Restless Creature: Wendy Whalen

監督:リンダ・サファイア、 アダム・シュレシンジャー
出演:ウェンディ・ウィーラン 他
制作:2016年 アメリカ / 本編93分 + 特典映像88分

画像リンク先:amazon.co.jp - 北米版DVD

NYCBを代表するバレリーナだったウェンディ・ウィーランがカンパニーを引退し、新たな舞台へ挑む姿を追ったドキュメンタリー。amazon.comからDVDを買ったのですが、さて感想を書こうと思ったところで日本語字幕付きがNetflix(タイトル:休みなき挑戦: あるバレリーナの引退)に用意されていることを知りました…。DVDの方はリージョン1ですが本編は英語字幕も用意されています。特典映像も充実。
https://www.netflix.com/jp/title/80173625


商品情報

海外|DVD(Kino Lorber:K22568) Release: 2017/11/07

FORMAT:NTSC / REGION:1

特典映像:A Conversation with Wendy Whelan, guest: Christopher Wheeldon, Jock Soto, Craig Hall, Tyler Angle (49:50) / Trailer (2:15) / Additional Dances: ”La Sonnambula”(6:53) ”Dances at a Gathering,”(2:43) ”Concerto DSCH,”(5:42) ”After the Rain,”(10:00) / Curtain call for Wendy Whelan’s Farewell Performance (9:58)

クレジット

監督
Linda Saffire / Adam Schlesinger
出演
Wendy Whelan
Peter Martins, Ballet Master in Chief, NYCB / Emily Coates, Yale University / Marika Molnar, Physical Therapist / Gia Kourlas, Dance Critic, The New York Times / Kay Whelan, Wendy’s mother / Dr. Marc Philippon, Surgeon / David Michalek, Wendy’s husband, Creative Director, Restless Creature / Adam Barrett, High school friend / Michelle Rodriguez, Physical Therapist / Craig Hall, Soloist, NYCB / Tyler Angle, Principal Dancer, NYCB / Maria Kowroski, Principal Dancer, NYCB / Maria Scherer, Chidfood friend / Alexei Ratmansky, Choreographer / Christopher Wheeldon, Choreographer / Philip Neal, Former Principal Dancer, NYCB, / Kyle Abraham, Choreographer / Darren Walker, Ford Foundation / Josh Beamish, Choreographer / Alejandro Cerrudo, Choreographer / Brian Brooks, Choreographer / Ilter Ibrahimof, Wendy’s Manager / James Gallegro, Physical Therapist / Wendy Perron, Dance Magazine / Peter Boal, Former Principal Dancer, NYCB / Lisa Ashe, Wendy’s sister-in law

演目(抜粋)
  • Glass Pieces - choreography: Jerome Robbins
  • Liturgy - choreography: Christopher Wheeldon
  • George Balanchine's Nutcracker - choreography: George Balanchine
  • La Sonnambula - choreography: George Balanchine
  • Symphony in Three Movements - choreography: George Balanchine
  • Agon - choreography: George Balanchine
  • The Cage - choreography: Jerome Robbins
  • Les Carillons - choreography: Christopher Wheeldon
  • Herman Schmerman - choreography: William Forsythe
  • Concerto DSCH - choreography: Alexei Ratmansky
  • Dances at a Gathering - choreography: Jerome Robbins
  • After The Rain - choreography: Christopher Wheeldon
  • Polyphonia - choreography: Christopher Wheeldon
  • Ego et Tu - choreography: Alejandro Cerrudo
  • The Serpent and The Smoke - choreography: Kyle Abraham
  • Walz Epoca - choreography: Josh Beamish
  • First Fall - choreography: Brian Brooks
  • This Bitter Earth - choreography: Christopher Wheeldon
  • Pictures at an Exhibition - choreography: Alexei Ratmansky
  • By2 With & From - choreography: Christopher Wheeldon & Alexei Ratmansky

