュエル・ルグリ Manuel Legris
音楽
レオ・ドリーブ Léo Delibes
ドラマトゥルク
Manuel Legris
Jean-Francois Gazelle
after Jules Barbier / Baron Jacques de Reinach
装置・衣装
ルイザ・スピナテッリ Luisa Spinatelli
照明
ジャック・ジョヴァナンジェリ Jacques Giovanangeli
指揮
ケヴィン・ローズ Kevin Rhodes
演奏
ウィーン国立歌劇場管弦楽団 Orchester der Wiener Staatsoper
撮影監督
Francois Roussillon

キャスト

シルヴィア(ディアナに仕えるニンフ):ニキーシャ・フォゴ Nikisha Fogo
アミンタ(羊飼い):デニス・チェリェヴィチコ Denys Cherevychko
オリオン(狩人):ダヴィデ・ダート Davide Dato
エロス(愛の神):ミハイル・ソスノフスキー Mihail Sosnovschi
ディアナ(狩りの女神):ケテヴァン・パパヴァ Ketevan Papava
エンディミオン(ディアナの恋人):ジェームズ・ステファン James Stephens
A Faun:ドゥミトル・タラン Dumitru Taran
A Naiad (Soloist):ナターシャ・マイアー Natascha Mair
Two Huntresses (Soloist):イオアンナ・アヴラアム Ioanna Avraam / アリーチェ・フィレンツェ Alice Firenze
A Peasant woman:ズヴェヴァ・ガルジューロ Sveva Gargiulo
A Peasant:ジェロー・ウィリック Géraud Wielick
A little Shepherd:スコット・マッケンジー Scott McKenzie
Two Nubian Slaves (Soloist):Fiona McGee / Anita Manolova

感想

ルグリが全幕作品を振りつけるとなった時に最初に選んだのが「海賊」で、次が「シルヴィア」だというのがとても面白いなと思っています。ダンサーとして得意にしていた作品を(常々感じていた矛盾や不満を解消すべく)改定する人は結構いるけど、ルグリの場合は完全にディレクター目線からのチョイスですよね。

どちらの作品もソリストが数多く必要な作品で、踊りのボリュームもたっぷり。カンパニーの地力を底上げしてきたからこそのチョイスかなとも思うし、この作品を踊ることでダンサーの実力が更にアップするよう作り上げたところがヌレエフの子供たち世代らしい感じます。初演の舞台ゆえに、組み合わせによってはまだ段取りが見え、ルグリが意図したスリリングさに届かないところもあったけれど、それはいずれ解消すること。ダンサーの大熱演は好ましかったです。

音楽の使い方とかはあまりちゃんと把握してないので、主に構成というか演出的な部分について。ルグリ版はアシュトン版と構成が似ていて、それって元にした台本が一緒ってことですよね。最初にディアナとエンデュミオンのエピソードが入っているのが一番違うところで、しかも永遠の眠りにつくエンデュミオンを切なく見つめるディアナではなく、エンデュミオンとディアナが心を通わせるところを描いているのがルグリの優しさであったかと。エンディングでアトリビュートである弓を手放しアミンタと並ぶシルヴィアと、それを見つめるディアナの対比は、控えめな描写ながらノイマイヤー版に通じるものがありました。

現在のカンパニーの規模に合わせて作られた作品だから出演者が多くて、踊りが盛りだくさんという印象。そんな中でもやはりタイトルロールのシルヴィアの踊る量は段違いでしたが、ニキーシャ・フォゴの踊りのキレは最後まで鈍らず、見応えありました。最後のアプローズで思わずガッツポーズが出るのも納得してしまうほどで、新世代のバレリーナって感じで微笑ましかったです。

主要な登場人物は、よくぞここまでというくらいダンサーの個性にあっていて、その辺も新製作ならではの面白さですね。意外にもシルヴィア始めみんなお着替えがなく最後までほとんど同じ衣裳なのですが、エロスだけが登場する度(分量が少ないながら!)お衣裳が違うのがツボでした。黄金の褌もびっくりしたけど、羽を背負って登場したソスノフスキーの可愛らしさよ…。「海賊」のパシャの時もソスノフスキーの新たな魅力を見た!と思ったけど、「シルヴィア」で彼をエロスに配役するルグリ先生も流石でした。エロスは本当に面倒見がよいなーと思って見ていたけど、アプローズでフォゴに客席から投げられた花束を集めて渡すあたり、ソフノフスキーご本人も本当に良い人そう。

このプロダクション、ミラノ・スカラ座バレエとの共同製作のようなので、近いうちにミラノでも見られるかしら。そちらも見る機会があるといいな。