A Swan Lake / The Norwegian National Ballet

Swan Lake [DVD] [Import]

振付:アレクサンダー・エクマン
出演:ノルウェー国立バレエ
収録:2014年4月26日 オスロ歌劇場(世界初演) / 本編98分 + 特典15分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外盤DVD

上演前からYTなどを使って新作プロモーションを繰り広げてきた作品の世界初演の舞台。「白鳥」とはいっても非常にオリジナルな世界が繰り広げられています。面白いけど、クラシック・バレエが見たい人向けの作品ではありませんのでご注意を〜。


商品情報

特典映像:Rehearsal Clips

海外|DVD(Arthaus Musik:109323)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2017/02/24

[海外盤] Release: 2017/02/10

海外|DVD(Arthaus Musik/ナクソス ミュージックストア:102195)

FORMAT:NTSC / REGION:0

[国内仕様盤] Release: 2014/10/22

[海外盤] Release: 2014/09/01

海外|Blu-ray(Arthaus Musikナクソス ミュージックストア:108116)

[国内仕様盤] Release: 2014/10/22

[海外盤] Release: 2014/09/01

クレジット

振付・装置
アレクサンダー・エクマン Alexander Ekman
音楽
ミカエル・カールソン Mikael Karlsson
衣装
ヘンリク・ヴィブスコフ Henrik Vibskov
照明
トム・ヴィッシャー Tom Visser
指揮
ペール・クリスチャン・スカルスタード Per Kristian Skalstad
演奏
ノルウェー国立歌劇場管弦楽団 The Norwegian National Opera Orchestra

# 人名表記はクラシカジャパンによる

キャスト

The Artist:Jan Gunnar Roise
The Producer:Fridtjov Saheim
The Ornithologist:Clair Constant
The Diva:Elisabeth Teige
Siegfried:Philip Currell
BBC Birds:Camilla Spidsoe / Yaniv Cohen / Yoshifumi Inao
White Swan:Camilla Spidsoe
Black Swan:Melissa Hough
Solo Men:Yaniv Cohen / Yoshifumi Inao / Aarne Kristian Ruutu
Beach Party Duet:Emma Lloyd / Kaloyan Boyadjlev
Band:Catharina Chen / Lasse Rossing / Berger Iver Ferder

感想

振付家のエクマンは現在30歳。デンマーク・ロイヤル→クルベリ・バレエ→NDT2とキャリアを積み振付を始めた人だそうで、彼にとって初の全幕もの物語バレエ、だそうです。え、これ物語バレエ。。。かなぁ(笑)。上演しているのはバレエ団だけど、ソプラノ歌手やミュージシャン、俳優が出てきて台詞があって、ジャンルにとらわれないパフォーミングアーツではないかと。音楽はチャイコフスキーのオリジナルをモチーフにしたオリジナルです。

コミックショー的な笑いあり、悪趣味あり、はっとするような美しさありで、私はエンタテインメントとして面白く観ました。この作品より踊りがしっかり入っていても「ふざけた作品だー」と思うものだってあるのに、この作品に対しては不思議とネガティブな印象がありません。もちろん、事前にトレイラーである程度の予想がついていたせいもあると思います。でも、たぶんね、ごまかしや悪意がないのだと思います。粒ぞろいのスタッフがお金も手間も掛けて作った本気のお遊び、とでも言うか。

2幕の水の張られた舞台、ミカエル・カールソンの音楽、ヘンリク・ヴィブスコフによる衣装といった話題性もあるし、非常に大規模でお金のかかったプロダクションでもありますから、映像購入はともかく、一度くらいは見てもいいんじゃないかなー。がっつり踊る場面の比率が高いとはいえないけどダンサーの身体能力あってこその作品で、実際ダンスシーンは見応えあります。このダンスシークエンスをもっと観たい!と思うところもいくつかあって、そこには必ず稲尾芳文さんのお姿があるのでした。


作品は3幕仕立て(2幕から休憩なく続く3幕はあっという間に終了)。それぞれ Act1: 1877 (more or less) / Act2: 137 years later / Act3: 427 years later と、一応年代区切りになっています。エクマンのインタビューでは1幕から順に A Play / A Lake / A Future と紹介しているものもあって、後者の方が分かりやすいように思います。

1幕の1877年というのは大失敗したという「白鳥の湖」初演の年で、「失敗しちゃった『白鳥の湖』、こんな風に作ってたら笑えるよね」って感じかしら。more or lessの範囲がすごい広くて(笑)、テレビと電話があるセットだったり。「A Play」の通り、演劇とコント?とコンテンポラリーダンスのミックス。

