Canada's Royal Winnipeg Ballet / Moulin Rouge: The Ballet

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振付:ジョーデン・モリス
出演:アマンダ・グリーン、クリスティアン・クラーク 他
収録:2009年10月センテニアル・コンサート・ホール / 134分

録画

クラシカ・ジャパンで録画。カナダ・ロイヤル・ウィニペグ・バレエの創立70周年を記念して制作されたこの「ムーラン・ルージュ」は映画館でも公開されて北米で6万人近くの観客を動員したそうです。イントロダクションと休憩時間中のメイキングもありました。


クレジット

振付
ジョーデン・モリス Jordan Morris
装置
アンドリュー・ベック Andrew Beck
衣裳

アン・アーミット Anne Armit
シャノン・ラヴレイス Shannon Lovelace

照明
ピエール・ラヴォワ Pierre Lavoie
ドラマトゥルギー
リック・スキーン Rick Skene
メイクアップ
メリッサ・ギブソン Melissa Gibson
音楽

エディット・ピアフ&ルイ・グリェーミ Edith Piaf & Louis Gugliemi
ユベール・ジロー Hubert Giraud
クロード・ドビュッシー Claude Debussy
エマニュエル・シャブリエ Emmanuel Chabrier
フランツ・レハール Franz Lehar
ジャック・オッフェンバック Jacques Offenbach
ジュール・マスネ Jules Massenet
ジャック・イベール Jacques Ibert
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ Dmitrii Shostakovich
ヨハン・シュトラウス2世 Johann Strauss II
ブルーノ・ケルビーニ&エルド・ディ・ラザロ Bruno Cherubini & Eldo Di Lazzaro
ニーサ&レーディ Nisa and Redi
オラフ・ピッティリク Olaf Pyttlik
アストル・ピアソラ Astor Piazzolla
モーリス・ラヴェル Maurice Ravel
ヨーゼフ・シュトラウス Josef Strauss

映像監督
ピエール&フランソワ・ラムルー Pierre and Francois Lamoureux

キャスト

ナタリー
アマンダ・グリーン Amanda Green
マシュー
クリスティアン・クラーク Christian Clark
トゥールーズ=ロートレック
三野洋祐 Yosuke Mino
ジドラー
アマール・ダリワル Amar Dhaliwal
オラー
ハイメ・ヴァルガス Jaime Vargas
ラ・グリュー(ルイーズ・ウェバー)
ソフィア・リー Sophia Lee
バッタ嬢(La Sauterelle)
エリザベス・ラモン Elizabeth Lamont
タンゴ教師

ジョー=アン・サンダーマイアー Jo-Anne Sundermeier
ドミートリイ・ドヴゴゼレッツ Dmitri Dovgoselets

緑の妖精

ソフィア・リー Sophia Lee
エリザベス・ラモン Elizabeth Lamont
ジョー=アン・サンダーマイアー Jo-Anne Sundermeier


Zidler's "Diamonds"
Yayoi Ban / Sarah Davey / Faimi Deleau / Kira Hoffman / Chenxin Liu / Anna O'Callaghan
Launderettes / Top Hats / Waiters/ Tailors / Tango / Gypsies / Flower Seller / Baker / Street Sweeper / Les Parisiennes
Liam Caines / Tristan Dobrowney / Emily Docherty / Thiago Dos Santos / Alexander Gamayunov / John Kaminski / Chelsey Lindsay / Artjom Maksakov / Eric Nipp / Tarina Paquin / Jesse Potrie / Stephan Possin / Luzemberg Santana / Jennifer Welsman / Jera Walfe

# 役名はクラシカジャパンのものに当方で手を加えています。実在したムーラン・ルージュのダンサーでロートレックの絵のモデルもつとめたラ・グリューはルイーズ・ウェバーの芸名なのですが、La Sauterelleという芸名のダンサーも実在したようですね。日本語ではどのように表記されているのか調べきれず「バッタ嬢」としてみたのですが…

感想

お話は実在する場所と人物を織り込んだオリジナルストーリーで、洗濯女からムーラン・ルージュのダンサーになったナタリーと画家のマシュー、ナタリーに執着するムーラン・ルージュのオーナー(ジドラー)、更にはマシューの友人ロートレック(三野洋祐さん熱演)などもからみ、、というもの。

クラシック・バレエにカンカンやタンゴなども織り交ぜた踊りは賑やかで、展開されるお話は分かりやすい。パリの夜景、キャバレーの華やかさ、美男美女の恋人たちと絵に描いたような悪役、、、バレエは敷居が高いと感じる人でも、劇場や映画館に足を運びやすい作品だと思います。

そしてバレエの熱心なファンならば、かなりクラシックだという印象を持つのではないでしょうか。あちこちのグランドバレエから文脈を少しずつ引用していて、例えば主役の二人の逃避行は「ドン・キホーテ」的にも思えるし、アブサンに酔ったマシューの夢の場があったり…クラシック・チュチュこそ出てこないけれど、クラシック・バレエの様式を踏襲することにこだわっているのかな、と思いました。他にもあちこち「これはあの作品から?」と思えるところがあって、そういう楽しみ方もあるのかな、と。一番直接的なオマージュに思えたのはマスネの音楽でナタリーが踊るところかな、と私は思いましたが実際はどうなのかしら…。


ジョーデン・モリスの振付はたぶん初めて見たと思うのですが、振付もクラシックの語彙にこだわった故に、感情の発露としてのソロは素直すぎるというかお行儀がよすぎるかもしれません。ソロよりペアやショーダンスの振付が面白い印象を受けました。ムーラン・ルージュのスターの座をかけたナタリーとラ・グリューのダンス合戦楽しかったし、タンゴのシーンもかっこよかったし。

音楽はとても映画的。この作品は映画館で上映された際の映像ですからその意味では正に映画、なんですけどね。上手く言えないのですが、音楽がBGMに感じられた(振付と距離があった、というか)事が何度かあって、ストーリーバレエに既存の曲を選ぶのは難しそうだな、と。ははっ、偉そうでスミマセン!オーケストラピットはなかったので音楽は録音のようですが、アコーディオンは生演奏でした。


マシューを演じたクリスティアン・クラークはアトランタ・バレエからのゲストで、自分のカンパニーでもこの役を踊っているとの事。ダンサーたちはみなさん魅力的でしたが、端正な美男美女の主役ペアよりも脇のキャラクターの方が面白く思えるのは振付によるところもあるでしょうか。でも、クラシック・バレエだって脇が個性的な方が面白いですものねー。

そういう意味で、ジドラー役のアマール・ダリワルはお見事でした。彼が踊るところをもう少し観たかったなー。(この映像が彼のカンパニーでの最後の仕事、と幕間のインタビューで言っていて、おそらく他に情熱を注ぎたいものがあったのでしょう、30歳でダンサーは引退しちゃったのだそうです。)そして、ロートレック役三野さんの、柔らくしなやかな踊りもとても印象に残りました。身体能力の高さとエレガンスが同居していて素晴らしい。


なかなか来日してくれないカンパニーですが付属のバレエ学校には日本人留学生も多いでしょうし、カンパニーにも日本人ダンサーは何人も所属されているのですよね。レパートリーもユニークな作品をいろいろお持ちなので、見るチャンスがあるといいのになーと願っています。