Romeo et Juliette / Ballet de l'Opera national de Paris

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振付:サシャ・ヴァルツ
出演:オーレリ・デュポン、エルヴェ・モロー、ニコラ・ポール 他
収録:2012年5月 パリ・オペラ座 バスティーユ / 107分

録画

NHKプレミアムシアターで放映されたものを録画。すごーく観たかった作品を、オレリーと復帰したエルヴェ・モローという初演キャストで観られて幸せ。


クレジット

音楽
ヘクトール・ベルリオーズ Hector Berlioz
振付
サシャ・ヴァルツ Sasha Waltz
美術

ピア・マイア・シュリーヴァー Pia Maier-Schriever
トーマス・シェンク Thomas Schenk
サシャ・ヴァルツ Sasha Waltz

衣装
ベルント・スコートツィッヒ Bernd Skodzig
照明
デーヴィッド・フィン David Finn
指揮
ヴェロ・パーン Vello Pahn
演奏
パリ・オペラ座管弦楽団 Orchestre de l'Opera national de Paris
合唱
パリ・オペラ座合唱団 Choeur de l'Opera national de Paris
映像
Vincent Bataillon

キャスト

ジュリエット
オーレリ・デュポン Aurelie Dupont
ロメオ
エルヴェ・モロー Herve Moreau
僧ロレンス
ニコラ・ポール Nicolas Paul

メゾ・ソプラノ
ステファニー・ドゥストラック Stephanie D'Oustrac
テノール
ヤン・ブロン Yann Beuron
バス
ニコラ・カヴァリエ Nicolas Cavallier

感想

ベルリオーズ劇的交響曲「ロメオとジュリエット」Op.17を用い、サシャ・ヴァルツがパリ・オペラ座に振り付けたとても美しいバレエ。ベルリオーズの音楽に忠実に、そしてとても繊細につくりあげられています。それゆえに、この劇的交響曲の構成を把握していないと(プロコフィエフを念頭に置いて観てしまうと)物足りなさを感じるかも。その点、NHKの放映では歌詞字幕と章のタイトルが助けになりました(きっと私、ベジャールさんのロミジュリもそんな風に見落としている…改めて観なければ)。

第1部が物語の解説で第2部からが物語。ロミオとジュリエットそして神父以外のお馴染みの役どころも登場はするのだけど、あくまで2人の悲劇のみに焦点があてられています。歌手も大きな位置を占めていて神父役のニコラ・カヴァリエは同じ役のニコラ・ポールとシンクロして踊ったり。出演しているダンサーの数はそう多くないけれど、合唱団も加わりますしオケの編成も大きいので、かなり大がかりな作品でした。


傾斜がある巨大な板が斜めに折りたたまれた形状の装置、それの上の部分が場面によって開いていき、舞台空間を二層にしたり壁になったりとシンプルながら大きな効果をあげていました。中でもバルコニーシーンのラスト、つり上がって斜めになった床の上にいるジュリエットが差し出したつま先を下にいるロミオが触れるシーンは、この作品を象徴する繊細な美しさ。

衣装も白、黒、ベージュ、ゴールド、シルバー、グレー…と少ない色味(でも衣装そのものは数が多くてダンサーたちはかなりお着替えしているよう)。スリップドレスありスーツあり。中でも舞踏会で女性陣が身につけるチュチュが可愛らしかった。メタリックカラーで半径の短いチュチュボン。下のチュールがところどころ色を変えたレイヤードでみっしり半球形についていて、動くと可愛いの。更には照明が舞台に加えるニュアンスがとても美しくて。映像だとその効果の半分も捉えられてはいないかもしれないけれど。


ロミオがエルヴェ・モローでなかったら、ジュリエットがオーレリ・デュポンでなかったら、こんなにも美しい物語にならなかったのではないかしら。繊細で瑞々しくて愛おしい恋人たちに胸が一杯になりました…。モローの夢見がちでロマンティックな佇まいはロミオそのもの。オレリーのジュリエットも真っ直ぐで柔らかくて。

無邪気に踊るジュリエットを外から見つめるロミオ、舞踏会に紛れ込んで晩餐のテーブルで見つめ合う2人、バルコニーシーンで愛を確認しあう恋人たち…。そしてジュリエットの服毒。圧巻は無音の中でロミオが壁に登ってはずり落ち、苦悩の中踊る場面。黒いコートと黒いパンツ、その中に見え隠れする上半身のなまめかしく雄弁な事…息をするのもはばかられる迫力でした。彼の長い四肢と大きな手。

ジュリエットの父と神父によって延々リフトされ続けた末に埋葬されるジュリエット、その墓所にやってくるロミオの嘆き、服毒、ジュリエットの目覚めとほんの一瞬の歓喜。息絶えるロミオ…後を追うジュリエット。そして最後に、ベルリオーズの音楽は両家の和解を用意しています。(同様のシーンを入れたヌレエフ版ロミジュリも、パリ・オペラ座バレエのレパートリーですね)

とても満ち足りた笑顔で観客のアプローズを受けるオーレリとエルヴェの笑顔に胸がいっぱいになりました。私も感謝の気持ちしかありません。見られてよかった。