noimage

出演:牧阿佐美バレエ団、Noism1、下村由理恵バレエアンサンブル、新国立劇場バレエ
収録:2015年3月28日 NHKホール / 150分

録画

毎年の行事として定着してきたかな、という「NHKバレエの饗宴」。公演から1ヶ月も経たずに地上波で放映してくれるのもありがたいことです。


クレジット

指揮
園田隆一郎
演奏
東京フィルハーモニー交響楽団

演目

オープニング(バレエ音楽「ガイーヌ」から絨毯の刺しゅうの場面)

音楽:アラム・ハチャトゥリアン Aram Khachaturian

「パキータ」牧阿佐美バレヱ団

振付:マリウス・プティパ Marius Petipa
改訂振付:アレクサンドラ・ダニロワ Alexandra Danilova / 牧阿佐美
音楽:レオン・ミンクス Leon Minkus

プリンシパル:青山季可 / 菊地研
パ・ド・トロワ:織山万梨子 / 米澤真弓 / 清瀧千晴
ヴァリエーション:伊藤友季子
小橋美矢子 / 笠井裕子 / 日高有梨 / 杉本直央 / 尾形結実 / 茂田絵美子 / 久保茉莉恵 / 中川郁 / 佐藤かんな / 田切眞純美 / 武本真利亜 / 三宅里奈 / 塩澤奈々

「supernova」(新作)Noism1

演出振付:金森穣
音楽:黛敏郎「G線上のアリア」
演奏:渡辺玲子(バイオリン)

井関佐和子 / 亀井彩加 / 角田レオナルド仁 / 簡麟懿 / 石原悠子 / 池ヶ谷奏 / 吉崎裕哉 / 梶田留以 / 佐藤琢哉

「カルメン」から抜粋 下村由理恵バレエアンサンブル

演出・構成・振付:篠原聖一
音楽:ジョルジュ・ビゼー Georges Bizet / ロディオン・シチェドリン Rodion Shchedrin

カルメン:下村由理恵
ホセ:山本隆之(ゲスト)
スニーガ:森田健太郎(ゲスト)
金子優 / 大長亜希子 / 平尾麻実 / 南部美和 / 大金歩 / 大山裕子 / 小野田奈緒 / 粕谷麻美 / 呉佳澄 / 佐藤友香 / 柴田由佳 / 谷みきこ / 徳永由貴 / 中村蓉子 / 林直美 / 星野姫 / 八木真梨子 / 渡辺幸

新国立劇場バレエ団 「眠りの森の美女」から第3幕

振付:ウエイン・イーグリング Wayne Eagling
原振付:マリウス・プティパ Marius Petipa
音楽:P.I.チャイコフスキー P.I. Tchaikovsky
編曲:ギャヴィン・サザーランド Gavin Sutherland

オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大
リラの精:寺田亜沙子
国王:貝川鐵夫
王妃:佐々木美緒
式典長カタラビュート:輪島拓也
宝石(ゴールド):奥村康祐
宝石(エメラルド):細田千晶
宝石(サファイア):柴山紗帆
宝石(アメジスト):奥田花純
フロリナ王女:米沢唯
青い鳥:井澤駿
白い猫:原田舞子
長靴を履いた猫:原健太
赤ずきん:広瀬碧
狼:福田紘也
親指トム:八幡顕光
ポロネーズ/マズルカ:玉井るい / 若生愛 / 朝枝尚子 / 木村優子 / 関晶帆 / 成田遥 / 原田有希 / 盆子原美奈 / 小口邦明 / 清水裕三郎 / 田中俊太朗 / 中島駿野 / 林田翔平 / 宝満直也 / 宇賀大将 / 八木進
リラの精たち:今村美由起 / 加藤朋子 / 小村美沙 / 中田実里 / 益田裕子 / 柴田知世

