- Created: 2008/09/22 13:00
- Last Modified: 2010/08/28
- Category: パリ・オペラ座バレエ
PROUST ou les intermittences du coeur / Ballet de l'Opera de Paris
振付:ローラン・プティ
出演:エルヴェ・モロー、マチュー・ガニオ 他
収録:2007年3月 パリ・オペラ座ガルニエ宮 / 103分
画像リンク先:amazon.co.jp - 海外版DVD
パリ・オペラ座バレエの「プルースト」。マルセイユ・バレエによる映像用に編集したものも役者が揃って面白かったですが、舞台収録を現在のパリオペで、しかも豪華なメンバーで見られる幸せ。
商品情報
- 海外|DVD(Bel Air Classiques:BAC032)FORMAT:NTSC / REGION:0
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クレジット
原作:マルセル・プルースト Marcel Proust「失われた時を求めて」
振付・演出:ローラン・プティ Roland Petit
音楽:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベン Ludwig van Beethoven / クロード・ドビュッシー Claude Debussy / ガブリエル・フォーレ Gabriel Faure / セザール・フランク Cesar Franck / レイナルド・アーン Reynaldo Hahn / カミーユ・サン=サーンス Camille Saint-Saens / リヒャルト・ワーグナー Richard Wagnerより
装置:Bernard Michel
衣装:ルイザ・スピナテッリ Luisa Spinatelli
照明:ジャン=ミッシェル・デジレ Jean-Michel Desire
指揮:コーエン・ケッセルス Koen Kessels
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団 The Paris Opera Orchestra
キャスト
アルベルチーヌ:エレオノーラ・アバニャート Eleonora Abbagnato
若き日のプルースト:エルヴェ・モロー Herve Moreau
モレル:ステファン・ビュヨン Stephane Bullion
シャルリュス男爵:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
サン=ルー:マチュー・ガニオ Mathieu Ganio
感想
プティは文芸ものをバレエ化する手腕も素晴らしい振付家であると思いますが、とりわけこの映像は、パリ・オペラ座の若きダンサーたちが瑞々しい感性によって作品世界に命を吹き込んでいると感じます。1幕のプルーストの天国のイメージの中では全てか若さと美に捧げられているよう。白いパ・ド・ドゥのエッケとデュケンヌの象徴的な美。まわる日傘と伸びやかに踊るフルステー。潮風の中を戯れる少女たち。その中で一際輝くアルベルチーヌに目を留める若きプルースト役のモローの美しい横顔。
時が全てを変えていくのを知っているからこそ、若きプルーストは、せめてアルベルチーヌを閉じ込め、その夢の中に入り込みたいと苦悩したのでしょうか。このパ・ド・ドゥは幾通りかのペアで見たことがありますが、アバニャートの脚はそう能弁ではなかったにもかかわらず、今まで見たどのパ・ド・ドゥよりもドラマティックで2人の心情が伝わってくるものでした。もちろん全幕上演だからという事もあると思いますが...。モローの美しい舞も堪能しました。
2幕はプルーストの地獄のイメージで、「失なわれた時」すなわち歳をとり変化していく事こそが地獄だと思わせる。モレル役のビュヨンの退廃的な美と裸体、シルエットによる男女4人の踊り、サン=ルー役のマチューとビュヨンの対比、どれも眩しい程に若く美しい。それと対比するように登場する老けメイクのルグリにはショックを受ける程です。シャルリュス男爵がどれほど気品のある身のこなしと夜会服で現れたとしても、その場では何の価値もない。モレルと娼婦たちに笑い者にされ、酒場で大柄な若者たちにボコボコにされるこの役をルグリが演じているのを、ある種の感慨を持って見たのは私だけではないのでは...。
音楽もまた美しい。これだけ様々な作曲家の作品を用いながら、寄せ集めの感じがしない事にも感心します。
この作品は原作ものではあるのですが、プティは作品丸ごとをバレエに置き換えている訳ではないので、登場人物の事がある程度分かればそれで十分という気がします。webでもいたるところにキャラクターやあらすじ紹介は見つけられますしね。私はマルセイユ・バレエの映像を見た時に興味を持って、鈴木道彦 抄訳版を読みましたけれど、やっぱりパリ・オペラ座バレエのこの映像はとても瑞々しくて、原作もののバレエ化という以上に、プティからパリ・オペラ座へ、パリ・オペラ座からプティへ、そして振付家とカンパニーから観客へという素晴らしい贈り物としての価値があると思うのです。
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