Giselle / Mariinsky Ballet, 2016

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振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
出演:ディアナ・ヴィシニョーワ、マチュー・ガニオ 他
収録:2016年7月11,13日 マリインスキー劇場 / 113分

録画

NHKプレミアムシアターで録画。パリ・オペラ座からマチュー・ガニオをゲストに迎えた、ディアナ・ヴィシニョーワ主演の「ジゼル」。イーゴリ・コルプがハンス役ということでも注目度が高い公演でした。


クレジット

振付
ジャン・コラリ Jean Coralli
ジュール・ペロー Jules Perrot
マリウス・プティパ Marius Petipa
音楽
アドルフ・アダン Adolphe Adam
台本
ジュール・アンリ・ヴェルノワ・ド・サン・ジョルジュ Vernoy de Saint-Georges
テオフィル・ゴーティエ Théophile Gautier
ジャン・コラリ Jean Coralli
舞台美術
イーゴリ・イワノフ Igor Ivanov
衣装
イリーナ・プレス Irina Press
指揮
ワレリー・オブジャニコフ Valery Ovsyanikov
演奏
マリインスキー劇場管弦楽団 Mariinsky Theatre Orchestra
撮影
Olivier Simonnet

キャスト

ジゼル:ディアナ・ヴィシニョーワ Diana Vishneva
アルブレヒト:マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団) Mathieu Ganio
ベルタ(ジゼルの母):ワレリア・カルピーナ Valeria Karpina
バチルド:エレナ・バジェノワ Elena Bazhenova
ハンス:イーゴリ・コルプ Igor Kolb
剣士:アレクセイ・ネドヴィガ Alexei Nedviga
公爵:ウラディーミル・ポノマレフ Vladimir Ponomarev
ミルタ:エカテリーナ・イワンニコワ Yekaterina Ivannikova
モンナ:クセーニャ・オストレイコーフスカヤ Xenia Ostreikovskaya
ズルマ:ディアナ・スミルノワ Diana Smirnova
ペザント・パ・ド・ドゥ:レナータ・シャキロワ Renata Shakirova / フィリップ・スチョーピン Philipp Stepin


感想

クローズアップの多いテレビ中継と劇場で見るのとは印象が変わってくるものですけれど、ヴィシニョーワのジゼルはこの映像で見るとエキセントリック度が強く感じました。彼女の瞳は内なる情熱に輝いているのだけど、その入れ物である肉体の弱さゆえに、その強いエネルギーの行き場がない、というような。

もう一歩踏み込んで言うならば、命のともしびも精神のバランスも、アルブレヒトに出会った時にはギリギリのバランスにあったかのように見えたのですよね。2幕でウィリとなっても生前のジゼルと地続きに感じるダンサーもいるけれど、ヴィシニョーワの場合は、1幕の時から精霊化した彼女が見えるようでした。狂乱の場は消えそうな命と強い精神とのせめぎ合い。こんな風に絶命していくジゼルはあまり見たことがない気がします。ショックを受けました。

全盛期のヴィシニョーワから比べれば…と言うところがないわけではありませんでしたが、それでもあの音楽性と長い腕を生かして、舞台上の他の誰よりも鮮やかに踊っていました。わかりにくいたとえで申し訳ありませんが、往年のヒット曲を歌うアーティストが別アレンジで節を外しながら歌う、みたいな踊りも1幕は結構あったので(伝わるのかしら、このニュアンス・笑)、それが気になったところはあったけど…でも彼女の先生がOKを出したのならそれでいいってことなのでしょうね。それによく合わせたオブジャニコフさんとマリインスキー管もさすがでした。

コルプのハンスは本人が楽しんでやっているのがわかるのでこちらもたっぷり楽しませていただきました。段取りがたまに危なかったかなー(笑)。ジゼルの為にと摘んできた花束がそのまま放置されているのを見てがっくりうなだれる姿が印象に残ります。曲者すぎるハンスで、舞台にいる時は他の人に目がいかないのが嬉しいような困ったような。このバージョンだとハンスが踊るのはほんの少しなのが残念。あんなに美しく踊るダンサーなのに、キャラクテールに目覚めるのが早すぎますよ...。

ゲストのマチュー。ある意味曲者すぎる二人と一緒だったので、彼の素直で品のある特性が目立っていたかと。細やかな演技にも好感を持ちました。ヴィシニョーワとは音楽的相性は結構良さそうですね。パリオぺのアルブレヒト王道のあからさまな「貴族のお戯れ」ではなく、自分の立場は意識しているはずがいつしか本気に の過ち系。バジェノワ様のバチルドにも「なんて男なの!」と目で非難され立つ瀬がない…。

そういえば最初から剣は手に持って登場してマントごと小屋に置いてくるので、次に登場した時は「どうだいこの服装は」「まだ剣をお持ちです」と言うやり取りではなく「どうだい?」「完璧です」みたいになってました。あれはそう言う演出だったのかしら。ウィルフリード役のアレクセイ・ネドヴィガもなかなか演技が立っておりました。

ペザントPDDのシャキロワとスチョーピンもとてもよかったです。スチョーピン、ノーブルで素敵なダンサーですね。有望株が踊るのを見られて大満足。ミルタ率いるコール・ド・ウィリもとても美しかったです。プロポーション良く身長も揃えるマリインスキーならではでした。