El Amor Brujo / Victor Ullate Ballet

noimage

振付:ビクトル・ウリャテ
出演:マーレン・フエルテ、クセニア・アバゾワ、ドリアン・アコスタ 他
収録:2014年12月27,29日テアトロ・レアル(マドリード) / 102分

録画

クラシカジャパンで録画。1994年5月初演のウリャテ振付「恋は魔術師」が芸術監督エドゥアルド・ラオの演出で新しく生まれ変わった…ものだそう。フラメンコとバレエが融合した、情熱的かつスタイリッシュな作品でした。


クレジット

振付
ビクトル・ウリャテ Victor Ullate
音楽
ファリャ:バレエ『恋は魔術師』 Manuel De Falla
ルイス・デルガド Luis Delgado
イン・スローター・ネイティヴズ In Slaughter Natives
演出
エドゥアルド・ラオ Eduardo Lao
照明
Paco Azorín
衣装
María Araujo
サウンドデザイン
Miguel Lizarraga
映像
Greyman
指揮
ジョセップ・ビセント Josep Vicent
演奏
テアトロ・レアル管弦楽団 Orchestre Titulaire du Teatro Real
エストレージャ・モレンテ(歌) Estrella Morente
ペドロ・シエラ(ギター) Pedro Sierra
撮影監督
ソニア・パラモ Sonia Paramo

キャスト

カンデーラ:マーレン・フエルテ Marlen Fuerte
ルチア:クセニア・アバゾワ Ksenia Abbazova
ホセの幽霊:ドリアン・アコスタ Dorian Acosta
カルメロ:ホスエ・ウリャテ Josue Ullate
予言者:レイレ・カストレサーナ Leyre Castresana
ロマ女:ラウラ・ロシリョ Laura Rosillo
ロマ:ルーベン・オルモ Ruben Olmo, Guest Artist
詐称者:ホセ・ベセッラ José Becerra
天使:マリアーノ・カルダーノ Mariano Cardano / クリスチャン・オリベーリ Cristian Oliveri

Andrea Chickness / Elena Dieguez / Alba Egido / Martina Giuffrida / Maider Gonzalez / Charlotte Lanning / Ines Marroquin / Kana Nishiue / Nora Peinador / Alba Tapia / Zhengjia Yu / Lorenzo Agramonte / Fernando Arronte / Jose Becerra / Alejandro Bretones / Fernando Carratala / Mikael Champs / Daniel Pacheco / Alberto Penalver / Philippe Solano

# 役名、人名日本語表記はクラシカジャパンによる

感想

カンパニーのサイトにあった説明によると、新しいバージョンで変わったところは衣装と演出…ウィルオウィスプを重要な特色として取り入れ、また音楽も新たにIn Slaughter Nativesを加えたりしているようです。ヴィクトール・ウリャテの元の版も見たことがないから比較はできませんが、現代的な演出手法によって古くからの火への畏敬の念のようなものが表現されていて、ダンスの語彙的にもフラメンコを取り入れたコンテンポラリーダンスといった趣き。音楽・演出・振付いずれも伝統と現代性がうまくミックスされた作品になっている印象を受けました。

浮気者のホセ、妻(または恋人)のカンデーラ、カンデーラの新しい恋人カルメロ、カンデーラの友人ルチア、という4人の愛憎劇にロマの男女なども加わって…私は元々のお話をよく知らなかったので、初見では理解が追いつかず。何度か見て多分お話は把握したと思うのだけど、納得はしていない、みたいな…まあそれは後で書くとして。

カンデーラ役のマーレン・フエルテは美しく情熱的なダンサー。元々はキューバ国立バレエにいたようで、現在はニースのオペラ座にいるようです。火祭りの踊りは圧巻でした。その浮気者の夫ホセを演じるドリアン・アコスタの存在感が凄すぎて、これホセの話だよねっていう。カンパニーのバレエマスターも兼任しているっぽいのでベテランなのでしょうけど、身体が柔軟でバネが効いていてドラマティックな佇まい。舞台に出てきたら、彼に目が吸い寄せられます。

最初にホセに誘惑されるロマ女のラウラ・ロシリョは、強い瞳と長い腕にハッとさせられました。その腕を生かしたムーヴメントが印象に残ります。彼女は現在オランダ国立バレエに在籍しているそう。カルメロ役のホスエ・ウリャテはこのメンバーの中では色のつかない美しい踊りのダンサー。演出ゆえかもしれませんが、もう少しキャラが立つと面白いかもしれません。とにかくホセが強烈だから。

カンデーラの友人ルチア役はクセニア・アバゾワ。元々はボリショイにいてこちらに移籍し、今年からモンテカルロ・バレエに移ったそうです。予言者は歌手のエストレージャ・モレンテとダンサーのレイレ・カストレサーナが二人で演じていました。ゲストのフラメンコ・ダンサー、ルーベン・オルモはロマ役で、ホセを刺殺して逃亡?のちにカーニバルかディヴェルティスマンか?でフラメンコを披露。

装置を使わず照明とヴィデオプロジェクション、スモークなどを使っていましたが、それがうまくハマっていたような。小規模なカンパニーはこの手法が主流になってきているのでしょうね。ヴィデオプロジェクションも洗練されていくし。この世界と異界とを行き来するホセの存在を表す鬼火、情念としての炎、念を込める火祭りの火など「火」の表現の多彩さ、鏡面っぽい床に反射する月なども印象に残ります。

異界にいるホセはカラスかしら?ロットバルト的な鳥がたくさん出てきました。全身黒オーガンジーのコウモリたちも。そうか、構成はグランド・バレエ的なのかもしれませんね、こういう異界の場やディヴェルティスマン的な筋にあまり関係ない踊りが挿入されているのって、クラシック・バレエファンにはお馴染みすぎる手法だわ。

…でね、納得がいかないところなんですけど。これは元々のお話がそうなのだろうと思うのですが、ホセの亡霊に悩まされるカンデーラは火祭りの踊りでホセの霊を呼び出すのですよね。で、自分の友人のルチアにその霊の相手をさせて自分は新しい恋人と一緒になるわけです。このバレエでの描写だと、ルチアはホセに異界に連れていかれちゃったように見えるのだけど、、、友達にそんなことさせて自分は恋人と幸せにってそんなのありなのかなーって。ルチアが元々ホセを好きだった、ならばわからなくはないのだけど、そうも見えなかったし。というところがモヤるのでした。

それでも、予想よりずっと楽しめました。こうなるとカルロス・サウラ監督の映画「恋は魔術師」も見る機会があるといいなーと思ってしまいます。
なお、本映像は原盤の状態ということで一部映像と音声に乱れがありましたが、それ以外は美しく撮影されていました。