American Masters: American Ballet Theatre at 75 [DVD] [Import]

監督:Ric Burns
出演:ケヴィン・マッケンジー、ジュリー・ケント 他
制作:2015年 / 104分

画像リンク先:amazon.co.jp - 北米版DVD

アメリカン・バレエ・シアターの創立75年を記念してPBSで放映されたドキュメンタリー。バレエの歴史を紐解きながら、ロシアでもヨーロッパでもないアメリカのバレエ・カンパニーとしての歴史を紹介。


商品情報

北米|DVD(PBS:AMMS6803) Release: 2015/07/14

FORMAT:NTSC / REGION:1|英語字幕あり

クレジット

インタビュー (*=archival)

Jennifer Homans Author, Apollo’s Angels: A History of Ballet / Founder and Director, The Center for Ballet and Arts
Kevin McKenzie Artistic Director, ABT 1992-present / Dancer, ABT 1979-1991
Julie Kent Dancer, ABT 1985-2015
Lucia Chase Co-founder, ABT / Director 1940-1980 / Dancer 1940-1960 *
Frederic Franklin Stager/Guest Artist, ABT 1997-2012 / Dancer / Co-founder
Clive Barnes Dance Critic
Donald Saddler Founding member, Dancer, ABT 1940-1947
Alicia Alonso Dancer, ABT 1940-1960
Anna Kisselgoff Dance Critic
Alexei Ratmansky Artist in Residence, ABT 2009-present
Hee Seo Dancer, ABT 2005-present
Gillian Murphy Dancer, ABT 1996-present
Misty Copeland Dancer, ABT 2001-present
Herman Cornejo Dancer, ABT 1999-present
Susan Jaffe Dancer, ABT 1980-2002
Antony Tudor Founding Choreographer, ABT / Associate Director, 1974-1980 / Choreographer emeritus, 1980-1987 *
Marcelo Gomes Dancer, ABT 1997-present
Agnes de Mille Choreographer / Charter member ABT *
Ruth Ann Koesun Dancer, ABT 1946-1969
Lupe Serrano Dancer, ABT 1953-1971

アーカイブ(一部のみ掲載)

Romeo and Juliet

Choreographer – Kenneth MacMillan
Performers – Hee Seo and Cory Stearns

Othello

Choreographer – Lar Lubovitch
Performer – Marcelo Gomes

Swan Lake

Choreographer – Kevin McKenzie
Performers – Isabella Boylston, Gillian Murphy and Hee Seo

Le Spectre de la Rose

Choreographer – Michel Fokine
Performer – Herman Cornejo

Pillar of Fire

Choreographer – Antony Tudor
Performers – Gillian Murphy and Marcelo Gomes

Firebird

Choreographer – Alexei Ratmansky
Performers – Misty Copeland and Herman Cornejo

Don Quixote

staged by Kevin McKenzie and Susan Jones
Performer – Isabella Boylston

Le Corsaire

staged by Anna-Marie Holmes
Performer – Daniil Simkin

The Sleeping Beauty

Choreographer – Kevin McKezie after Marius Petipa
Performer – Misty Copeland (Princess Florine)

Everything Doesn’t Happen at Once

Choreographer – Benjamin Millepied
Performer – Daniil Simkin

Theme and Variations

Choreographer – George Balanchine
Performers – Isabella Boylston and Cory Stearns

The Nutcracker

Choreographer – Alexei Ratmansky
Performer – Gillian Murphy

Les Sylphides

Choreographer – Mikhail Fokine
Performer – Joseph Gorak

Dark Elegies

Choreographer – Antony Tudor
Performers – Julie Kent, Michele Wiles, Paloma Herrera and Isaac Stappas

Rodeo

Choreographer – Agnes de Mille
Performers – Xiomara Reyes, Sascha Radetsky, Kelley Boyd, and Jared Matthews

Fancy Free

Choreographer – Jerome Robbins
Performers – Ethan Stiefel, Jose Manuel Carreno, Herman Cornejo, Stella Abrera, and Gillian Murphy

感想

75周年である今年に発表されたドキュメンタリーですが、引用されていたカンパニーの公演や稽古の映像が割と古い(5-10年前くらい?)ものが目に付くせいか最新ドキュメンタリーという感じはあまりなかったです。「Dark Elegies」や「Rodeo」といったABTらしいレパートリーの上演がその頃まで遡るという理由もあるのでしょう。私はその頃のカンパニーに愛着があるので、懐かしい顔ぶれが見られて嬉しかったのですが、ではその頃から現在に至るまでABTに在籍していた輝けるダンサーたちの姿がたっぷり見られるかというとそういう事でもなく。ニーナもマラーホフもボッカもフェリもアンヘルもヴィシニョーワも出てこない。ちょっと淋しい、ですよね。

