Stories from a Flying Trunk [DVD]

監督:クリスティーン・エドザード
出演:マレー・メルヴィン、アン・ファーバンク 他
ロイヤル・バレエ:ゲルド・ラーセン、グラハム・フレッチャー、レスリー・コリア、クリストファー・カー
http://www.bfi.org.uk/films-tv-people/4ce2b6b6ac5a1
1979年 イギリス フランス / 84分

画像リンク先:amazon.co.uk - 欧州版DVD

アンデルセンの童話「空飛ぶトランク」を元にした…のではなく、空飛ぶトランクに乗ってきたアンデルセン本人が原稿を強風に飛ばされてしまい、その場(1970年代の現代)で物語を作ることに…というようなお話です。3つ目のパート「Little Ida」でフレデリック・アシュトン振付のバレエを当時のロイヤル・バレエのダンサーたちが踊っています。2016年にDVDがリリースされた際にこの映画のことを知り、買ってみました。PAL版リージョン2、字幕なし。


商品情報

欧州|DVD(Network:7954358) Release: 2016/01/18

クレジット

監督
クリスティーン・エドザード Christine Edzard
振付
フレデリック・アシュトン Frederick Ashton
バレエ装置
Irene Groudinsky
バレエ衣装
Rostislav Doboujinsky
出演
Hans Christian Andersen:マレー・メルヴィン Murray Melvin
Mother:アン・ファーバンク Ann Firbank
Littel Match Girl:Tasneem Maqsood
Tramp:John Tordoff
Queen Victoria:John Dalby
Little Ida:Johanna Sonnex
A Mother:Suzanna Raymond
Ballet Mistress:Gerd Larsen
Lettuce:Patricia Napier
バレエ出演
Cauliflower:Wendy Ellis
Peas:Christopher Carr / Ross MacGibbon
Artichokes:Denise Nunn / Ashley Page
Broccoli:Denise Nunn / Linda Moran
Lettuce:Jennifer Jackson / Christine Woodward / Gillian Kingsley
Celery:Christine Woodward / Wendy Ellis / Jennifer Jackson
The Princess Ida:Lesley Collier
Prince Potato:Graham Fletcher

バレエキャストはアシュトン財団の演目ページによる。
http://www.frederickashton.org.uk/flying-trunk.html

感想

アンデルセンが映画の中で作るお話は「The Kitchen」「The Little Match Girl」「Little Ida」の3つのパートに分かれていて、原作からは少しずつアレンジされている感じ。1979年の映画ということなので、ロイヤル・バレエ的には映画版「ピーター・ラビットと仲間たち」の成功の後ですよね。

当時の特撮技術自体は今見ると微笑ましくもあるのですが、アラはあまり見えません。よくレストアしてあるので見やすいですし、子供の頃に感じた、宵闇のどこか不気味で何かが出てきそうな気配とか、このドアを開けたらその向こうでおもちゃたちが動いているのでは、、みたいな感覚が映像でよく表現されています。

3つ目の「Little Ida」は、バレエ学校のスタジオで叱られるイーダちゃん(ちょっとオシポワに似てるかも)を慰めるために、アンデルセンが即興でお話をしてあげるというもの。叱っていた先生はゲルト・ラーセン。童話の「イーダちゃんの花」では花たちが真夜中の舞踏会で踊っていますが、この映画では野菜たちが踊ります。それって、ロイヤル・オペラハウスがあるコヴェント・ガーデンがこの映画の時代まで野菜の卸売市場があった場所だったからでしょうね。野菜たちが「No to NINE ELMS」(市場がナイン・エルムズに移転となったので)や「BALLET for ALL」といったプラカードを掲げてデモ行進していました。

ROHを模したセットも使われているし、玉ねぎが肩(?)を冷やさないように新聞紙のショールをかけていたり、舞台の準備を進めるにしたがって野菜たちがだんだん萎れて行ったりと芸が細かいのも見所の1つ。子供向け映画のバレエだからと軽い気持ちで見てたけど、さすがイギリス。細部のリアリティまで手抜きしません。そういえば芸術監督っぽい立場のネギ、ヘアスタイルの感じがアシュトンに見えなくもない(笑)。

玉ねぎ、長ネギ、カリフラワー、エンドウ豆、アーティチョーク、セロリなどなど次々に踊る野菜を模した衣装は、色といい質感といい野菜らしいと同時にちゃんとバレエ衣装になっていて(衣装はRitislav Doboujinsky)、特にカリフラワーの衣装が可愛いかったな。踊っていたのはウェンディ・エリスのようです。最後にイーダちゃんがプリンセス(レスリー・コリア)になって踊るのもいいよね。ポテト役のグラハム・フレッチャーのキレッキレの踊りも。音楽はロッシーニが使われていました。

フレッドステップも容赦なくて、これ普通に演目として成立できるのでは…と思ったら、どうやら1982年に当時のサドラーズウェールズ・ロイヤル・バレエがこれを元にして「Pas de légumes」というタイトルで(アシュトン財団のページにはそのキャストも掲載)、1984年にはロイヤル・バレエ・スクールでも上演されているようです。

その他の映画編のページにサクッと入れておこうと思っていたのですが、予想以上に楽しかったので、独立ページで更新することにしました。最初の「The Kitchen」で、ビニール袋がダイニングテーブルの上でバレエを踊る特撮も、何気にちゃんと踊って見えるがすごい。踊り終わってゼイハーするところまで芸が細かいの。


Official Trailer