The Nutcracker / Ballet Company of the National Opera of Ukraine

チャイコフスキー-バレエ「くるみ割り人形」-DVD-キエフ・バレエ

振付:ヴァレリー・コフトゥン
出演:ユリア・モスカレンコ、ミキタ・スホルコフ 他
収録:2018年5月 キエフ、ウクライナ国立歌劇場 / 97分

画像リンク先:amazon.co.jp - 国内仕様DVD

キエフ・バレエ、すなわちタラス・シェフチェンコ記念 ウクライナ国立バレエのコフトゥン版「くるみ割り人形」がBel AirからDVD/Blu-ray化されました。来日公演でおなじみの演目ですが意外にコフトゥン版映像は少ないので貴重かも。


商品情報

海外|DVD(Bel Air Classiques:BAC161)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2019/01/25

[海外盤] Release: 2019/01/11

海外|Blu-ray(Bel Air Classiques:BAC561)

[国内仕様盤] Release: 2019/01/25

[海外盤] Release: 2019/01/11

クレジット

振付・演出
ヴァレリー・コフトゥン Valery Kovtun
音楽
P.I. チャイコフスキー Pyotr Ilyich Tchaikovsky
原作
E.T.A.ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann
台本
マウリス・プティパ Marius Petipa
衣装・舞台美術
マリア・レヴィツカ Mariia Levytska
照明
イーゴリ・サマレツ Igor Samarets
指揮
オレクシー・バクラン Oleksiy Baklan
演奏
ウクライナ国立歌劇場管弦楽団 Orchestra of the National Opera of Ukraine
合唱
ウクライナ国立歌劇場合唱団 Chorus of the National Opera of Ukraine
撮影
Bertrand Normand

キャスト

シュタールバウム:オレクシー・コヴァレンコ Oleksiy Kovalenko
その妻:リュドミラ・メルニク Liudmyla Melnyk
クララ、その娘:ユリア・モスカレンコ Iuliia Moskalenko
フリッツ、クララの弟:エリザヴェータ・グギーゼ Ielizaveta Gogidze
ドロッセルマイヤー:ヤロスラフ・トカチューク Iaroslav Tkachuk
くるみ割り人形:エリザヴェータ・チェルニャク Ielizaveta Cherniak
くるみ割り人形/王子:ミキタ・スホルコフ Mykyta Sukhorukov
ねずみの王様:ルスラン・アヴラメンコ Ruslan Avramenko
道化:セルギイ・クリャーチン Sergii Kliachin
コロンビーネ:ハンナ・ムロムツェワ Ganna Muromtseva
悪魔の娘:マリア・ネレン Marjia Nelen
悪魔:ヴォロディミール・クトゥーゾフ Volodymyr Kutuzov
Spanish Dolls:Raisaa Betancourt / Oleksandr Shapoval
Indian Dolls:Anastasia Shevchenko / Sergii Kliachin
Chinese Dolls:Ielizaveta Gogidze / Mykyta Hodyna
Russian Dolls:Marjia Nelen / Iaroslav Tkachuk
French Dolls:Lina Volodina / Oksana Sira / Vladyslav Romashchenko / Maksym Bilokrynytskyi

# 役名・人名表記は輸入代理店による

感想

2018年にウクライナ国立歌劇場で収録されたもので、最新映像かつ本拠地で自前オケ&バクランさん指揮で収録されたのが、まず良いことですね。ダンサーたちのタイミングを知り尽くしたバクランさんとオーケストラゆえ、踊りと音楽がハマっていくのが爽快でした。

私はキエフ・バレエの来日公演をみていないし、以前amazonで買ったキエフ・バレエらしき「くるみ割り人形」を除けばコフトゥン版は初めてだと思います。今回のDVDにはリーフレットがなくプロダクションノートを参照できなかったのですが、プティパの台本を元にしているとのことなので、設定そのものはオリジナルに近い部分が多いのかもしれません。

現代の演劇性を重視する演出主流の中で見ると潔いほどに古めかしく、ダンサーたちにも(それ以降の版で求められる典型的な)役柄の演技があまり見られないことから、見慣れた様々な版の「くるみ割り人形」基準だと物足りなく感じてしまうと思います。ツッコミどころも多々あり。オリジナルに近いと思えばそれはそれで興味深いのですが…のちに改訂版がたくさん出てくるのもわかるよね、となりました。

1幕パーティシーンのクリスマスツリーはとても控えめ。一応ツリーが大きくなるシーンもありますが、ロシア正教的な祭壇っぽいもの(詳しくないので間違っていたらすみません。1幕ではイコンなども飾られていたような)の後ろ側で一体化するように大きくなるので、映像だとさほど目立ちません。でもこの祭壇的なものがロシア系っぽくていいのですけれど。細かいことをいえば、祭壇の時計が動けば尚良かったかな。全般に舞台装置はロシア系っぽさがあり、そこは気に入っています。衣装は物によっては色づかいがちょっと。でもパーティでの大人たちの白鬘とゴールド系の衣装はそのバロックダンスっぽい踊りとよく合っていて好ましかったです。

1幕の人形たちと2幕ディヴェルティスマンの人形たちは、昨今の時流からすればカリカチュアが目につくものもあり(これは見ているこちらの意識が変化したと言えるのですが…)、この辺りの異国情緒を味わうための描写は、近い将来博物館的価値の中でしか(あるいはそれすらも)上演されなくなっていきそうですね。2幕のアラブの踊りがインド人形の踊りになっていてゾベイダと金の奴隷そのものの衣装だったのが目を惹きました。


クララ役のユリア・モスカレンコは長身で愛らしい美人さん。少女らしさを強調することはなかったですが、ハツラツと伸びやかな踊りで魅せてくれました。グラン・パ・ド・ドゥの姫チュチュ姿の華やかな佇まいの説得力がすごい。ミキタ・スホルコフ(光藍社表記でニキータ・スハルコフ)との組み合わせは、スホルコフが本当に恭しくクララに接するので、夢の中の王子よりドロッセルマイヤー(この版では年寄りでも変人でもないようで、踊りの見せ場もあるので)との方がドラマが生まれて面白そう、と思ってしまったりも。もちろんスホルコフの王道ダンスール・ノーブルな美しい踊りはこの映像の白眉なんですけどね。

モスカレンコだけでなくとにかくみんな背が高くて手足が長いので、プロポーションに恵まれたダンサーたちが踊るロシア系クラシックを見る楽しみがありました。本拠地の気軽さゆえか時々「お仕事でーす」みたいなダンサーもいることはいるのですが、優れたダンサーを多数生み出しているウクライナだけある、と感心。クララと王子が乗ったゴンドラを押す立ち役の従者たちすら麗しいつま先を存分に見せつつ舞台を横切って行くのですもの。

他に印象に残ったのは、雪のシーンは合唱は大人の女声だったことでしょうか。これは子供達の合唱が自分の中で基本となっているので、意外でした。んー、やっぱり子供達の声が好きかな。


Official Trailer

vc vc