ところどころにスローモーション込みで挿入されるダンサーたち(ボイルストン/コルネホ/ゴメス/マーフィー/セオ/シムキン/スターンズ/コープランド/ゴラック)が踊る映像は、2013年にKaatsbaan International Dance Centerで収録したそうで、見た感じダンサーが踊る映像としてはこのあたりが一番新しい映像かな。上のアーカイブリストの「Les Sylphides」までがそれに該当。


さて、このドキュメンタリー。ABTの前進であるモルドキン・バレエから現代までの流れを紹介する訳ですが、ルシア・チェイスその人と彼女の時代とに多く時間を割かれていました。それと、ABTをABTたらしめる重要な振付家として挙げられたアグネス・デ・ミル、アントニー・チューダー、ジェローム・ロビンズ、ジョージ・バランシン。

バリシニコフとその時代については、彼が踊る映像はあるものの本人のインタビューはアーカイブすらも収録されておらず…ジュリー・ケント、スーザン・ジャフィ、ケヴィン・マッケンジーという当時在籍していた人たちの話は興味深く、その時代を経験した人ならではの重みがあったけれど。アメリカのみならず世界のバレエの中心と言ってもいい位のスーパースターが集まった時代だったのだから、もっと関係者の話も聞きたかったし時間を割いてもよかったのではと思ってしまいます。そういう証言を残しておくべきタイミングですよね。。マッケンジー時代については具体的に彼の手腕を述べるのではなく、ダンサーたちを指導する様子を見せる程度にとどめていました。

ドキュメンタリー全体のラインを描いてみせたのは「Apollo’s Angels」の著者 Jennifer Homans だったでしょう。でも、29年間をカンパニーと共に過ごしたジュリーの言葉こそが強く強く、私の心に残りました。ルシア・チェイスの事、ミーシャがいる事によってカンパニーのレベルがぐんと上がったこと、マカロワ版「ラ・バヤデール」主演の際、楽屋にマカロワが届けてくれたメッセージの事。

Jennifer Homansはその著書の中で「After years of trying to convince myself otherwise, I now feel sure that ballet is dying.」とちょっと有名になってしまった一文を書いています。このドキュメンタリーの中で、アレクセイ・ラトマンスキーが「(そういう話を聞いた事があるけれど)そうは思えない」と言っていたのも印象的でした。


上の方に記載の通りインタビュイーも多いですし、2007年のパリ公演(時のクラスレッスン)と2010年のキューバ公演(公演映像あり)、過去の890ブロードウェイスタジオでのリハーサルや舞台映像や歴史的アーカイブも多く使われています。イーサンは、ジリアンとの黒鳥pddリハーサル、ジュリーとの眠れる森の美女pddリハーサル、「ファンシー・フリー」舞台映像、それとキューバ公演も「ファンシー・フリー」の衣装でちらほら。

2007年パリのクラスレッスンはウェス・チャップマンの指導でジュリー、サラ・レーン、サシャ・ラデッキー、ゴメスあたりはわかりました。2010年キューバ公演はアリシア・アロンソの90歳記念で第22回インターナショナル・バレエ・フェスティバルに招聘されたもので、「テーマとヴァリエーション」「セブン・ソナタ」「ファンシー・フリー」と「海賊」PDT/「ディアナとアクティオン」PDDを日替わりで上演。舞台袖で他のダンサーの踊りを見守る軍団がgood vibesな感じで特にホールバーグが(登場時間は短いながら)目立っていたなぁ。彼は初日が「セブン・ソナタ」、2日目が役デビューのボイルストンと一緒にT&V、だったようです。前者の方は少し踊りも見られます。パロマはほんのちらっと、レイエスとカレーニョはキューバだけに少しは目立っていた感じ。

2007年にマカロワが「ラ・バヤデール」のShadesの指導をする映像もあったのですが、ボイルストンもソ・ヒも、まだ影たちの中に。「緑のテーブル」のDeathが踊るところもあったけど、あれはホールバーグだったのかスタッパスだったのか…あのメイクだと判別できないわー。