Giselle -The Movie- featuring The Royal New Zealand Ballet

Giselle [FR Import] [DVD]

監督:Toa Fraser
振付:イーサン・スティーフェル、ヨハン・コボー
出演:ジリアン・マーフィー
制作:2013年? / 104分

画像リンク先 - amazon.co.uk 仏版DVD

イーサンとコボーが改訂振付をほどこしたRNZBの「ジゼル」映画版をニュージーランドから取り寄せて見ました。PAL方式かつリージョン4なので、日本で見るにはリージョンフリー+PAL再生可能な再生機が必要です。日本版も出て欲しいですよねぇ。
(2016.09.15追記)amazon.co.uk/frで、仏版DVDの扱いがあります。仕様等は不明ですがご参考までに。


商品情報

特典映像:cast and crew interviews, image gallery and the original theatrical trailer

海外|DVD(Rialto:21767022) Release: 2013/12/04

FORMAT:PAL / REGION:4

http://www.mynzballet.org.nz/auxiliary/Reserve.aspx?p=2140
https://www.mightyape.co.nz/product/Giselle-The-Movie/21767022

仏版|DVD(メーカー等不明)

クレジット

監督
Toa Fraser
Producer
Matthew Metcalfe
Director of Photography
Leon Narbey
Line Producer
Catherine Madigan
Editor
Dan Kircher

音楽
アドルフ・アダン Adolphe Adam
演出・改訂振付

イーサン・スティーフェル Ethan Stiefel
ヨハン・コボー Johan Kobborg

振付
マリウス・プティパ Marius Petipa
装置
Howard C. Jones
衣装
Natalia Stewart
照明
Kendall Smith
指揮
Michael Lloyd
演奏
The Auckland Philharmonia Orchestra

キャスト

Giselle
Gillian Murphy
Albrecht
Qi Huan
Myrtha
Abigail Boyle
Hilarion
Jacob Chown
Wilfrid
Maclean Hopper
Wedding Lady / Moyna
Lucy Green
Wedding Man
Medhi Angot
Berthe
Lucy Balfour
Bathilde
Clytie Campbell
The Duke
Sir Jon Trimmer
Riding Master
Brendan Bradshaw
Zulma
Mayu Tanigaito

感想

劇場上演をメインにしつつも他の要素を入れ込んだ映画版「ジゼル」です。んーと、二重の入れ子構造になっている、、のかなぁ。「ジゼル」の舞台上演がベースにあり、ジリアンとQiさんという主演の二人がオフステージも恋人でありながらNYと上海という距離に隔てられる悲恋があり、そして(舞台版の演出とも関係するのですが)年齢を重ねたアルブレヒトが回想し、、という。ちょっと分かりにくいのですけどね…特にこのバージョンの演出を知らずに見ているから。

オープニングから幕間を含むところどころに挿入されるオフステージのシーンはイメージビデオ風。正直言って蛇足だと思うけど、この舞台映像を見る為に必要だった「大人の事情」があるならばそれは仕方ない。イーサンが関わってるものを悪く言いたくないし(笑)。ただ、例えば2幕のPDDの一部がスタジオで同シーンを踊る2人に置き換わっていたりするのはやり過ぎかな。特典映像で「ジゼル」舞台映像全編ノーカットで入れてくれたら全て許容できたけれど。(しかし特典映像では、映画制作スタッフとイーサン、ジリアン、Qiさん、アビゲイル・ボイルのインタビューが見られます。)


で、舞台のお話。イーサンとコボーは小規模なカンパニーであるRNZBに合わせた改訂を施していて、コール・ドの人数が少ない分フォーメーションや振付で空間を埋める工夫されていました。これ、小さなカンパニーには大いに上演のヒントになると思います。RNZBは人数は少ないし小柄なダンサーも多いようだけどとてもパワフルでエナジーに溢れていて、とても生き生きしたプロダクションになっていました。ウィリたちも人数少なめながらも統制がとれていて迫力たっぷり。

演出上の特徴はいくつかあるのですが、うまく整合が取れていて感心。さすがアルブレヒトを得意としたイーサンとコボー。細かい部分はブラッシュアップが必要だと思うところもあったけれど、おおむね良いプロダクションといえるのではないかしら。

