Graines d'étoiles... 5 ans après

未来のエトワールたち2-パリ・オペラ座バレエ学校-あれから5年…

監督:フランソワーズ・マリー
出演:アリス・カトネ、アントニオ・コンフォルティ、パブロ・レガサ ほか
制作:2018年 フランス / 130分

画像リンク先:amazon.co.jp - DVD

WOWOWでは「明日のエトワール。2 ~5年後のパリ・オペラ座バレエ学校~」として放映されたもの。2011年から1年間パリ・オペラ座バレエ学校の生徒たちを取材した「未来のエトワールたち パリ・オペラ座バレエ学校の一年間」の続編です。取材時に在籍した中でパリ・オペラ座バレエに入団したダンサーだけでなく、最終学年で入団試験の準備をする生徒や他のカンパニーに行ったダンサーたちのことも丁寧に扱っている素晴らしいドキュメンタリーです。


商品情報

国内|DVD(エリアビー:AREA-0028) Release: 2018/11/20

クレジット

監督
フランソワーズ・マリー Francoise Marie

エピソード/出演

1. 古典を踊る Danser classique (成長 ~ダンサーを生きるということ~)

Alice Catonnet / Chun Wing Lam / Roxane Stojanov
Ida Viikinkoskia / Eugénie Drion / Margherita Venturi
Alexandre Boccara / Julien Guillemard / Hugo Vigliotti
Clémence Gross / Takeru Coste / Ghislaine Thesmar
Pablo Legasa / Antonio Conforti / Michel Ocelot

2. 自分らしく自由に La liberté d'être soi (覚醒 ~だから、私は踊る~)

Jiří Kylián / Dorothée Gilbert / Héloïse Jocqueviel
Antonio Conforti / Pablo Legasa / Patrick Delcroix
Clémence Gross / Marion Gautier de Charnacé / Simon Le Borgne

3. エトワールへの道 Le chemin des étoiles (研鑽 ~さらなる高みへ~)

Aurélie Dupont / Delphine Moussin / Elisabeth Platel
Agnès Letestu / Florence Clerc / Antonio Conforti
Mathias Heymann / Alice Catonnet / Roxane Stojanov
Pablo Legasa / Gil Isoart / Ida Viikinkoski
Laurence Laffon / Julien Guillemard / Marion Gautier de Charnacé
Chun Wing Lam / Mathieu Ganio

4. 旅立ち L'envol (決断 ~それぞれの舞台~)

Aurélien Gay / Wilfried Romoli / Jack Gasztowtt
Luna Peigné / Milo Avêque / Elisabeth Platel
Tommaso Beneventi / Estéban Cuadrado / Balthazar Senat
Patrick Armand / Marin Delavaud / Tomasz Kajdański
Maria-Sara Richter / Simon Le Borgne

5. 人生を踊る Danser sa vie (挑戦 ~レッスンは終わらない~)
Jack Gasztowtt / Elisabeth Platel / Alexandre Boccara
Samuel Bray / Gaspar Gillet / Pauline Oliveira
Aubin Le Marchand / Charlotte Meier / Philippine Flahault
Margherita Venturi / Antonio Conforti / Marie-Agnès Gillot

# カッコ内はWOWOW放映時のエピソードタイトル

感想

チャコットのダンスキューブだったかな、パブロ・レガサのインタビューで、続編制作中と聞いて楽しみにしていました。前作ではアリスとアントニオが入団試験に合格しましたが、それから5年の間に25人の生徒がパリ・オペラ座バレエに入団したとのこと。最年少だった生徒たちは第1学年となり、入団試験の準備に入る…というタイミングです。全編を通して彼らの現在(撮影当時)と5年前との姿が対比されるので前作を見ていなくても大丈夫だけど、もし未見でしたらぜひとも前作もご覧になっていただきたい。

第1話では団員となったダンサーたちが当時やこの5年間のことを振り返り、上演を控えたヌレエフ版「白鳥の湖」の白鳥コール・ド・バレエの大変さ、最上学年の生徒が代役の候補として稽古に参加する様子などを垣間見ます。結局最上学年からはジュリアンとチュン・ウィンが代役として舞台に立つことになり、チュン・ウィンのご両親が香港から舞台を見にやってきました。当時の価値観で作られた古典作品の男女の役割や人種表現などについて意見を述べ合う姿も。

