Giselle / Ballet de l'Opera National de Bordeaux

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振付:シャルル・ジュド
出演:オクサーナ・クチュルク、イーゴリ・イェブラ 他
収録:2011年6月28,29日、7月2日ボルドー大劇場 / 104分

録画

クラシカで録画。冒頭に芸術監督のシャルル・ジュドのコメントが入っていました。この公演は2011年6月に行われたもので、同年3月に起こった東日本大震災のチャリティとしてゲネプロが一般公開、映画館中継されたとの事。


クレジット

振付
シャルル・ジュド Charles Jude
原振付

ジャン・コラリ Jean Coralli
ジュール・ペロー Jules Perrot

音楽
アドルフ・アダン Adolphe Adam
装置
ジュリオ・アキッレ Giulio Achilli
衣裳
フィリップ・ビノ Philippe Binot
照明
フランソワ・サン=シル Francois Sanit-Cyr
指揮
エルマンノ・フローリオ Ermanno Florio
演奏
国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団 Orchestre National Bordeaux Aquitaine
収録監督
ジャン・ペッシ Jean Pecci / リュク・ド・ティエンダ Luc de Tienda

キャスト

ジゼル
オクサーナ・クチュルク Oksana Kucheruk
アルブレヒト
イーゴリ・イェブラ Igor Yebra
ヒラリオン
アルヴァロ・ロドリゲス・ピニェーラ Alvaro Rodriguez Pinera
ウィルフリード
マルク・エマヌエル・ザノリ Marc-Emmanuel Zanoli
ジゼルの母
ロリータ・ルクレック Lolita Lequellec
バチルダ
マリー=リス・ナヴァロ Marie-Lys Navarro
クールラント公
ルドヴィク・デュサルプ Ludovic Dussarps
ミルタ
相澤優美 Yumi Aizawa
2人のウィリ

ローラ・ラヴィス Laure Lavisse
ステファニー・グラヴイ Stephanie Gravouille

感想

ボルドー・バレエといえばシャルル・ジュドが芸術監督で、マールイのクチュルクとミハリョフを気に入って入団させた(最初はレンタルでしたっけ)というエピソード位しか知らないのですが…この映像で見た感じではかなり多国籍なカンパニーという感じですね。日本人もミルタ役の相澤優美さん以外にもいらっしゃるようだし。若いパワーに溢れている印象を受けます。

ジュドの改訂振付は、既存の振付を交通整理してその意味を再定義しているところが特徴でしょうか。マイムなども含めてすごく分かりやすく作っていますし、見慣れた振付の部分であっても、はっと気づきを与えてくれるので新鮮に感じました。あと1幕と2幕に繋がりを作っているも特徴かしら。ベルタがウィリの伝説について語るシーンはくっきり際立たせていました。


クチュルクは今はミハリョフよりイェブラと組む事が多いのでしょうか。久しぶりにミハリョフの踊りも見てみたかったけれど、イェブラの遊び人アルブレヒトもなかなかの見ものでした。クチュルクは野の花じゃなく大輪の花的美人さんだけど、精神的にはまだまだ子供のジゼルという感じ。そうして見るとアルブレヒトも幼い子をからかっているように見えてきて、そういう設定の方が話がしっくりくるなーと思ってしまいました。

ヒラリオンはメイクも手伝ってかかなりの悪役顔(す、すみません…)。ここのヒラリオンが可愛そうなのは、2幕でジゼルのお墓に辿りつけない事なのね…。お墓に行く途中で村の男の子たちに誘われて断っているうちに妖気が漂ってきて逃げ出す事に。アルブレヒトとウィルフリードの主従もまたよし。ウィルフリードもっと映してくれたらよかったのになぁ。他の役も適材適所という印象で、特に1幕は面白かったです。クールラント公が素敵だったわー。


ジュドの交通整理ではっとしたのは、1幕でジゼルが村の友人達にアルブレヒトを紹介して「一緒に踊りましょうよ」って誘うところ。友人達もみんな踊りが好きで、だからアルブレヒトはよい仲間になるといいなと期待して観察している感じがしました。どの版でもアルブレヒトは「いや僕は」言いながらすぐジゼルと踊り始めるし「じゃあ次はあなたが踊って」と言われれば踊ってみせますけれど、この版の(あるいはイェブラの)アルブレヒトは、本当に嬉しそうに踊りまくっちゃう。そういう踊り好きのところが彼らに受け入れられただけに、ジゼルをだましていた事が許せない。そして、1幕のアルブレヒトの踊りと2幕でウィリに踊らされる場面とを対比と感じた事も初めてで、それもはっとしました。

冒頭にジュドも言ってた通りダンサーたちに経験を多く積ませる意味もあるそうで、1幕で村の男女とジゼルがペザント・パ・ド・ドゥはパ・ド・シス(女性4+男性2)に。男性2人のヴァリエーションは流石ヌレエフの薫陶を受けたジュドらしい、と思える振付。


2幕のウィリたちのシーンはちょっと照明が明るすぎる気も。コール・ド・ウィリは18人の踊りもびしっと揃ってくる訳ではなかったのも惜しい。人数の関係か、ウィリたちのフォーメーションも独自なものが多かったかも。ミルタ役は相澤優美さん。最初はちょっと踊りが固かったけれど、怖いミルタでした。

クチュルクは圧倒的な技術で精霊的な部分を表現するタイプではないけれど、あの美しく子供らしい1幕の延長線上にいるジゼル。アルブレヒトのイェブラのサポートが素晴らしくて感心しました。まるでジゼルに守られているのではなくてジゼルを守っているかのよう。鐘が鳴ってウィリたちが去っていく中、ジゼルの腕に抱かれたアルブレヒトが救われた表情になったのも印象的でした。

ただね−。毎度毎度の不満で書くのも嫌になるのですが、ホントにカメラワークどうにかならないんですかと。ジゼルという作品には見るべき勘所がいくつもある訳ですが、それがかなりこぼれてるのにがっかりしました。2幕最初のミルタの踊りだって、ミルタが空間を支配しているところを引きで見たいのに寄るし…。おかげでドラマティックさがいくぶん削がれてしまっている気がします。その点は本当に残念。

でも、この映像が見られた事自体はとても嬉しい事でした。イェブラって興味をひくダンサーですよね。