Legris Gala

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出演:マニュエル・ルグリ、イザベル・ゲラン 他
収録:2017年8月23, 24日 東京文化会館 大ホール / 147分

録画

プレミアムシアターで録画。この夏大きな話題となった、マニュエル・ルグリのガラ公演Bプログラムが放映されました。嬉しいけど、嬉しいんだけど…バランシン作品2つ(「タランテラ」「ダイヤモンド」)がカットされてしまってとても残念です。ならばAプロも収録していただきたかった…。


クレジット

出演
マニェル・ルグリ Manuel Legris, ウィーン国立バレエ団芸術監督・元パリ・オペラ座バレエ団/エトワール
イザベル・ゲラン Isabelle Guérin, 元パリ・オペラ座バレエ団/エトワール
マリアネラ・ヌニェス Marianela Núñez, 英国ロイヤル・バレエ団/プリンシパル
ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov, 英国ロイヤル・バレエ団/プリンシパル
オルガ・スミルノワ Olga Smirnova, ボリショイ・バレエ団/プリンシパル
セミョーン・チュージン Semyon Chudin, ボリショイ・バレエ団/プリンシパル
エレナ・マルティン Helena Martin
パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
ニーナ・ポラコワ Nina Poláková, ウィーン国立バレエ団/プリンシパル
デニス・チェリェヴィチコ Denys Cherevychko, ウィーン国立バレエ団/プリンシパル
ナターシャ・マイヤー Natascha Mair, ウィーン国立バレエ団/ソリスト
ヤコブ・フェイフェルリック Jakob Feyferlik, ウィーン国立バレエ団/ソリスト
ジェロー・ウィリック Géraud Wielick, ウィーン国立バレエ団/デミソリスト
ニーナ・トノリ Nina Tonoli, ウィーン国立バレエ団/ソリスト
ジェームズ・ステファン James Stephens, ウィーン国立バレエ団/デミソリスト
ニキーシャ・フォゴ Nikisha Fogo, ウィーン国立バレエ団/ソリスト
滝澤志野 Shino Takizawa, ウィーン国立バレエ団/バレエピアニスト

収録

  • 「エスメラルダ」 Esmeralda

    音楽:チューザレ・プーニ Cesare Pugni
    振付:マリウス・プティパ Marius Petipa
    出演:ナターシャ・マイヤー Natascha Mair / ヤコブ・フェイフェルリック Jakob Feyferlik

  • 「I have been kissed by you…」

    音楽:マックス・リヒター Max Richter
    振付:エレナ・マルティン Helena Martin / パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
    出演:エレナ・マルティン Helena Martin / パトリック・ド・バナ Patrick de Bana

  • 「…Inside the Labyrinth of Solitude」

    音楽:T.ヴィターリ Tomaso Vitali
    振付:パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
    出演:ジェロー・ウィリック Geraud Wielick

  • 「海賊」第2幕から アダージョ Le Corsaire

    音楽:レオ・ドリーブ Leo Delibes
    振付:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
    出演:ニーナ・ポラコワ Nina Polakova / デニス・チェリェヴィチコ Denys Cherevychko

  • 「Whirling」

    音楽:フィリップ・グラス Philip Glass
    振付:アンドラス・ルカーチ Andras Lukacs
    出演:ニーナ・トノリ Nina Tonoli / ジェームズ・ステファン James Stephens

  • 「Movements of the soul」

    音楽:バルバトュキス Barbatuques / カイル・ディクソン Kyle Dixon / マイケル・スタイン Michael Stein
    振付:ニキーシャ・フォゴ Nikisha Fogo
    出演:ニキーシャ・フォゴ Nikisha Fogo

  • 「ジゼル」から パ・ド・ドゥ Giselle

    音楽:アドルフ・アダン Adolphe Adam
    振付:ジュール・ペロー Jules Perrot / ジャン・コラリ Jean Coralli
    出演:マリアネラ・ヌニェス Marianela Nunez / ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov

  • 「ファラオの娘」から パ・ド・ドゥ La Fille du Pharaon

    音楽:チェーザレ・プーニ Cesare Pugni
    振付:ピエール・ラコット Pierre Lacotte
    出演:オルガ・スミルノワ Olga Smirnova / セミョーン・チュージン Semyon Chudin

  • 「ランデヴー」 Le Rendez-vous

    音楽:ジョセフ・コスマ Joseph Kosma
    振付:ローラン・プティ Roland Petit
    再構成:ルイージ・ボニーノ Luigi Bonino
    出演:イザベル・ゲラン Isabelle Guerin / マニェル・ルグリ Manuel Legris

  • 「Mozart a 2」

    音楽:W.A.モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart
    振付:ティエリー・マランダン Thierry Malandain
    出演:ナターシャ・マイヤー Natascha Mair / ヤコブ・フェイフェルリック Jakob Feyferlik

  • 「フェアウェル・ワルツ」 The Farewell Waltz

    音楽:フレデリック・ショパン Frederic Chopin / ウラディーミル・マルティノフ Vladimir Martynov
    振付:パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
    出演:イザベル・ゲラン Isabelle Guerin / マニュエル・ルグリ Manuel Legris

  • 「白鳥の湖」から 黒鳥のパ・ド・ドゥ Black Swan Pas de deux from Swan Lake

    音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Pyotr Ilyich Tchaikovsky
    振付:ルドルフ・ヌレエフ(1964年ウィーン版) Rudolph Nureyev
    出演:ニーナ・ポラコワ Nina Polakova / デニス・チェリェヴィチコ Denys Cherevychko

