Disportrait - A documentary about Nacho Duato

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監督:ウルリク・ヴィヴェル、アレハンドロ・アルバレス
出演:ナチョ・ドゥアト 他
製作:2014年 デンマーク / 52分

録画

クラシカで放映されました。日本語字幕付きでこういう貴重なドキュメンタリーが見られるのは本当にありがたいです。デンマークで製作された映画で、ダンスフィルムのフェスティバルなどで上映されたりしているようです。


クレジット

監督
ウルリク・ヴィヴェル Ulrik Wivel
アレハンドロ・アルバレス Alejandro Alvarez

出演
ナチョ・ドゥアト Nacho Duato
ウラジーミル・ケフマン Vladimir Kekhman, ミハイロフスキー劇場バレエ団総裁
ゲンティアン・ドーダ Gentian Doda, 振付アシスタント
クリスティアーヌ・テオバルト Dr. Christiane Theobald, ベルリン国立バレエ副総裁

感想

20年間勤めたスペイン国立ダンスカンパニー芸術監督を一方的に解任され、ロシアでクラシック・バレエのショーケースとも言えるミハイロフスキー劇場バレエの芸術監督となった孤独と葛藤と奮闘(メインは就任直後から眠れる森の美女初演の頃までですが、退任の頃までフォロー)を、ドゥアト側の目線で描いています。

ドゥアトを巡る一連の経緯はバレエ界にとっても大きな出来事であり注目の的でしたから、こうして片側からの目線とはいえ映像で見られるのは貴重な機会ですね。ミハイロフスキーのダンサーたちが踊るドゥアト作品(「Sleeping Beauty」「Nunc Dimittis」ほか)が部分的とはいえ見られるのも嬉しい。

監督のウルリク・ヴィヴェルはデンマーク出身の元バレエダンサーで、世界のあちこちで踊っていたようです。アレハンドロ・アルバレスも、おそらくスペイン国立ダンスカンパニーに所属していた彼ではないかと。ドゥアトに密着してカメラを回していたのはヴィヴェルのようですね(ドゥアト自身がタブレットのカメラに語る映像もけっこうあるけれど)。相手が誰かはわかりませんがドゥアトが電話で心情や近況を話す様子もかなり含まれています。


ドゥアトの、モノローグを含むロシアでの様子はとても生々しく感じました。言葉も文化も気候も慣習も、自分の文化圏とは何もかもが正反対と言っていいようなロシアは、彼にとっては困難の多い国だったようです。ワインの量が増え、眠れなくなり…一人で涙を拭う様子も一度ではなく映し出されます。オープンリー・ゲイの彼にとってのキツさもあったのでは(このことには少し触れられる程度です)。

仕事の面においても、ダンサーたちには一から彼の舞踊言語を教え込まねばならないし、芸術監督でありながら実際にはコントロールできる事が少なく不本意なことも多かったようです。変化を求めてドゥアトを芸術監督にと言いながら、彼らにとっての「変化」の限度を超えると、それはダメだ、となってしまうと(ドゥアト談)。

たった50分少々の映像ですから、ロシア時代の全てが見られる訳ではありません。就任から時間をかけていくことで、ミハイロフスキーのダンサーたちとの仕事自体には手応えを感じていたのではないかとも思うのです。が、ベルリンからオファーを受けた彼の行動は早かった(ように見えます)。映画は、彼がベルリンへ移籍し、「この街が気に入ったよ」と誰かに電話で話し、ストレスなく仕事を進めているように見えるところで終わります。既にベルリンでも契約更新はないと明らかになっている現在のドゥアト、彼はこれからを思わずにはいられません。


ただ…これは本当にドゥアトの目線で切り取ったドキュメンタリーなので、クラシック・バレエの全幕をいくつも持って毎年2回長期で来日し、日本のあちこちを回ってくれていたミハイロフスキーに愛着を持つ身としては結構複雑な思いもあるのでした。私はドゥアトのファンでもあるので、余計に。「ロシアに来たいと思って来た訳じゃない」なんてセリフ、あまり聞きたくなかったな…。

ミハイロフスキーのダンサーたちについてはクレジットはほとんどなかったのですが、あれは何の作品だろう、最初の頃のリハーサルではヤパーロワがとても目立っていました。「眠れる森の美女」はザハロワ、サラファーノフ、ペレンあたりが少しずつ写っていました。もちろん他のダンサーたちもちょいちょい映ります。ドゥアトに何度もアドバイスを耳打ちするメッセレルさんの姿も。


Trailer