Juliet & Romeo / Royal Swedish Ballet

Juliet & Romeo [DVD] [Import]

振付:マッツ・エック
出演:木田真理子、アンソニー・ロマルジョ 他
収録:2013年 スウェーデン王立歌劇場 / 108分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD

購入してから視聴までの間に、本演目における木田真理子さんの日本人初ブノワ賞受賞というニュースが!日本のワイドショーにエックを踊る木田さんの姿が映るなんて胸アツです。amazonでもこのDVD/Blu-rayがジャンル別売上げトップに。ぜひとも来日公演を実現させていただきたいです。


商品情報

海外|DVD(C Major Entertainmentキングインターナショナル:715608) Release: 2014/03/31

FORMAT:NTSC / REGION:0

海外|Blu-ray(C Major Entertainmentキングインターナショナル:715704) Release: 2014/03/31

クレジット

振付・選曲
マッツ・エック Mats Ek
音楽
P.I. チャイコフスキー P.I. Tchaikovsky
舞台&衣裳
マグダレーナ・オーベリ Magdalena Aberg
照明
リーナス・フェルボム Linus Fellbom
指揮
アレクサンドル・ポリャニチコ Alexander Polianichko
演奏
スウェーデン王立歌劇場管弦楽団 Royal Swedish Orchestra
ソロピアノ
ベンクト=オーケ・ルンディン Bengt-Ake Lundin
映像監督
トーマス・グリム Thomas Grimm

キャスト

ジュリエット
木田真理子 Mariko Kida
ロミオ
アンソニー・ロマルジョ Anthony Lomuljo
アルセン・メーラビャン Arsen Mehrabyan
マリー・リンドクヴィスト Marie Lindqvist
大公
ニクラス・エック Niklas Ek
乳母
アナ・ラグーナ Ana Laguna
マキューシオ
ジェローム・マルシャン Jerome Marchand
ベンヴォーリオ
児玉北斗 Hokuto Kodama
ティボルト
Pascal Jansson
パリス
Oscar Salomonsson
ロザリンダ
ダリア・イワノワ Daria Ivanova
ピーター
Jorgen Stovind

# 人名カナ表記は キングインターナショナルによる

感想

マッツ・エックの全幕バレエとしては17年振りの新作になるのだそうです。エックが選んだチャイコフスキーの音楽をAnders Hogstedtが本作品用に構成。最初は「えーとコレ何の曲だっけ…」と意識が耳に行ってしまったりも。

エックはこの物語にも新しい解釈を加えていて、解説によれば「アラブの春」のモハメド・ブアジジの事件を重ねあわせているとのこと。直接的にそれを連想させる 例えば露天商とか焼身自殺 は出てこないけれど、いつの世の中にもある「1つのきっかけで大きく物事が動く」普遍性(であってほしくないけれど…)があり、「今の物語」の感触がありました。同時代性というのか……。お話の設定自体は時代も場所も特定しないものなので、逆にいつ見ても古びないようにも思われます。


キャピュレット一族には金と力があり、ロミオたちにはそのどちらもない。そして力を持つ者が持たざる者を支配する世界の話、だと思いました。支配する側もがんじがらめだし、支配される側が自由を求めた先は……。暗い背景と可動式の何枚もの壁と照明の印象が、強く抑圧された世界での物語であることを示唆しています。恋人たちのパ・ド・ドゥに登場する印象的なところがラストシーンにリフレインするのも、ずっしり重いです。

ロミジュリにお決まりのいくつもの出来事が省かれて(+新たな視点も挿入されて)いるので初めて見た時はちょっと戸惑いましたが、繰り返し見ているうちにどっぷりハマってしまいました。タイトルが「ジュリエットとロミオ」となっているのはジュリエットの物語だからかなーと思っていたのですが、確かにジュリエットの生命力あふれる様子は大きな魅力だけれど、どの登場人物にもドラマがあって。だからどのキャラクターも人間くさく、そして魅力的に描かれています。


ブノワ賞を受賞した木田真理子さんは、カンパニーの他のダンサーたちに比べると小柄だけれどエネルギーに溢れていて、エックが「ジュリエットは君しかいない」とおっしゃったというのも頷けます。エックは彼女に振り付けるの楽しかっただろうなーと。身体的にも充実した時期にあるように感じられましたし、今この作品に出会えた彼女はダンサー冥利に尽きるだろうと。そして、それを映像で早々に見る事ができる我々も幸せ。でも、できたらこの舞台、日本で見せてほしいです。ぜひとも。

ロミオ役のアンソニー・ロマルジョはロミオのスウィートなところと伸び伸びとしたダンスが魅力的。冒頭の脚をすーっと伸ばすところでKOされてしまいました。あとね、Pascal Janssonというティボルト役のダンサーがめっけもん(笑)。オフィシャルサイトの写真より、映像の彼の方がずっと素敵。どうやら、スウェーデンで舞台版「ダーティ・ダンシング」が上演された際のジョニー役だったらしいのですが、納得の存在感でした。

以前モナコにいた大柄なジェローム・マルシャンがマキューシオで、革パンツにスキンヘッドにタトゥーのアウトロー的なキャラクター。彼と始終つるんではイジられるベンヴォーリオを児玉北斗さんが演じているのですが、身長差がけっこうあると思われるのに踊りの大きさが変わらないのです。マルシャンもダイナミックに踊っているのに、児玉さんの身体の使い方とニュアンスが負けてないの。

ロザリンドが元BBLのダリア・イワノワで、彼女はやっぱり特別なダンサーだと改めて。最初の方にソロが1つあるのですが、それがとても素晴らしかった。ソロの最後、(彼女に想いを寄せていた)ロミオの手とロザリンドの脚が戯れる振付もお見事。

エック版の特徴は書かないように、、と思っていたけど1つだけ。ティボルトとキャピュレット夫人の関係はキャピュレット卿の知るところでもあり、その3人の関係性もまた物語に暗い影を落としています。おそらくジュリエットの母も若い頃に意に染まぬ結婚をしたのでしょうね。この3人の関係性は、パリスとの結婚を決められたジュリエットの将来かもしれない。こういう事を暗に示すプロダクションは他にもあったと思うけど、エック版ははっきり見せています。父役はチューリッヒにいたメグラビヤン。

大公役のニクラス・エックは、人間の哀しみや愚かさを体現。目線をとっても1つの動作をとっても、伝わるものが凄い。そして乳母役のアナ・ラグーナ。彼女はジュリエットの拠り所で、他の版の乳母とは違って最後まで彼女の味方なんだけど、ジュリエットの方が自ら旅立っていくのですよね。そしてとてもインディペンデント。ロミオとタンデムでセグウェイで走り去るところもかっこいいし、ベンヴォーリオとマキューシオ、それに従者のピーターを指一本で翻弄するところも爽快。

そう、この版には乳母の従者ピーターが出てくるんですよね。くすっと笑える部分を担っていて、いい味出してました。他のダンサーたちもエックの振付がよく身体に馴染んでいて、見応え十分です。


この映像は舞台収録ですが、指揮者のピット入りとかカーテンコール、客席の映像などはほぼカットされていて(拍手は入る)、物語に集中する形になっています。1カ所だけ演出上ピットが映るんですけど、それがなかったら不思議な感覚を覚えたかも。

Official Trailer


こちら↓はエックのインタビューですが全編スウェーデン語。。


↓メイキングはスウェーデン語には英語字幕、英語にはスウェーデン語字幕がつきます。これ、BDに収録されるのを期待してたのですが、なかったですね…。


vc