第2話はキリアン・プロに挑むダンサーたちを追っていました。「タールと羽根」でドロテ・ジルベールと組むことになったアントニオはどうしても1つの動きがうまくいかず、ドロテと疲労困憊になりながら練習し続けます。パブロは入団当初、毎日床に座って稽古を見ているだけで踊れなかったのが辛かった、と。学校時代の「卒業舞踏会」ドラマーボーイを踊っている姿が映るのですが、本当に最高だなこの子。キリアンはダンサーたちに舞台上で生身の人間であることを要求します。学校時代は別の何かになることを求められたけれど、自分自身であれ、と。公演を通して彼らがまた1つ大きくなったことが伝わるエピソード。

第3話は昇級試験の準備に終われるダンサーたち。各ダンサーを指導するエトワールの姿なども見られるエピソードでした。自由曲のチョイスに個性が見えますね。稽古場を予約するために早朝からガルニエ宮にやってきたりと、知らなかった裏側も。2016年は男性コリフェが2席でそれ以外は全て1席のみで、取材していたダンサーの中ではアリス・カトネのみがスジェに昇級となりました。

第4話は学校公演の練習に励む第1学年の生徒たちに目を向けるほか、バレエ学校を卒業せずに去った人の様子も追っています。17歳のトマゾ、エステバン、バルタザールはサンフランシスコ・バレエ・スクールで、オペラ座バレエ学校とは違う空気の中で学んでいました。数ヶ月後トマゾとエステバンはバレエ団の研修生に(エステバンは今も研修生のようですね)。また、オペラ座の入団試験で6位となり有期限雇用も断念したマランは1年間ドレスデンで学びチェコのバレエ団を経てデッサウ歌劇場バレエへ移籍。小さなバレエ団ですが恋人とともに移籍して活躍していました。でも入団試験の時の話になるとお父様共々涙が出てしまうのね…無理もないことだけど。その後彼はライン・ドイツ歌劇場バレエに移籍。彼女とは別々に…(でも検索したらその後彼女もラインに移籍したみたいなのだけど、今のロースターには二人とも名前がありませんでした)。

最終話は入団試験の結果発表から。男子は4人の入団が決まり、「ラ」の男の子、アレクサンドルが一位です。そして、今回もバレエ学校を去った人たちを追っています。俳優を目指すガスパール、バレエの夢を諦めきれないポーリーヌ、ギタリストとして活躍していながら再度オペラ座を目指すと決意したオバン、国内や海外のカンパニーのオーディションを受けるというフィリピーヌとシャルロット、そしてマルゲリータもボルドー・バレエの短期契約へと向かいます。学校時代マルゲリータに親身だった同じイタリア出身のアントニオは、オペラ座のイタリア人ダンサーのグループ公演でラヴェッロへ。マリ=アニエス・ジロと「シーニュ」を踊っていました。そして故郷に戻って家族と過ごし、自らの原点に戻り、踊りに生かしたいと語ります。


以上、ざっと内容はこんな感じでした。入団して舞台に立つダンサーたちは頼もしいことこの上なく、このドキュメンタリーを見た分だけ親近感もあり応援してしまいます。彼らが第1話で語っていた古典バレエの価値観については、今後どのようにバレエ界が方策を見つけていくのか私も気になります。ギレーヌ・テスマーは「考古学みたいなものよ」と『ラ・シルフィード』の世界観を語っていましたが、そうは言っても、ね…。

途中で退学になったり入団できなかった人たちの挫折や無念もひしひしと伝わってきます。デッサウにいたマラン君はクラスレッスンを見ても他のダンサーとはちょっとレベルが違っていて、もっと大きなところで自分を試したいのも道理だよなあ、と。2016年12月の白鳥といえばジェルマン・ルーヴェがエトワールにノミネされた時ですが、その話が全く出てこないのも潔い(笑)。

そういえば第1話で「キリクと魔女」の監督ミシェル・オスロが次回作のダンスの動きのためにパブロのダンスを撮影する場面があったのですが、その映画って「ディリリとパリの時間旅行」のことみたいですね。今年の夏に日本でも公開とのこと。時代設定がツボすぎてワクワクします。ちなみに、YTにあったこの動画( https://youtu.be/P56ALdTzmC4 )が、まさにパブロが踊っていたダンスをもとにしたアニメーションでした。