Dancer

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣【DVD通常版】

監督:スティーヴン・カンター
出演:セルゲイ・ポルーニン
制作:2016年イギリス アメリカ / 本編85分 + 特典34分

画像リンク先:amazon.co.jp - DVD

バレエファン以外にもかなり反響があったセルゲイ・ポルーニンの映画がDVD化されました。センセーショナルな文言に関わらず、彼なりにもがき苦しみ道を見つけていく様子に救われます。そしてやっぱり、稀有なダンサーだと改めて。


商品情報

国内|DVD(ポニーキャニオン:PCBE-55845) Release: 2018/03/21

特典映像:セルゲイ・ポルーニン来日時の記者会見 / セルゲイ・ポルーニン来日時のライブプレミアイベント@東京芸術大学奏楽堂 / 特報 / 予告編 / 本国版予告編

国内|Blu-ray(ポニーキャニオン:PCXE-50804) Release: 2018/03/21
国内|初回限定DVD+Blu-ray(ポニーキャニオン:PCXE-50803) Release: 2018/03/21

クレジット

監督
スティーヴン・カンター Steven Cantor
『Take Me To Church』演出・撮影
デヴィッド・ラシャペル David LaChapelle
出演
セルゲイ・ポルーニン Sergei Polunin
ガリーナ・ポルーニナ Galina Polunina, セルゲイの母 / ガリーナ・イヴァーノヴナ Galina Ivanovna, 最初のダンス教師 / ラリッサ&ワレンティナ Larissa & Valentina, セルゲイの祖母 / ウラジーミル・ポルーニン Vladimir Polunin, セルゲイの父 / ジェイド・ヘイル=クリストフィ Jade Hale-Christofi, 振付家 ロイヤル・バレエ学校の同級生 / ヴァレンティノ・ズケッティ Valentino Zucchetti, ロイヤル・バレエ ソリスト, ロイヤル・バレエ学校の同級生 / サルヴァトーレ・スカルツォ Salvatore Scalzo, ロイヤル・バレエ団劇場支配人助手, 少年時代のセルゲイ担当 / モニカ・メイソン Dame Monica Mason, ロイヤル・バレエ元芸術監督 / トニー・ホール Tony Hall,ロイヤル・オペラハウス総支配人 / イーゴリ・ゼレンスキー Igor Zelensky, モスクワ音楽劇場バレエ監督 / デヴィッド・ラシャペル David LaChapelle, 写真家
映像
「ジゼル」「ラ・バヤデール」「白鳥の湖」「マルグリットとアルマン」「うたかたの恋」「コッペリア」「スパルタカス」「ディアナとアクティオン」「カルメン」「海賊」「アザーダンシズ」など抜粋
「Take Me To Church」

感想

ロイヤル・バレエ団の最年少プリンシパルだったポルーニンのロイヤル・バレエ電撃退団後から、この作品を最後に引退するつもりで踊った「Take Me To Church」の動画再生回数が爆発的に伸びたことで、そのうねりが彼自身をもまた変えていく…というあたりを撮影した映画です。

映画の前半は、彼が子供の頃からどのようにバレエを続けてきたかを紹介。体操からバレエへの転向も、地元からキエフのバレエ学校、更にロイヤル・バレエ・スクールへの留学も全て母の意思で決められたものでした。もちろんセルゲイのためを思ってのこととはいえ、学費を稼ぐために父はポルトガルへ、妻の母はギリシャへ出稼ぎに出ることとなり、キエフへはセルゲイに付き添った母もイギリスはビザがないために一緒にいられず、家族はバラバラに。自分がバレエの世界で成功すれば家族が一つになれる、その想いだけで頑張ってきたのに、英国留学2年目に両親は離婚してしまう…。

18歳でロイヤル・バレエに入団し1年目でファーストソリスト、19歳でプリンシパルに。22歳で退団。父がわりと慕うゼレンスキーの助言でモスクワ音楽劇場バレエとゲスト契約するも、やはり2年で単調さに息苦しくなる…周囲の熱狂とは裏腹に、本人の心はバレエに燃えることはないのが切ないです。バレエダンサーなら喉から手が出るほど欲しいプロポーションと才能とを兼ね備えているのに、本人にはその才能を活かす情熱が失われてしまったなんて。

印象に残っているいくつかのことを。
バレエ学校時代のエピソード。お酒を飲むとひとしきり騒いだ後はぱったり意識を失うので顔に絵を描かれたりといたずらされた、と。ローザンヌ(だと思う)の1週間前には眉を剃られた、とか。ハチャメチャじゃん、、と思いつつそういうバカをやる仲間がいたなら良かったのかしら、とも。それくらい、切羽詰まっていたということでもあるのでしょうけど…。

お父さんの言葉も印象に残っています。妻はセルゲイを立派に育ててくれた。自分は送金していただけで家族を大事にしていなかった。ゼレンスキーがセルゲイの父のような存在になっていることを知りショックを受けた。…このお父さんの自省するパーソナリティは、セルゲイにも受け継がれているのではないかしら。そんな二人だから、初めて両親と祖母を招いた公演後に笑顔でハグする様子には涙腺が…。セルゲイがずっと欲しかったのは、父の「よくやった」の一言だったのかも。


ポルーニンのこの時期をリアルタイムで追ってきたバレエファンも多いと思いますが、私もその一人です。センセーショナルに取り上げられた彼の言動ではありましたが、ロイヤルを退団した時点でまだ22歳。バランスを欠き成熟しきれない心を持て余してタトゥーを入れまくる姿は自傷そのもので、見ていて辛かった…。どうか誰か彼を心安らげる場所に導いてあげて欲しいと願っていました。そして今も、彼が幸せでいて欲しいと願っています。

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