  • 「Factum」

    音楽:カイハン・コルホー Kayhan Kalhor
    振付:エレナ・マルティン Helena Martin / パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
    出演:エレナ・マルティン Helena Martin / パトリック・ド・バナ Patrick de Bana

  • 「ドン・キホーテ」から パ・ド・ドゥ Don Quixote

    音楽:レオン・ミンクス Leon Minkus
    振付:マリウス・プティパ Marius Petipa ほか
    出演:マリアネラ・ヌニェス Marianela Nunez / ワディム・ムンタギロフ Vadim Muntagirov

  • 「Moment」(世界初演)

    音楽:J.S.バッハ Johann Sebastian Bach / ブゾーニ Ferruccio Busoni
    振付:ナタリア・ホレツナ Natalia Horecna
    出演:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
    ピアノ:滝澤志野 Shino Takizawa


感想

ルグリの芸術監督としての手腕は素晴らしいですが、公演プロデュース力、若手育成力は誰もが知るところ。この公演は、ルグリ本人とイザベル・ゲラン、ロイヤル・バレエからヌニェス、ムンタギロフ、ボリショイ・バレエからスミルノワ、チュージン、そしてウィーンのダンサーたちという顔ぶれ。放映ではルグリによる紹介コメントつきでした。

ルグリとゲランは別格として、クラシック・ガラ・ピースをプリンシパルが踊り、ウィーンの若手ダンサーは紹介を兼ねて意欲的な作品を、という感じのガラですね。残念ながらカットされてしまったフォゴ/ウィリック「タランテラ」、スミルノワ/チュージン「ダイヤモンド」のバランシン作品を除く15演目を放映。

若いダンサーたちの中ではナターシャ・マイヤーとヤコブ・フェイフェルリックは2演目だったこともあり特に印象に残っています。マイヤーはバレエのために生まれてきたかのようなプロポーションですよね。若いけど観客と一瞬でコンタクトして引き込んでしまうところもチャーミング。できればストーリーバレエで役を演じているところが見たかったな(Aプロのリーズ、すごく良さそう)。フェイフェルリックも伸びやかで好感度高し。

もちろん他の4人も個性があって頼もしい限り。ロイヤル・バレエ・スクール出身のペア、トノリとステファンは踊り込んだ作品を持ってきていたのでしょう、ダンサーの身体に馴染んだ作品を見る心地よさがありました。自作を踊ったニキーシャ・フォゴも同様。彼女の躍動感と、イワン・ワシーリエフに振り付けられたという爆発力を要求されるソロを踊ったウィリックくんを見たら、二人の「タランテラ」が見られなかったのが残念で仕方ありません。合っていたでしょうねぇ…。

ウィーンのプリンシパル、ポラコワとチェリェヴィチコはルグリ振付の「海賊」2幕とヌレエフ版の黒鳥のパ・ド・ドゥ。二人ともとてもこのカンパニーらしいダンサーだと思うし好ましく思っているのだけど、今回の演目はあまりニンではなかったような。普段はあまり組まないペアなのかな、とも。

ロイヤル・バレエのヌニェスとムンタギロフは「ジゼル」と「ドン・キホーテ」。ガラで「ジゼル」2幕ってすごく難しいと思うのだけど、一瞬にして作品世界に連れて行かれました。正に脂ののった時期のダンサーならではの技術と演技とが高いレベルで整った舞台でした。「ドン・キホーテ」はあまりにも定番すぎるガラピースだけど、これ見よがしなところが全くなくて品がよい。なのに次々と数段難しそうな技を涼しい顔で入れ込んでくる。楽しすぎました。脱帽。

ボリショイのスミルノワとチュージンは「ファラオの娘」。はー、「ダイアモンド」が見られないなら、せめて「じゃじゃ馬」が見たかった…。「ファラオ」も素敵だったんですよ、チュージンの鮮やかな足さばきも、スミルノワのエレガントで華やかな踊りも。でも「ファラオ」だけでは物足りない…。

ゲランとルグリは「ランデヴー」と「フェアウェル・ワルツ」。この公演のためにすっかり体型を元に戻したルグリと女っぷり鮮やかなゲラン、見応えありました。特にゲランのポワント、美しさが全く変わらなくて…あの語る足先を堪能できる作品を振り付けてくれたパトリック・ド・バナにお礼を言いたいわ。ただしNHKさんなのに足先を映さないカメラアングルが見受けられたのは残念すぎる。きっとその時の足が語っているのに…。

この公演のために制作されたルグリ「Moment」は滝澤志野さんのピアノと。今の自分のために作られた作品を、今この時期にダンサーとして自由な精神で踊るルグリに揺さぶられました、滝澤志野さんも単純に演奏のためだけに舞台にいるのではなく舞台を共に作る共演者で。お二人が築いてきた信頼と親愛とが作品に満ちていたように感じています。

最後になりますが…このガラ公演は独自ドメインのサイトがあったのですが、テレビ放映の時には既にNot foundになっていました。イベントの独自ドメイン消失(情報消失と言える)問題は美術展関係でも問題になっているところですが、せめて主催者のサイトのどこかに格納&リダイレクトするなどしていただきたいものです。招聘元の多様化で見られる公演もまた多様化するのは歓迎なのですが…。今回は会場の東京文化会館がアーカイブしていてくれましたので、そちらにリンクをはっておきますね。