第2幕と第3幕は、それぞれの時代に「白鳥の湖」を作るならば、、って事なのかな。それぞれの幕は独立していて関連性なし。3幕は本当に短いおまけ的なものですが、2幕にもストーリーはなく、水を使って遊ぶ遊ぶ。この水の場面は創作までに困難も多かったようですが、派手に水しぶきが上がっているのに、ピットにいるオーケストラの楽器には水がかからないようになっているようです。ジャケット写真の通り白鳥と黒鳥が出てきて王子もロットバルトも介在させずに対峙するのは「そうこなくっちゃね」と思うけれど、ここにもストーリーらしきものはなし。


私がまず気に入ったのは視覚的な部分で1幕の衣装の色合い。下に張ったトレイラー動画でも見られますが、出演者たちが身につけた様々な形のスーツの、ベージュからピンクまでありとあらゆる濃淡がかなり好きでした。プロデューサーやアーティストのデスクや電話、ソファにテレビまでベージュピンクというのかな、そういう色合いで。装置もエクマンが担当したそうですが、装置の一部が昇降して場面が切り替わる事で踊るスペースが広くなるのも面白い。

2幕は舞台に水を薄く張ったプールが出現してその中でパフォーマンスが繰り広げられるのですが、ダンサーたちが立てる水しぶきが照明によってキラキラと浮かび上がるのが美しかったです。バレエの場合、ダンサーたちのアームスの動きがその周辺の空気まで震わせるように感じる事がありますよね。それを水しぶきで視覚化したみたい、ってちょっと思いました。もちろん水しぶきだから空気を震わせるというより切り裂いていく感じなのですが、でも訓練されたダンサーが考えられたムーヴメントで効果的に飛ばす水滴ですから、それはそれは綺麗でしたの。


細かい部分についてはほとんど触れていませんがあちこち面白いので、機会があったらご覧になってみてくださいね。ダンサーでは前述の稲尾芳文さんがキーパーソン。あと日本人では松井学郎さんもご活躍。ダニエル・プロイエットも割と目立っていましたね。ダニー・ティドウェルの姿が久しぶりに見られるかと目を凝らしていたのですが(笑)エンドクレジットに彼の名前は見当たらず。この公演には出演していなかったみたいですね、残念。

俳優さんたちもソプラノ歌手も熱演。台詞は英語が多かったですが、ノルウェー語も入っていたと思います。字幕はありません。俳優さんたちに限らず笑わせるにしても何にしても間が絶妙で、こういうのって世界共通なのだなぁ、と。

観客も凄い盛り上がり。カーテンコールは拍手やブラヴォだけでなくヒューヒュー言ってました。その割に観客席はほとんど映らないのですけれど。割と最近できた現代的で美しい外観をもつ国立のオペラハウスで、若い才能によって作られたこういう作品を上演して、観客も大いに盛り上がるっていうのはいいなあ。

そういえばカーテンコール、世界初演なのに振付家もスタッフも挨拶に出てこないのが不思議だったのですが、どうやらここは別の日に撮ったのかな。YTで世界初演初日のカーテンコールを客席から撮影した動画を見ることができたのですが、そちらにはエクマンも他の制作陣の方々も出てきて挨拶していました。エクマンがぴょんぴょん跳ねながら1人1人袖に呼びに行く様子が可愛かったー。あと、これはDVD/Blu-ray映像でも確認できますが、指揮者のスカルスタードさんが長靴姿で舞台に登場されるのもちょっと可笑しい(ステージ上は水が張ってありますからね)。

特典映像として収められているのは、カンパニーのYTチャンネルにあがっている予告編メイキング動画たちでした。

なお、念のため付け加えておきますが、このカンパニーはプティパ/イワノフを元にしたアンナ・マリー・ホルムズ版の「白鳥の湖」もレパートリーになっているようです。俳優とか歌手をアサインしなければいけない分、エクマン版の方が上演のハードルは高そうだけど、ずいぶん評判になったらしく(初演10公演はソールドアウト)再演を望む声も多いようです。

Official Trailer


この記事の更新履歴

  • 2018.08.04 - トレイラー、リンク切れにつき貼りなおしました
  • 2018.01.15 - HMV & BOOKS online 店名変更による差し替え
  • 2017.01.27 - 2017年2月リリース Arthaus Musik廉価盤(The Art of Eleganceシリーズ)情報追加
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