Ballerina, Ella

Ballerina

監督:Douglas Watkin
出演:Ella Havelka
制作:2016年 オーストラリア / 86分

画像リンク先:amazon.com - DVD-R

ウィラジュリ族の子孫であるElla Havelkaは、オーストラリ・バレエ50年の歴史で初のオーストラリア先住民族出身のダンサーで、契約の際には国内でトップニュースとして扱われたそう。その彼女を追ったドキュメンタリーです。元々のタイトルは「Ella」だと思うのですが、amazon.comでは「Ballerina」のタイトルでオンデマンド出版されています(リージョン制限入り)。


商品情報

海外|DVD(Gravitas Ventures) Release: 2018/02/13

FORMAT:NTSC / REGION:1

海外|Blu-ray(Gravitas Ventures) Release: 2018/02/13

クレジット

監督
Douglas Watkin
出演
Ella Havelka
Janna Havelca (Mother) / Suzanne Duffy (Principal, Colour City Dance, Orange) / David McAllister AM, Artistic Director of the Australian Ballet) / Stephen Page (Artistic Director, Bangarra) / Steven Heathcote AM (Ballet Master) / Megan Connelly (Ballet Mistress)
収録(抜粋)
Bangarra
  • Blak (2013) choreo: Stephen Page, Danie Riley
  • About - Belong (2011) choreo: Elma Kris
  • ID - Belong (2011) choreo: Stephen Page
  • Terrain (2012) choreo: Stephen Page
Waramuk
  • In the dark night (2012) choreo: Stephen Page

    Jake Mangakahia / Ella Havelka

The Australian Ballet
  • Swan Lake (1983) choreo: Anne Woolliams
  • Swan Lake (2012) choreo: Stephen Baynes
  • Don Quixote (2013) choreo: Rudolf Nureyev
  • Swan Lake (2015) choreo: Graeme Murphy
  • The Sleeping Beauty (2015) staged: David McAllister

感想

これね、とても良いドキュメンタリーでした。Ella Havelkaはオーストラリア先住民として初めてオーストラリア・バレエ団に入団したダンサーで、この映画では、彼女のプロフェッショナルダンサーとして、そしてオーストラリア先住民の女性としての日々を追っています。ナレーションの入らないタイプで、エラと関係者のインタビューや情景で構成。エラがとても聡明な女性だというのがその語り口から伝わってくるのです。

彼女の経歴ですが、奨学金で地元のバレエ学校で学んだのちオーストラリア・バレエ学校へ入学。卒業時にはオーストラリア・バレエの契約は取れずに、先住民舞踊ベースのコンテンポラリーカンパニー、バンガラ・ダンス・シアター(今年11月に日本公演がありますね)に入団。そこでクラシックとは全く違うダンスを得るのと同時に馴染みの薄かった先住民族の文化を再発見することになります。

4年後、オーストラリア・バレエ50周年を記念してオーストラリア・バレエとバンガラによる共同公演(Warumuk)があり、昔の仲間たちと再会。バレエへの情熱が再燃したところに入団オファーがあり、オーストラリア・バレエへ移籍。先住民初のオーストラリア・バレエ団員となります。

実際にカメラが追ったのはオーストラリア・バレエ団員になってからの1年かそこらではないかと思いますが、監督のDouglas Watkinは以前バンガラの芸術監督ステファン・ペイジの映画を撮っていたそうなので、そちらの映像もたっぷり。子供の頃のアーカイブもありますし、オーストラリア・バレエの中国ツアーの映像ではマーフィー版「白鳥の湖」の主演がマデレーヌ・イーストーとアダム・ブルでした。他に、マカリスター版の豪華な「眠れる森の美女」なども。

彼女が先住民舞踊ベースのコンテンポラリーとクラシック・バレエの世界を行き来することで、その違いや体への負担もよくわかります。自由に踊れたというバンガラでのダンスと、コール・ドとして一糸乱れぬフォーメーションが要求され、決まったフォーム以外は否とされるクラシック・バレエの厳しさとの対比、負担の大きさから足を怪我し…持って生まれた体がクラシック・バレエにフィットしないのではと恐れながら模索する様子、そして自分だけにできることを、と振付に挑戦する様子…。

「眠れる森の美女」の妖精の踊りではダメだしされまくった(そして結局その役はもらえなかった)ミストレスのミーガン・コネリー(ホールバーグのリハビリでも名前が出てくる方ですよね!)が、彼女の振付を「ポワントと相反する動きはあなたに大きな負荷をかけるけれど、バレエの決まりにとらわれないあなた自身の踊りが素晴らしい、そのまま自分自身に誠実な作品を作るのよ!」と励ますのがいい。

先住民族の一人としての家族たちとのふれあい、初めての祖母と叔母の墓参り、失われていく言葉を再習得し、民族文化のバスケットを編み方をお年寄りから習います。なくなった父のこと、母との絆…盛りだくさんですが、全てはエラ自身の中にあることですから、彼女の旅に寄り添ううちに、自然と腑に落ちていくのです。

オーストラリア・バレエはマカリスター芸術監督の元で、とても開かれた環境だという印象を持っているのですが、それでも個々のダンサーが昇格していくには見えない壁も存在するのでしょう…。カンパニークラスや舞台の映像にはおなじみのダンサーの顔もちらほら。そういう意味でも目の離せないドキュメンタリーでした。