Ballet 422 [DVD] [Import]

監督:Jody Lee Lipes
出演:ジャスティン・ペック ほか
制作:2014年 アメリカ / 75分

画像リンク先:amazon.co.jp - 北米版DVD

NYCBのソリストで常任振付家のジャスティン・ペック(撮影時は常任振付家任命前でコール・ド・バレエ、25歳)。彼が2013冬シーズンに振付した新作「Paz de la Jolla」の制作過程を追ったドキュメンタリーです。映画のタイトルは、この作品がNYCBの422番目の新作だった事からきています。


商品情報

特典:Commentary from director Jody Lee Lipes and dancer-choreographer Justin Peck / Creating BALLET 422 / Deleted Scenes / Choreography Sketches Library / Costume Design Gallery / Music, Lighting, and Stage Management Gallery / Trailer

海外|DVD(Magnolia Home Entertainment:0876964008501) Release: 2015/05/26

FORMAT:NTSC / REGION:1
字幕:EN SDH / SP / FR

海外|Blu-ray(Magnolia Home Entertainment:0876964008518) Release: 2015/05/26

字幕:EN SDH / SP / FR

クレジット

Director
Jody Lee Lipes
Producers
Ellen Bar, Anna Rose Holmer
Editor
Saela Davis
Photographers
Jody Lee Lipes, Nick Bentgen

出演
Dancer/Choreographer: Justin Peck
Rehearsal and Performance Pianist: Cameron Grant
Principal Dancers: Tiler Peck / Sterling Hyltin / Amar Ramasar
Ballet Master: Albert Evans
Resident Lighting Director: Mark Stanley
Costume Designers: Reid Bartelme / Harriet Jung
Conductor/Assistant Music Director: Andrews Sill
Director of Costumes: Marc Happel

抜粋収録
  • Glass Pieces - Choreography by Jerome Robbins
  • Pas de la Jolla - Choreography by Justin Peck
  • Concerto DSCH - Alexei Ratmansky

感想

監督のジョディ・リー・ライプスはエレン・バーのご主人で、NYCBとは「NY Export: Opus Jazz」の監督としても関わっています。こちらはただひたすら起こった事を映していくタイプのドキュメンタリー。冒頭にいくつか説明キャプションが入る程度でナレーションもインタビューもありません。ダンサーの足音や遠くに聞こえるおしゃべり、ピアノの音など、その場の「音」を生かした編集がされています。自分がその場にお邪魔して制作過程を見学しているような感覚がありました。

2ヶ月弱で新作というとかなり短いような気がするのですが、制作過程には大きなハプニングはなく淡々と進んでいるように見えました。ジャスティン・ペックはこの時はまだ常任振付家ではありませんでしたが、過去2作NYCBに振り付けた経験があり、全く初心者ではないがベテランでもなく。この時だからこそのやりとりが映画の味になっているように感じます。

同様に、この作品で衣装を手掛けているBartelme & Jungの二人も当時はまだバレエ衣装の経験が少なく(Bartelmeは元々ダンサーだったけど)、彼らが心配しまくってペックやワードローブ部門、そしてダンサーたちにあれこれ確認していく様子も、またこの作品にとってもよい味わいを与えています。出来上がったものはダンサーもペックも満足しているようでした。今はあちこちで引っ張りだこの人気者ですね。余談ですが、ABTの2015年秋シーズン初演のマルセロ・ゴメス振付「AfterEffect」も彼らが衣装を担当していました。


若いダンサーに振付の機会を与えるのはNYCBの素晴らしい伝統の1つなので、スタッフも出演するダンサーたちも、ペックと一緒に作品を作り上げる準備が整っている印象。プリンシパルもオープンで率直だし、リハーサルに同席しているアルバート・エヴァンス(涙…)が要所要所でジャスティンに確認を取ってクリアにしていくのが頼もしい。唯一無二の人。ああ、彼がいないなんて本当に悲しい。映画を観て改めて彼の不在に泣きました。特典映像のカットされたシーンの中に、初演前の舞台袖で、「ものすごく緊張している」というアルバートの後ろ姿がありました。ずっと作品に寄り添ってきたバレエマスターであっても、もうその瞬間は作品に関わる事ができないのですよね…。

ジャスティン・ペックの創作は、舞踊譜とiPhoneやPCを活用する今時のスタイル。タイラーの踊りの完成度が最初から高くて、新作で重用されるのも深く納得でした。映画の中では全く触れられませんが、この新作「Paz de la Jolla」はマルティヌーの「シンフォニエッタ・ラ・ホッジャ(ラ・ホーヤ?)」を使った、1950年代のあの辺りのビーチの雰囲気を描いたものらしく。ペックの出身があの辺りらしいですね。コメンタリーでそんな事を言ってました。

ダンサーとしての彼は最初と最後に登場するだけなので、彼がスーツ姿で自作の世界初演を見て喝采を受けた後に、余韻に浸る間もなく楽屋にダッシュして自分の出番の為にメイクと着替え、ウォームアップをする姿にハっとした位です。

出来上がった作品をこの映画の中でフルに見る事はできませんが、十分の楽しめました。NYCBの新作創作の過程を外部に撮影許可したのは今回が初めてだったそうで、20分ほど作品をジャスティン・ペックとカンパニー(ダンサーと衣装・照明部門)がどのように作り上げていくかの一部を垣間見る事ができたのは面白い機会でした。クレジット外でもあちこち「あ、あの人が」という場面が当然あるので、楽しいです。ただし、ピーター・マーティンスは一瞬たりとも出てきません(笑)。


特典映像も大盤振る舞いで、監督とペックのオーディオコメンタリー、映画のメイキング(こちらに、ペックや監督、ダンサーなどのインタビューがあります)、削除されたシーン、振付スケッチ、衣装デザインギャラリー、リハーサルスコア・照明シート・舞台監督のコールシートなど盛りだくさん。特に振付スケッチなどの制作資料はとても興味深いです。鑑賞専門の者には見る機会のないものですから。ピンチアウトしてじっくり見たいー。


Official Trailer