Sleeping Beauty / New National TheaterBallet, Tokyo

noimage

振付:コンスタンティン・セルゲイエフ
出演:吉田都、熊川哲也
収録:1997年10月 新国立劇場オペラ劇場 / 146分
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s1/s1.html

録画

1997年に開場した新国立劇場バレエのこけら落とし公演「眠れる森の美女」(NHK芸術劇場)の録画を見せていただきました。


クレジット

作曲
P.I.チャイコフスキー P.I. Tchaikovsky
台本
マリウス・プティパ Marius Petipa / イワン・フセヴォロジスキー Ivan Vsevolozhsky
改訂振付
コンスタンチン・セルゲイエフ Konstantin Sergeyev
演出
オレグ・ヴィノグラードフ Oleg Vinogradov
指揮
ヴィクトル・フェドートフ Victor Fedotov
管弦楽
新星日本交響楽団 Japan Shinsei Symphony Orchestra

キャスト

オーロラ姫:吉田都
デジレ王子:熊川哲也
リラの精:菊地美樹
カラボス:マシモ・アクリ
フロリナ王女:酒井はな
青い鳥:小嶋直也

感想

私は新国立劇場バレエのこのプロダクションがとても好きです。どんどん短くなっていく最近の古典改訂からすれば、長大で古くさく感じる向きもあるでしょうが(鬘も評判悪いし)、1幕でオーロラが踊る後ろから聞こえてくる噴水の水の音が何とも優雅で幸せな気分になります。杮落としにも選ばれた作品だけに新国らしいと思うので、レパートリーからなくなってしまうのはとても残念。

さて、幸運にも見ることができたこの映像は杮落とし記念公演をテレビ放映した際のもの。吉田都さんと熊川哲也さんがゲストで主演し、フロリナと青い鳥が酒井はなさんと小嶋直也さんという豪華版。他にも懐かしい人たちがいたり、今も新国でバリバリ踊っている方たちが脇にいたりと、顔ぶれだけでも見飽きる事がありません。奥田慎也さんの狼役は何度か生で見ていますが、この映像の彼はノリノリでとってもキュート。

主演の2人はパ・ド・ドゥやヴァリエーションなど他に影響のないところはロイヤルの振付で踊っていたようです。2人の主役公演を見るならバージョンはあまり関係ないけれど(むしろ踊り慣れたものを見られる方がよいかも)、新国立劇場の杮落としの劇場中継という意味では少しだけ残念な気も。衣装もロイヤルから持ってきていたので、キーロフの衣装とはテイストが全く違っていました。お2人にはとてもよく似合っていましたが、私はあの3幕のゲスト入場のお出迎えの為だけにガウン姿で登場するキーロフ版が好きなんですよねぇ。

その振付と衣装のせいも多少あるかもしれませんが、この見慣れたキーロフのプロダクションの中で踊る都さんは、ロイヤル仕込みの踊りが際立って見えるようでした。私はメソッドの違いを指摘できるほどよく分かってはいないのですが、やっぱり上半身の使い方が違うのでしょうかねー。踊りは驚く程に軽く、3幕の最後までその軽さが失われる事はありませんでした。何と言っても1幕の16歳のオーロラが愛らしくて都さんによくお似合い。

熊川さんは2幕の狩りの場面ではふて腐れた若者って感じ(笑)。それがオーロラの幻影を見てまっすぐ一本気な青年になる、というか。王子度は少なめでしたが、誠実さがあって好感を持ちました。踊りは申し分なく絶好調だったと思います。3幕のグラン・パ・ド・ドゥでオーロラを片手で抱えてポーズx3するところありますよね、あそこが見た事ないくらい真剣な顔だったのが微笑ましかったです。

カーテンコールで、私は生で演奏を聴く事がかなわなかったフェドートフさんのお姿を見て感涙。初代芸術監督の島田廣さんも舞台に登場して、フェドートフさんとゲストの2人のみならずソリストたちとも1人1人と握手なさる姿にも感涙。晴れやかな笑顔が印象に残りました。

それにしても全くメソッドがバラバラなところで育ってきたダンサーたちを短期間でよくここまで揃えましたね。もちろん最近の新国立劇場に比べれば物足りないところはたくさんありますが、それはイコールこの10年で新国立劇場が積み重ねてきたものなのだと、そういう意味でもちょっと感動しました。貴重な映像を見る機会が与えられた事に、心から感謝。