L’Opera, The Paris Opera

新世紀、パリ・オペラ座 [DVD]

監督:ジャン=ステファヌ・ブロン
出演:ステファン・リスナー、フィリップ・ジョルダン、バンジャマン・ミルピエ、オレリー・デュポン
制作:2017年 フランス・スイス / 111分

こちらはパリ・オペラ座公式プロデュース映画なのだそう。パリ・オペラ座の内部を撮影した映画はいくつもあるけれど、これは原題の「L’Opera」が示す通り、パリ・オペラ座という2つの歌劇場を持つ1つの大きな組織に焦点を当てた映画になっていました。


商品情報

国内|DVD(ギャガ:GADS-1694) Release: 2018/04/27

特典映像:日本版予告編/キャスト・スタッフ プロフィール(静止画)/プロダクションノート(静止画)

クレジット

監督
ジャン=ステファヌ・ブロン Jean-Stéphane Bron
出演

ステファン・リスナー Stéphane Lissner, オペラ座総裁
フィリップ・ジョルダン Philippe Jordan, オペラ座音楽監督
バンジャマン・ミルピエ Benjamin Millepied, バレエ団芸術監督
オレリー・デュポン Aurélie Dupont, バレエ団芸術監督

ミハイル・ティモシェンコ Mikhail Timoshenko, バス・バリトン

ロメオ・カステルッチ Romeo Castellucci, オペラ演出家

ブリン・ターフェル Bryn Terfel, バス・バリトン
ヨナス・カウフマン Jonas Kaufmann, テノール
オルガ・ペレチャッコ Olga Peretyatko, ソプラノ
ブランドン・ヨヴァノヴィッチ Brandon Jovanovich, テノール
ジェラルド・フィンリー Gerald Finley, バス・バリトン
ミヒャエル・クプファー=ラデツキー Michael Kupfer-Radecky, バリトン

アマンディーヌ・アルビッソン Amandine Albisson, エトワール
エルヴェ・モロー Hervé Moreau, エトワール
ファニー・ゴルス Fanny Gorse


収録演目(抜粋)
  • 「デフィレ」
  • 歌劇「モーゼとアロン」 Mose et Aaron
  • 「ラ・バヤデール」 La Bayadere
  • 歌劇「ファウストの劫罰」 La Damnation de Faust
  • 歌劇「リゴレット」 Rigoletto
  • 「La nuit s'achève」
  • 歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 Les Maitres Chanteurs de Nuremberg

感想

この映画を見て、パリ・オペラ座とはまるで1つの巨大な生き物のようだ、と感じました。呼吸し、脈動し、絶えず動き続ける生き物。その巨大なHOUSEを成り立たせている様々な人たちの仕事ぶり、関わりを見せてくれるのがこの映画だったかと。

映画の中では何一つナレーションもテロップによる説明もありませんが、何が起きているかは映画から伝わります。2015年に起きたシャルリー・エブド襲撃事件、同時多発テロの影響からも当然無関係ではいられませんし、ミルピエの電撃辞任もしっかり収められています。毎年オペラ座を悩ませるストの問題も…。

総裁のステファン・リスナーの仕事ぶりに一番の焦点が当てられていて、どのように運営されているのかが見えるのは興味深いことでした。多くの新作を用意し、文化庁からは人員削減を迫られ、スタッフからは人員削減と賃金を理由にストをちらつかされ、更には安いチケットを用意してイメージアップを図るというような戦略も。ミルピエ辞任の前に彼と電話で話す様子は更に好奇心を刺激されますね。。。「モーゼとアロン」の初日は総裁室のモニターでご覧になったようですが、劇場で舞台を見守る様子も多数収められておりました。

もう一人、オペラ座のアカデミーに合格した歌手ミハイル・ティモシェンコも美しい縦糸になっていました。フランス語がほとんど話せないままにパリにやってきて学び、憧れのターフェルと話し「今度一緒にボリス・ゴドゥノフを勉強しよう」と言われて有頂天になるのが可愛い。アカデミーのリサイタルか何かでうまくいかずに落ち込んだりしつつ、映画の最後に紹介されたリサイタルでは表現力に磨きがかかった素晴らしい歌唱。オペラ座にいる間にたくさんのファンもついたようで、楽屋口でたくさん「よかったよ」をもらっていました。

バレエシーンはそう多くないのですが、バレエダンサーではファニー・ゴルスがフィーチャーされていて、「ラ・バヤデール」影のソリストを踊る様子や舞台袖の様子なども。テロの後最初にバスティーユで開催された「ラ・バヤデール」公開リハーサルの開始前には舞台の上と客席とで黙祷が捧げられたのですが、観客席のみならず、警備員室(かな?)など劇場内のスタッフが皆さん黙祷を捧げられていました。他にはミルピエ振付の「La nuit s'achève」を稽古するダンサーたちの様子も。

オペラの方は「モーゼとアロン」での演出家と合唱団との軋轢を始め…舞台用に選ばれた牛が慣れるためにスピーカーで合唱を延々聞かされている様子には思わず笑いが出ました。マイスタージンガーでは合唱団への振付指導という珍しいものが見られたり、公演2日前に降板した歌手の代わりを探すスタッフと、不安でいっぱいであろう代役の歌手のみならずスタッフをもとびきりの笑顔で元気付けるヨヴァノヴィッチの姿も印象的でした。彼が歌うのを舞台袖のオペレーター二人も一緒に口ずさんでいたのもよかった。音楽監督のジョルダンはいつもエネルギッシュで素晴らしいリーダーですね。

月1回の子供のためのバイオリンプログラムが紹介されていたのもよかったです。支援者のウルシュラさんは参加する子供たちにとっても慕われていて。本番当日、メイクさんにメイクしてもらって舞台に立つ子供たちの表情の美しさよ。他にも衣装・カツラ部門、清掃スタッフなど本当に大勢のスタッフが登場する映画で、これがオペラ座の公式プロデュースというのは納得の目配りであると同時に、良い宣伝にもなったことでしょう。


Official Trailer

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