Cinderella / Birmingham Royal Ballet

Cinderella [DVD] [Import]

振付:デヴィッド・ビントレー
出演:エリーシャ・ウィリス、イアン・マッケイ 他
収録:2010年11月26日 バーミンガム・ヒポドローム / 109分

画像リンク先:amazon.co.jp - 海外盤DVD

2010年のクリスマスシーズンにデヴィッド・ビントレーとバーミンガム・ロイヤル・バレエが新制作した「シンデレラ」。早速DVD/Blu-rayになりました。


商品情報

北米|DVD(Kultur Films:D4712) Release: 2011/04/26

FORMAT:NTSC / REGION:0

北米|Blu-ray(Kultur Films:BD4712) Release: 2011/04/26

FORMAT:NTSC / REGION:0

欧州|DVD(Warner Classics:2564674094) Release: 2011/05/06

FORMAT:NTSC / REGION:0

欧州|Blu-ray(Warner Classics:2564674090) Release: 2011/05/06

クレジット

振付
デヴィッド・ビントレー David Bintley
音楽
セルゲイ・プロコフィエフ Sergei Prokofiev
美術
ジョン・F.マクファーレン John F. MacFarlane
照明
デヴィッド・A. フィン David A. Finn
指揮
コーエン・ケッセルス Koen Kessels
演奏
ロイヤル・バレエ・シンフォニア Royal Ballet Sinfonia

キャスト

Cinderella
エリーシャ・ウィリス Elisha Willis
The Prince
イアン・マッケイ Iain MacKay
Skinny
ゲイリーン・カンマフィールド Gaylene Cummerfield
Dumpy
キャロル・アン・ミラー Carol-Anne Millar
Cinderella's Step-mother
マリオン・テイト Marion Tait
The Fairy Godmother
ビクトリア・マール Victoria Marr

感想

ビントレーのつくる「シンデレラ」に期待に胸を膨らませて視聴。予想を裏切らない、よきプロダクションでした。演出というか物語の流れはアシュトン版を踏襲していると言ってもいいように思います。アシュトンに最大の敬意を払いつつ、振付はより難度をあげ、設定にはビントレーらしいユーモアや説得力を加えていて、笑ったりホロリとしたり忙しい。

ジョン・マクファーレンの美術はロココにゴシックをのせて近未来をブレンドした(?)ような印象。その近未来は、星空やエンディングの背景のイメージや照明から受ける印象かもしれません。新国立劇場が持ってる昔のロイヤルのアシュトン版衣装を最上と思っている私には、時の精たちはもう少しキラキラを抑えた方が好きかなーと思うけれど、舞台を生で見たら印象が違うのかも、という気もします。馬車が動かないのは残念だけれど、四季の精の舞踏会でのチュチュはそれぞれニュアンスの違うダークな色調で美しい細工が施してあってうっとり…という具合に、よい所もあり少々の不満もあり。


ビントレー版の特徴はいろいろあるのですが、一番象徴的なのはガラスの靴の扱いだと思います。もちろん舞踏会で片方落として、それを持って王子がシンデレラ探し、という基本は一緒。ただ、ビントレー版では、ガラスの靴は母の形見として最初からシンデレラの手元にあるのです。とても大切なその靴を誰にも見られないようにこっそり履いて踊った後で、裸足の物乞い(母の精霊=仙女)に食べ物とその靴を与えてしまう。シンデレラの性格を表すこれ以上ない場面ではないでしょうか。

のちに仙女はその靴をシンデレラに返して、彼女はそれを履いて舞踏会に行くわけで、だから舞踏会の後で片方だけ残ったガラスの靴は、彼女にとって母と王子と両方の思い出になるのも切ないです。そして王子一行がもう片方の靴を持って彼女の家にやってくる訳ですが、ビントレー版の王子はシンデレラが靴を落としてみせなくても顔を見ただけでそれが自分の探していた人だと判るのです。それが何より納得できるなー、と。どうして今までこういうバージョンがなかったのかしら。自分が探し求める人が眼の前にいたら、どんな服装だろうとすぐに判るべきですものね。

加えて、大抵はただ「王子」として名前すら与えられていない役に、ビントレーはより人間味を与えていました。シンデレラの家にやってきて義姉たちの顔を見た瞬間に「この家はありえない」って首をふってスグ出ていこうとするのを侍従(かしら、マッケイくんの兄弟、ローリー・マッケイが演じていい味出してます)が「いえ、きちんと計りませんと」みたいに取りなすところとか、みすぼらしい服を着ているシンデレラを見て継母と義姉に怒りを感じたり(シンデレラが取りなすんだけどね)するのも新鮮です。他のキャストだったらどんな風なのか、それもぜひ見てみたくなりました。

逆に、継母・義姉とシンデレラの間には暖かい交流が全くなく虐めるだけ。もちろん彼女たちの見せ場はたっぷりありますけど(ここでもローリー・マッケイ大活躍)、アシュトン版の義姉ってついシンデレラと遊んじゃったりもするし最後には和解もしますよね。でもビントレー版ではあっという間に王子とシンデレラの視界から継母や義姉(と王子のお付きの人たち)は消えちゃうんです。2人だけの世界って事なんだろうけど、あっさりしたものだなぁ、という印象も。

他にも細かい特徴はイロイロと。プロローグが母の葬儀から始まるとか、自宅の台所にいる(1幕と3幕)のシンデレラは裸足で踊るとか。ほうきと踊るシークエンスはビントレーも使っていますが、こちらは暖炉で拾った墨でほうきに目と口を書いて擬人化(ここでニッコリするウィリスが可愛らしい!)。また、舞踏会のファンファーレが鳴って王子が出て来るかとみんな勢揃いして待っているのに誰も出てこなくて、2度目のファンファーレでようやく麗しのマッケイくんが登場、っていうのも何だか楽しかったわ。


だいぶ長くなってしまいましたがあと少しだけ。
エリーシャ・ウィリスのシンデレラは貧しくも心の清い少女そのものでした。美しい衣装で舞踏会に出た時はずっと幸せそうな笑顔なのもよいです。踊りは、私は何となくオーストラリア・バレエのマドレーヌ・イーストーを思い出しました。ウィリスもオーストラリア・バレエ出身だから連想しちゃったのかな。マッケイくんは相変わらず輝ける存在感で私は好きですけど、前回のBRB来日の時に見た時よりはちょっと切れがなくなっているような印象も。

春の精の平田桃子さんのキレキレの踊りも素晴らしかったです。そして、夏の精のジャオ・レイ!やっぱり彼女の踊りはとても好み。前回来日時の「コッペリア」で祈りか何かを踊っていてとても印象に残っているのですが、この踊りも素敵でした。よいダンサーだなー。この収録より後に新国立劇場バレエに移籍した厚地さんも舞踏会で踊っているのが見られます。王子の友人たちもソリストとして大活躍の面々(ジェイミー・ボンド、ジョゼフ・ケイリー、アレクサンダー・キャンベル、マティアス・ディングマン)が出演していますね。


(2012.01.05)BD映像について追記しておきますと、ブレもなく綺麗な映像でした。


この記事の更新履歴

  • 2018.01.15 - HMV & BOOKS online 店名変更による差し替え
  • 2012.01.05 - BD視聴雑記追記
  • 2011.12.01 - Warner UK URL変更
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