Matsukaze / New National Theatre Opera

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演出・振付:サシャ・ヴァルツ
出演:イルゼ・エーレンス、シャルロッテ・ヘッレカント 他
収録:2018年2月17日 新国立劇場オペラパレス / 90分

録画

NHKクラシック音楽館で録画。モネ劇場で初演された時から全編を見たくてたまらなかったコレオグラフィック・オペラが今シーズン新国立劇場のラインナップ入り。きっとNHKさんが収録してくれるはず!という期待通り、収録放映されました。

冒頭に細川俊夫さんのコメントもあり。


クレジット

音楽
細川俊夫 Toshio Hosokawa
演出・振付
サシャ・ヴァルツ Sasha Waltz
美術
ピア・マイヤー=シュリーヴァー Pia Maier Schriever
塩田千春 Chiharu Shiota
衣裳
クリスティーネ・ビルクレ Christine Birkle
照明
マルティン・ハウク Martin Hauk
ドラマツルグ
イルカ・ザイフェルト Ilka Seifert
指揮
デヴィッド・ロバート・コールマン David Robert Coleman
演奏
東京交響楽団 Tokyo Symphony Orchestra
合唱
新国立劇場合唱団 New National Theatre Chorus
音楽補
冨平恭平 Kyohei Tomihira
ダンス
サシャ・ヴァルツ&ゲスツ Sasha Waltz & Guests

キャスト

松風:イルゼ・エーレンス Ilse Eerents
村雨:シャルロッテ・ヘッレカント Charlotte hellekant
旅の僧:グリゴリー・シュカルパ Grigory Shkarupa
須磨の浦人:萩原潤 Jun Hagiwara

感想

2011年にモネ劇場で初演されたこの作品、以前断片をサシャ・ヴァルツのドキュメンタリーで見ているのですが、今回ようやく念願叶って全編を見ることができました。能「松風」を基にオペラ化されたこの作品、現代音楽家の細川俊夫、振付家サシャ・ヴァルツ、そして現代美術家の塩田千春のインスタレーションとオペラファンにとどまらずダンスやアート界隈でも注目をあびた公演となりましたね。

松風と村雨の姉妹役は演じられる歌手を相当選ぶよね、という難しい役に見えます。音域もそうだし、宙吊りやムーヴメントなどフィジカルな要求も高いですものね。歌手については語るすべがありませんが、4人のソリストは皆熱演でした。姉妹役の二人の明るい髪色が全体に暗色に沈む中で美しく光を集めていて、まるで演出の一部のよう。製作時から具体的な歌手を念頭に置いて作られた作品だそうですし、上記ドキュメンタリーで見た初演の松風役バーバラ・ハンニガンも素晴らしかったので、願わくば彼女でも見たかった、とも。

ただ、NHKの優れたスタッフの手にかかっても公演の全体像を収めるのはなかなか難しいことのようで…特に塩田千春さんのインスタレーションを始めとする舞台装置や照明効果は映像にはその良さが収まり切らなかったように感じました。地上波でこのオペラが中継されたことは大きな意味があると思いますが、それだけに…後ろから塩田さんの壁が迫ってくるところ、体感したかったなあ。

ダンサーでは和田順子さんの存在感が印象に残ります。アジア系男性ダンサーの踊りの強度も好きでした。ダンサー17人、歌手8人、ソリスト4人と30人に満たない舞台なのだし、エンドクレジットで皆さんの名前を挙げてくれても良かったのにな。振付は和を意識したところもあると思うけれど、「松風」の世界に生身の身体性ががっつり入るのが、サシャが手がけた意味となるのでしょう。

カーテンコールに作曲家の細川さんが登場するのが現代作品の良いところ。演出家のサシャを新国立劇場に迎えられたのも嬉しいことでした。