The Malandain Ballet Biarritz

The Malandain Ballet Biarritz

振付:ティエリー・マランダン
収録:132分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD

クラシカでも2番組(「バレエの夕べ」「トリプルビル」)に分けて放映されたマランダン・バレエ・ビアリッツの映像です。私が彼の名前を初めて認識したのはペッシュが「牧神の午後」を踊った時で、インパクトの強さしか覚えてないのですが、今回改めて見たらその音楽性が癖になる感じ。


商品情報

海外|DVD(Euroarts / キングインターナショナル:2064198) Release: 2017/05/19

FORMAT:NTSC / REGION:0

演目

Malandain x 3

映像監督:パトリック・ラウゼ Patrick Lauze
収録:2016年11月12日 ランテルヌ・シアター(ランブイエ、フランス)

シルエット Silhouette

振付・装置・衣装:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109〜第3楽章 Ludwig van Beethoven
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:フレデリック・ディベール Frederik Deberdt

ノクターン Nocturnes

振付:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
音楽:フレデリック・ショパン: ノクターン第20番嬰ハ短調/ノクターン第1番変ロ短調Op.9-1/ノクターン第10番変イ長調Op.32-2/ノクターン第8番変ニ長調Op.27-2/ノクターン第13番ハ短調Op.48-1 Frédéric Chopin
衣裳:ホルヘ・ガラルド Jorge Gallardo
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:Ione Miren Aguirre / Raphaël Canet / Mickaël Conte / Frederik Deberdt / Romain Di Fazio / Baptiste Fisson / Clara Forgues / Michaël Garcia / Irma Hoffren / Miyuki Kanei / Mathilde Labe / Hugo Layer / Guillaume Lillo / Claire Lonchampt / Nuria López Cortés / Arnaud Mahouy / Patricia Velázquez / Laurine Viel / Daniel Vizcayo / Lucia You González

演目:エストロ Estro

振付・装置・衣裳:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ: スターバト・マーテルRV.621、協奏曲集Op.3『調和の霊感』〜第5番イ長調RV.519/第6番イ短調RV.356第1楽章「アレグロ」/第1番ニ長調RV.549 Antonio Vivaldi
装置:Irma Hoffren / Arnaud Mahouy
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:Ione Miren Aguirre / Raphaël Canet / Mickaël Conte / Ellyce Daniele / Frederik Deberdt / Romain Di Fazio / Baptiste Fisson / Michaël Garcia / Lucia You González / Miyuki Kanei / Mathilde Labe / Hugo Layer / Claire Lonchampt / Nuria López Cortés / Ismael Turel Yagüe / Patricia Velázquez / Laurine Viel / Daniel Vizcayo /


Soiree de Ballets

映像監督:ソニア・パラモ Sonia Paramo
収録:2012年11月24, 25日 ビクトリア・ユージニア劇場(サン・セバスチャン)

牧神の午後 L’après-midi d’un faune

音楽:クロード・ドビュッシー: 牧神の午後への前奏曲 Claude Debussy
振付:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
装置&衣裳:ホルヘ・ガラルド Jorge Gallardo
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:アルノー・マウイ Arnaud Mahouy

薔薇の精 Le spectre de la rose

音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー (エクトール・ベルリオーズ編曲): 舞踏への勧誘Op.65,J.260 Carl Maria von Weber
振付:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
装置・衣裳:ホルヘ・ガラルド Jorge Gallardo
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:兼井美由季 Miyuki Kanei / ダニエル・ビスカヨ Daniel Vizcayo

ある最後の歌 Une dernière chanson

音楽:『宮廷の階段に〜フランスの古いロマンスとコンプラント(哀歌)』よりヴァンサン・デュメストル(ル・ポエム・アルモニーク)編曲の音楽及び伝統的歌唱 Une Derniere chanson -- musiques et chants traditionnels arranges par Vincent Dumestre - Le Poème Harmonique
振付・装置・衣裳:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
照明:ジャン=クロード・アスキエ Jean-Claude Asquié

