The Little Mermaid / Czech National Ballet

Little Mermaid [DVD]

振付:ヤン・コデット
出演:マグダレーナ・マチェイコヴァー、オンドジェイ・ヴィンクラート ほか
収録:2017年9月28日 プラハ国立劇場 / 100分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD

シュツットガルト・バレエの元プリンシパル、フィリップ・バランキエヴィッチが芸術監督をつとめるチェコ国立バレエの「人魚姫」の初演は2016年11月。その1年後の再演の舞台を収録した映像となります。


商品情報

海外|DVD(Euroarts:2067498) Release: 2018/07/06

FORMAT:NTSC / REGION:0

クレジット

振付
ヤン・コデット Jan Kodet
音楽・音響
ズビニェク・マチェユー Zbyněk Matějů
台本
ヤン・コデット Jan Kodet
ルカーシュ・トルピショフスキー Lukáš Trpišovský
マルティン・ククチュカ Martin Kukučka
原作
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話『人魚姫』 Hans Christian Andersen: ”The Little Mermaid”
演出
SKUTR
(マルティン・ククチュカ Martin Kukučka
ルカーシュ・トルピショフスキー Lukáš Trpišovský)
プロジェクション
ランチミート Lunchmeat
ヤクブ・コペツキー Jakub Kopecký
装置
ヤクブ・コペツキー Jakub Kopecký
衣裳
アレクサンドラ・グルスコヴァー Alexandra Grusková
照明
ダニエル・テサシュ Daniel Tesař
アニメーション
エリク・バルトシュ Erik Bartoš
ヤン・コレガル Jan Kolegar
指揮
アンドレアス・セバスティアン・ヴァイザー Andreas Sebastian Weiser
演奏
プラハ国立劇場管弦楽団 The National Theatre Orchestra
シモーナ・ホウダ=シャトルロヴァー Simona Houda-Šaturová
カテジナ・インドロヴァー・ジトコヴァー Kateřina Jindrová Zítková
映像監督
パトリック・ラウゼ Patrick Lauze

キャスト

人魚姫:マグダレーナ・マチェイコヴァー Magdaléna Matějková
王子:オンドジェイ・ヴィンクラート Ondřej Vinklát
祖母:荻本美穂 Miho Ogimoto
魔女:ミヒャエラ・ヴェンゼロヴァー Michaela Wenzelová
セラフィム:マティアス・ドゥヌ Mathias Deneux
王女:渡部綾 Aya Watanabe
王:マレク・スヴォボドゥニク Marek Svobodník
若い魔女:アリス・プティ Alice Petit
愛人:ジョヴァンニ・ロトロ Giovanni Rotolo
女王:ミヒャエラ・チェルナー Michaela Černá
灯台守:ダディヤ・アルテンブルク=コール Dadja Altenburg-Kohl

# 日本語表記はクラシカジャパンによる

感想

振付のヤン・コデットの作品は、やはり童話を元にした「ゴルディロックス」をDVDで見たことがあります。衣装と照明もその作品と同じ方が担当されているよう。ズビニェク・マチェユーの音楽はこの作品のために作られたとのこと。

当然のことではありますがアンデルセンの童話から振付家が伝えたいところに焦点が絞られてアレンジされているので、それを把握するのにちょっと時間がかかってしまいました(実は今もちゃんとわかってないのですが、自分が感じたままに…)。

振付としてはバレエベースのコンテンポラリーダンスで、割と明快。ダンサーはみんなフィジカル強そうな印象を受けました。人魚たちは素足で、人間の女性たちはバレエシューズを履いてクラシック・バレエに少し近い語彙で踊っていたのかなと思います。人魚姫と言っても足の動きに制約を与える方向ではなく、だから海の中を自在に泳ぐかのように踊っていたのが印象に残っています。

世界観としても、海の中の方がチェコのアニメーションとか絵本や人形劇あるいはブラックライトシアターなどに通じる独特な雰囲気が見え隠れして、ところどころツボを刺激されて楽しかったです。振付家も人間の世界じゃないところに想像力をより刺激されたのかなーという気がしました。描写もいろんな面で海の中の方が面白く描かれていたような。

人魚姫役のマグダレーナ・マチェイコヴァーは最初の海の中の場面が本当に魅力的でした。メイクや髪型がガラッと変わるので、人間の姿になったときに同じ人なの?と思ってしまったくらい。人間の姿になるための大きな犠牲や痛み 報われない王子への想いは強調されず、その困難もさらりと受け止めているようにも見えました。悲劇だけれど救いのある終わり方になっているのが美しかったです。王子のそばにいられる人魚姫の無邪気な幸せは、物言わぬ心の成熟を思うと幼さすら感じさせる佇まいで、そのあたりは人によって評価が分かれるところかもしれません。

オリジナルのキャラクター、人魚姫の友達であるSeraphin(イルカって書いてあるサイトもあった)役のマティアス・ドゥヌは、とてもチャーミング。彼が人魚姫のために払った犠牲に、ちょっとうるっときました。人魚姫の祖母役は荻本美穂さん。孫の人魚姫を想う愛情と強さ、そしてアームスの表現に釘付けになりました。しかしこのプロダクションだと父である海の王様は何にも役に立たないなー(笑)。

魔女と恋人の下りがちょっとわかりにくかったのだけど…あれですかね、魔女も昔人魚姫と同じように人間の男性に恋をしたけれどかなわず、魔法のナイフで恋人の心臓を刺して海の底でその屍を大切にしながら暮らしているということなのかな。魔女役のミヒャエラ・ヴェンゼロヴァーの毒々しい表現もよかったですが、その死んだ恋人役のジョヴァンニ・ロトロ、ちょっとしか踊らなかったけどとても魅力的に踊るダンサーでした。

王子はノイマイヤー版に通じる愛すべき鈍感さがありました。王子の髪を触るのが愛情表現になっているのは面白い。婚約者の王女役、渡部綾さんも美しく清らかな佇まいでした。プロダクションとしてそこまで重点を置いて描かれないのは残念だったけれど、カーテンコールでの笑顔も印象に残っています。

全体の中では小さな一部分なのですが、人間の世界を見に行く前の人魚姫が身を飾るというシーンが省略されずに表現されていたのは、ちょっと嬉しかったです。子供の頃絵本を読んで、真珠で身を飾るシーンが大好きだったのを思い出しました。

舞台はあまり大きく内容ですが、空間を大きく使った作品で、劇場で見るのも楽しそう。どうせならせっかくの美しい劇場空間も映してくれたならもっと良かったのになあ。


Official Trailer

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