感想

2014年秋、30年間在籍したNYCBを引退したプリンシパルのウェンディ・ウィーラン。この映画は2013年の夏、彼女が46歳の時点から始まります。それまでほとんど大きな怪我をしたことがなかった彼女が股関節を痛めて手術を選ぶところから、舞台に復帰して引退公演の日を迎え、その先へと進む…彼女にとっての大きなマイルストーンの日々が収められていました。

全編を通してウェンディは何も隠し立てすることなく常に気持ちをまっすぐカメラに吐露。友人や夫との会話、仕事仲間から寄せられる信頼と親愛からも、オープンで誠実な人なのが映画のどこからでも伝わってきます。その心情に寄り添うように見ているからか、復帰初日の舞台の後、楽屋で一人うつむくように何事かを思う彼女の背中はとても神聖なものに感じました。

踊り続けるために手術を選んだ彼女は、遠回しに引退を促されるようなカンパニーの態度の中でリハビリを続け、舞台へ復帰し、引退、個人プロジェクトの「Restless Creatures」へと進んでいきます。その中で、友人たちとかわす「ダンサーの後の人生」の話、振付家と作品を作ること、特にラトマンスキーとウィールドンとの結びつきの強さ、ジェネレーションからジェネレーションへ手渡すパートナーシップ、など彼女が築いてきた人間関係の豊かさが、この映画をより素晴らしいものにしています。


ウェンディ本人、パートナーのクレイグ・ホール、テイラー・アングル、それぞれが語るパートナーシップの話も素晴らしかったし、怖いリフトをためらうウェンディが「でも私はテイラーを心から信頼しているからもう一度トライするわ」っていうリハーサルシーンもぐっときます。でもそれ以上に、引退の日に楽屋でウェンディが語ったクレイグと初めて組んだ時の話が笑えます(書かないよー・笑)。

フィリップ・ニールとウェンディの会話は、以前見たメリル・アシュレイのキャリアトランジションの映画を思い起こさせまました。ピーター・ボウルは具体的に彼女の人間性の素晴らしさを。彼女が復帰した時に顔を見せる同僚たちの笑顔もいいし、ほぼ号泣でウェンディを抱きしめるアルバート・エヴァンズの姿にはこちらも涙が…。なお、この映画はアルバートに捧げられています。

振付家との共同作業も、「Restless Creature」の振付家のみならず、ウィールドンやラトマンスキーとの現場も収められています。ラトマンスキーが後数週間で引退する彼女を自分の新作に熱望したというエピソードだけでも彼女がいかに振付家に愛されたダンサーだったかがわかりますし、引退する彼女のために二人の振付家が分担して作品を作るというのも凄いこと。アレクセイが9年前、初めてウェンディに作った「ロシアン・シーズン」の最初のステップを、この最後の作品の最後のステップに持ってきた、という話なんて、ホントもう…。

この映画のハイライトはもちろん引退公演で、当日の客席にはジャック・ダンボワーズやお名前はわからないけどNYCBの元同僚の姿が。その中にはジリアンと坊主頭のイーサンの姿もありました。彼女の楽屋と廊下は写真やバルーン、ペーパーフラワーなどで飾り付けられ、楽屋のドアにはバラの花びらが撒かれていました。花も続々届きます。

本編には最後の新作が(15分のうちの)5-6分とカーテンコールの一部が収められていますが、特典映像にはそれ以外の演目が割とたっぷり(ほぼ大部分かも?)収録されています。バランシン、ロビンズ、ラトマンスキー、ウィールドンという選択はNYCBのレパートリーの柱(バランシン/ロビンズ/現代の振付家)を示すものでもありますが、そのいずれでも彼女が大きな役割を果たしてきた証拠でもありますね。特典にはカーテンコールも10分間収録。これだけでも買ってよかったと私などは思うのでした。

書いてないことがたくさんあるのですが、あとはご自身で是非!ということで。


そうそう、映画の中盤、ダンサー仲間が集まるパーティに、ジョック・ソトやコウロスキ/ハーヴェイ夫妻らと共にエドワード・ワトソンがいました。ほんの一瞬しか映らないけど、くつろいでて可愛かったわ。


Official Trailer