出演:イオネ・ミレン・アギーレ Ione Miren Aguirre / ジュゼッペ・キアヴァーロ Giuseppe Chiavaro / ミカエル・コント Mickaël Conte / エリス・ダニエル Ellyce Daniele / フレデリク・デベルト Frederik Deberdt / 兼井美由季 Miyuki Kanei / ハコブ・エルナンデス・マルティン Jacob Hernandez Martin / クレール・ロンシャン Claire Lonchampt / シルヴィア・マガリャニス Silvia Magalhaes / アルノー・マウイ Arnaud Mahouy

# 日本語表記はクラシカジャパンより

感想

2016年収録のトリプルビルと、2012年収録のバレエの夕べを収めたもの。音楽はいずれも録音使用のようです。このDVDに収められた6作品を見て感じたのは、音の取り方や振付で見せたいものがとっつきやすい振付家だなということ。そこに深い意図があるにしろ、そこまでたどり着けない私のような者でも何かしら手がかりを残してくれる、というか。音楽のチョイスも見るものを難しく構えさせないし。

一番特徴的だったのは、「シルエット」であったかと。スキンヘッドのダンサー、フレデリック・ディベールがベートーヴェンのピアノソナタ第30番で踊るソロで、体操の選手みたいな彼が癖のない美しいムーヴメントでニジンスキーの「薔薇の精」や「ペトルーシュカ」「牧神の午後」などといった作品を引用しつつバーで四方を囲まれたスペースで踊るもの。バーで囲まれたスペースというのがダンサーとしての人生を表すものだと思うし、そこで踊られるバーレッスンのムーヴメントやニジンスキーも振付家がダンサーへ捧げる敬意のようなものが感じられて。

「シルエット」というタイトルは、その言葉の語源となったシルエット卿の邸宅を改装したビアリッツのシルエット・ホテルの庭で初演されたことに依るようですが、ディベールの筋肉の陰影も印象に残りますし、何よりダンサーの本質を浮き彫りにしていたと思います。

このトリプルビルの「ノクターン」と「エストロ」はカンパニー全体(おそらく)によるもので、それぞれショパンとヴィヴァルディに乗せて踊られるもの。他の作品もそうなのだけど、シンプルな衣装で踊られる振付はどこか体操っぽさを感じさせつつ、音楽を尊重した振付が好ましい。ショパンで人生の悲しみを、ヴィヴァルディで生きる歓びを描いているように見えたけれど、どうかな。


2012年のトリプルビルの方は、フランス音楽とバレエ・リュスへのオマージュということで、例の「牧神の午後」を含む3作品。牧神を踊るアルノー・マウイもカンパニーを代表するダンサーで、見る側の戸惑い(笑)を突き破りながら踊るそのムーヴメントの潔さに惚れ惚れ。

「薔薇の精」は日本人ダンサー兼井美由季さんとダニエル・ビスカヨで、清潔感があって芯の強さが見える兼井さんと中性的で容赦ない感じのビスカヨの薔薇の精の組み合わせがスリリング。こちらもベジャール「春の祭典」やマイヨー「シンデレラ」の引用かな?というものを入れつつ「あの名振付だって今ならこうなるでしょ」とグイグイ見せてくれました。

「ある最後の歌」はその前の2作とは趣の違う作品。ル・ポエム・アルモニークの音楽が何より印象に残るものの、歌詞がわからないのがもどかしく…。その音楽が編まれた頃から変わらぬ人間の感情のやり取りを5組のペアが洋服を着たり脱いだししながら踊るのが、とても美しい。後ろに脱ぎ捨てられた服があんな風になっているとは。それと、なんというか振付家のダンサーたちとその美しい肉体(振付家のツールとしての)への揺るぎない信頼が感じられたりも。

面白いね、ティエリー・マランダン。4月にはWOWOWとクラシカ・ジャパンでまた別の作品が見られうということなので、それも楽しみにしています。


Official Trailer

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この記事の更新履歴

  • 2018.03.03 - 感想書きました。
  • 2018.01.15 - HMV & BOOKS online 店名変更による差し替え