まずは1幕が村の収穫祭ではなくジゼルの友人カップルの結婚のお祝いになっていること。花嫁がジゼルの家から仕立て上がったウエディングドレスを持って出てくる=お針子で生計を立てているのがわかる、のは「おおっ」と思いました。既存の版で「私はお針子です」というジゼルのマイムはよく見るけれど、それを演出にまで生かしたものは初めて見たように思います。花嫁が台車の上からブーケトスしたものをジゼルが受け取るというのも、巧いと思うし。

あと1つはアルブレヒト。最初の回想シーンからなぜか老けメイクのアルブレヒトのショットが入るのが不思議だったのですが、どうやらこの版、最後に年老いたアルブレヒトがジゼルのお墓を訪れ、ウィリたちが迫ってくるのを両手を広げて待つ(ウィリに殺される事を望んでいるように見える)エンディングっぽいのですよね。実際の舞台では夜明けを迎えて助かった後に老けメイクで登場するまでをどうやって繋ぐのかしら??


他に印象的だったのはクーラント卿とバチルドが粗末な村の椅子やら飲み物やらに怯む様子。お見事な演技力。バチルドは自分の服に興味を持つジゼルがあまりに美しくて自信を失いかけ、早々に立ち去ってしまいます。ということでネックレスのエピソードと「お礼に踊ります」という展開は無し。貴族たちの衣装はモーニングコートにシルクハット、、ヴィクトリア調?

1幕のpddも再構築されていて、パ・ド・サンク?に。ジゼル、アルブレヒト、ヒラリオン、ウェディングカップルと次々に踊るのですが、ヒラリオンとアルブレヒトが張り合う様子などが見もの。ウエディングカップルは小柄な組み合わせでブルノンヴィルっぽい振付。このペア、凄くよかったです。ジゼルの友人達の踊りを見ていると、ジゼルとヒラリオンが属する(村の若い男女の)コミュニティの仲の良さも伝わってくるようです。ヒラリオンも孤立せずちゃんと仲間だしね。


だいぶ長くなりましたが、ダンサーの印象も少し。
ジリアンはABTのプリンシパルでありながら本拠地ではミルタ役にキャストされていて(2015春シーズンでさえも!)、このプロダクションの初演まではジゼルを踊る機会がなかったダンサーです。テクニシャンの印象が強い人ですが、彼女のパーソナリティ同様に芯の通った思慮深いジゼルでした。表面的な造形ではなく一貫して「生きて」いて、丁寧な四肢のコントロールからもジゼルの人柄がにじみ出る様です。彼女がこの役にどれだけ思い入れがあるかが痛いほど伝わってきました。

アルブレヒト役のQiさんはノーブルでテクニシャン。よいダンサーです。2幕のアントルシャとか高くて綺麗でびっくりしました。脚にゴツい筋肉がついているのが惜しい気がするけど、身長も高いよねー。ジリアンのサポート、リフトも軽々。ヒラリオン役のJacob Chownもパワーダンサー。ジゼルとヒラリオンのやりとりを見ていると、アルブレヒトが出現せずともこの2人は一緒になれなかっただろうなという感じではある。彼が踊り殺されていく2幕は大迫力でした。ウィリたちもヒラリオンも凄い。

ウィルフリード役のMaclean Hopperがちょっと面白い存在感。プロフィールの写真を見ると親しみやすい感じの青年なんだけど、ウィルフリードは尊大にも見えるような妖しさもあり。ミルタは長身を生かしたダイナミックな踊りでした。メイクがブラックスワン的なのはどうかなー。ズルマ役の谷垣内まゆさんも美しくコントロールされたソロ。いやはや、魅力的なダンサーの多い事。

でね、実はこれってイーサンも舞台に出てくるのです(笑)。知らなかったので視界に入った時は驚きました。そして笑ってしまったわ。狩りの一行にしれっと混じっているのですもの。


ご参考までにDVDですが、私が見た範囲ではRNZBのオンラインショップとMighty ApeというNZのオンラインショップで買えるのを確認しています。比べてみると後者の方が単価が安かったので、そちらで買いました。送料もNZ$15.00位掛かって、決済はPayPal一択。到着まで1週間ちょっとだったかしら、すぐ届いたという印象でした。

映像の質はそんなによくない印象。我が家のPAL+リーフリの再生機に原因があるかもしれないのでディスクのせいとも言い切れないのですが(他の再生機で確認できないので)、早い動作などはけっこうブレてパリオペの「ジュエルズ」みたいなクオリティだと感じる事も。うちのデッキのせいだといいのですが&綺麗に再生できる国内盤発売を期待。


Official Trailer


この記事の更新履歴

  • 2016-09/15 - 仏版DVDリンク追加