感想

今回は外国からのゲストなしで国内カンパニー四団体による上演。Noism1の作品はNHK側に曲の提案を受けて製作が始まったという新作だそう。今までもそのカンパニーならではの作品が見られるのがいい公演だと思っていたけれど、NHKと出演カンパニーの係わりで生まれてくる作品にワクワクできるなんて頼もしい限り。特色ある公演に育てて下さっている関係者のみなさまに感謝の気持ちでいっぱい。

牧阿佐美バレエ団は「パキータ」を持ってくるところが牧さんらしい。そして、作品全体を通してそのカラーが反映されている印象を受けました。ただ、「パキータ」ならプリンシパルからソリストまで百花繚乱であってほしいけれど、映像で見るとなんだか小さくまとまってしまって面白みに欠けていたような…そしてちょっと古さをも感じてしまいました。

そんな中で別格によかったのは清瀧さん。音楽性、ノーブルさ、隅々まで神経の行き届いた踊りの美しさと技術の高さ、どれをとっても完璧で、見る喜びがありますね。


Noism1は黛敏郎「G線上のアリア」を使った新作。ISSEY MIYAKEの宮前義之さんによる衣装は、頭のてっぺんからつま先まで、まるでネット包帯のように包まれて、顔すら見えないものでした。それでも、中央にに立つ白い衣装は一目で井関さんとわかる。

これは劇場で見たかったなー。舞台の三方を囲んだスクリーンの効果もテレビを通してだと分かりにくいし、この人数で観客を魅了した迫力も身をもって体験したかった。恐らくNoismにしてはバレエの語彙が多めの振りだと思うけれど、全て日本人によるプロダクションのせいなのか、日本の伝統芸能を連想しながら見ていました。緊張感が爆発した最後にたゆたうような井関さんの美しいムーヴメントが忘れられない。


下村由理恵バレエアンサンブル「カルメン」。小柄な下村さんが舞台で放つ圧倒的な存在感、堪能しました。女性群舞の使い方も上手だし、再演を重ねているだけあってダンサーたちがつくる世界観も流石。カルメンが心変わりするエスカミーリョ的な役がいないのは抜粋だからなのか篠原版が元々そうなのかは私にはちょっと分からないのですが、それゆえにいわゆる「カルメン」の登場人物とはひと味違うキャラクターたちになっていたようでした。ホセと上司のスニガの心理的関係も、この版だとかなり複雑なのかも?いつか、抜粋ではなく全編で見たいと熱望しています。

ゲストの山本さんと森田さんも大熱演。目当ての山本さんのホセはたっぷり堪能させていただきました。あざっす。スニガ役の森田さんがホセ役の山本さんををボコボコにするシーンとかも面白かったですよね。ただ、「カルメン(バレエに限定しますが)」をホセの嫉妬と破滅の物語として見てしまう私には、下村さんを美しく魅せるプロダクションである今回の版は少し物足りなさがあって、自分の固定観念こそが残念!てところでした。


新国の「眠れる森の美女」は新制作のイーグリング版の3幕から。豪華な衣装と装置と粒の揃ったダンサーたち。小野さんのオーロラは、この姫なら夫も国も上手くまわしていくだろうという風格も備えた美しい姫君でした。福岡さんも頼もしくて。フロリナ米沢さんの並外れた安定感、八幡さんのこちらを幸せで満たすような踊りも健在。

ご無沙汰すぎてその活躍を目にせぬままにいるダンサーさんたちの踊りを見られたのもよかったです。短いヴァリエーションでは好みのダンサーを見つけるところまではいかなかったけど、また劇場通いに復帰できたら楽しみが沢山ありそう。

フィナーレで小野山本が手を繋ぐところも、ぐっと来ました…。今回出演したカンパニーには牧or牧さんと縁のある人々が点在しているなーと思つつ見始めたのですが、想像以上に各団体の個性が違っていて面白く鑑賞しました。課題のようなものも見えたし、次に繋がる興味もあったし。来年以降この公演がどう発展していくのかが何より楽しみです。