Giselle / Het National Ballet
振付:マリウス・プティパ、ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
出演:アンナ・ツィガンコーワ、ジョセフ・ヴァルガ 他
収録:2009年2月 Het Muziektheater / 本編112分+特典43分
画像リンク先:amazon.co.jp - DVD
Rahel Beaujeanとリッカルド・ブスタマンテの追加振付/演出による「ジゼル」。独特の質感のある舞台です。
商品情報
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特典映像:キャスト、スタッフへのインタビュー(字幕:英語)
クレジット
音楽:アドルフ・アダン Adolphe Adam
原振付:マリウス・プティパ Marius Petipa / ジュール・ペロー Jules Perrot / ジャン・コラーリ Jean Coralli
追加振付・演出:Rachel Beaujean / リカルド・ブスタマンテ Ricardo Bustamante
美術:Toer van Schayk
照明:James F. Ingalls
指揮:ボリス・グルージン Boris Gruzin
演奏:オランダ・シンフォニア Holland Symfonia
キャスト
ジゼル:アンナ・ツィガンコーワ Anna Tsygankova
アルブレヒト:ジョセフ・ヴァルガ Jozef Varga
ヒラリオン:Jan Zerer
ミルタ:Igone de Jongh
パ・ド・カトル:Michele Jimenez / Maia Makhateli / Mathieu Gremillet / Arthur Shesterikov
感想
これはとても平均点が高い「ジゼル」映像です。オランダ国立バレエは日本には来てくれないので出演しているダンサーは馴染みの薄い人が多いけれど、レパートリーの充実した大きなカンパニーなのでダンサーの層も厚いし、初演のプロダクションという事で美術も力が入っています。
国内盤が出るかどうかはわからないけど、欧州盤ならリージョン制限もないのでお勧めしたいです。40分もある特典には日本語字幕はつきませんが...。
オランダ国立バレエの元プリンシパル Rachel Beaujeanと元ABTのプリンシパルで現在このカンパニーのバレエマスターのリッカルド・ブスタマンテによる演出/追加振付も悪目立ちせずにオリジナリティを加えていて成功と言えるのでは。改訂した場所全てが分かった訳ではありませんが、パ・ド・カトルのマイヤ・マッカテリが踊ったところや1幕のアルブレヒトのヴァリエーションはアダンの他の作品から持って来た曲みたいですね。2幕のウィリたちの登場シーンなんかも印象的でした。
一番気に入ったのは美術ですね。幕があくと背景は水彩画のように紺の濃淡で描かれた薄曇りの空と山河が目に飛び込んできます。秋の夕暮れを思わせるような暖色系の照明と、背景の暗い色合いの対比が既に悲劇を思わせるようです。第2幕ではその厚い雲の向こうからうっすらと透ける月灯り。衣装は華美ではないけれどしっとりした質感。狩りのご一行が登場するとまるで絵画の世界。オランダの特色がよく出た素晴らしい美術だと思います。
ツィガンコーワはおとなしく病弱なだけのジゼルではなく、内側に激しい情熱を秘めていると感じさせます。視線の強さのせいかな。そして、その情熱を隠すようにアルブレヒトの前で恥じらっている様子から、アルブレヒトとの関係をとても壊れやすいものだと思っているようにも見えました。
ジョセフ・ヴァルガのアルブレヒトは出色の出来。彼は以前チューリヒ・バレエに在籍していて、シュペルリ版「シンデレラ」の継母役も映像で見ているのですが、本当に同じ人ですか?という。親しみやすい風貌なのであまり貴族っぽく見えないかもですが、すごくいいダンサーです。たたずまいは気品にあふれているし、なによりジゼルへの態度が愛情に満ちていて、何でこんな人格者っぽい人が婚約者がいる身でありながらジゼルと...と思ってしまう位。踊りもキレイだしサポートは上手だし音楽的なのもツボでした。アルブレヒトという役に説得力を持たせる演技プランというのは特にないようですが、それでも十分に思える。
彼ら2人よりテクニックやプロポーションが優れたダンサーも演技的に印象的なダンサーもいるとは思うけど、この2人は音楽性まで含めてバランスがよくて、とても自然に役を生きているようでした。見ていて心地がよいの。
ヒラリオンのJan Zererは金髪長身で細身。粗野なイメージはなく、普通に好青年。ただ恋愛経験の少なさからジゼルをひたすらに想う感じ?まだ若いダンサーですが、素材がよいのでカンパニーも期待しているのでしょうね。演技面はちょっぴり物足りない気がするのは濃いヒラリオンがすり込まれているせいもあるかも(笑)。名前を覚えておこうっと、と思いました。
ミルタ役のIgone de Jonghも特典のインタビューを見た感じでは期待の星っぽいですね。強い存在感はミルタ的ではあるものの精霊としては少し強すぎるかしら...。踊りは好みからちょっと外れていましたが、これも若さゆえかも。パ・ド・カトルはマイヤ・マッカテリが素晴らしかったです。彼女はこんなに音楽性豊かだったんだー。うっとりしちゃいました。Arthur Shesterikovも好みの踊り。この子も覚えておこう(笑)。
オランダ国立バレエって容姿に恵まれたダンサーが多いかも。ダンサー個々で見てるとコンテの方が得意そうなコも目に付くのですが、ロシア系の教育を受けたダンサーも多いのでクラシックの見応えがあるのは納得でした。そうそう、バレエ学校の生徒たちから年配の方たちまでが登場するのもバレエ団の歴史や厚みを感じて好印象。
この記事の更新履歴
- 2010.08.02 - 国内盤情報初出
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