Dancer / Tetsuya Kumakawa

Dancer [DVD]

出演:熊川哲也, Kバレエ・カンパニー

収録:2008年3月 赤坂ACTシアター(Disc1) / 2枚組 142分(Disc1:75分 + Disc2: 67分)

画像リンク先:amazon.co.jp - DVD

2008年3月に赤坂ACTシアターのプレミアムオープニングとして上演されたKバレエ・カンパニーの「第九」と、この作品で復帰した熊川哲也さんの復帰までのドキュメンタリー「天才ダンサー熊川哲也 ケガからの奇跡の復活」を収録した2枚組DVD。

ドキュメンタリーについては別の記事で紹介していましたが、2枚組でDVD化という事なので、こちらに統合しました。


商品情報

国内|DVD(ポニーキャニオン:PCBX-50845) Release: 2008/08/20

収録

ベートーヴェン「第九」(Disc1)

音楽:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwiv van Beethoven「交響曲 第9番」
演出・振付:熊川哲也
衣装・装置:ヨランダ・ソナベンド Yolanda Sonnabend
衣装・装置補佐:マシュー・ディーリー Matthew Deely
照明:足立恒
指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー

ソプラノ:野田ヒロ子
メゾ・ソプラノ:森山京子
テノール:中鉢聡
バス:久保田真澄
合唱:藤原歌劇団

第1楽章 - 大地の叫び 1st Movement - Cry of the Earth

清水健太

第2楽章 - 海からの創世 2nd Movement - The Creation of the World from Ocean

荒井祐子 / 松岡梨絵 / 東野泰子

第3楽章 - 生命の誕生 3rd Movement - The Birth of Life

浅川紫織 / 宮尾俊太郎
長田佳世 / 遅沢佑介
樋口ゆり / 杜海 Du Hai

第4楽章 - 母なる星 4th Movement - The Mother Planet

熊川哲也
荒井祐子 / 清水健太
東野泰子 / 輪島拓也
宮尾俊太郎 / 遅沢佑介

*エンドクレジットに出演者情報は出てこなかったので、Kバレエ・カンパニーのオフィシャルサイトにアップされている全日のキャストpdfと出演している方々を照らし合わせました。

熊川哲也ケガからの復活 全記録(Disc2)

コメント出演:宮尾俊太郎 / 中村祥子 / アンソニー・ダウエル Anthony Dowell / モニカ・メイスン Monica Mason / 前田真由子(バレエ・ミストレス) / 輪島拓也 / 清水健太 / 荒井祐子 / ヨランダ・ソナベント(美術) / マシュー・ディーリー(美術) / 中鉢聡(テノール)

感想

「第九」はWOWOWで放映されたものを、ドキュメンタリーはTBSで放映されたものを見たので、DVDでは見ていません。「第九」についてはWOWOWで放映された時は熊川さんのインタビューが8分、冒頭についていて、本編と併せて75分。これはDVDの収録分数と一緒です。ドキュメンタリーは地上波で放映された時は61分(CMカット)で、DVDでは67分という事なので、その時に放映されなかったものも含まれていると考えてもいいように思います。

「第九」の映像については、カメラの切替が頻繁すぎたり、別のアングルで見たいなーというものもあったりで、私個人としてはこの撮影効果は苦手な部類でした。画面をじっくり見て何かを確認しようとする度に画面が切り替わるのでじーっと見ていると頭が痛くなる。

しかしながら、作品は十分に面白かったです。
シンフォニック・バレエでありながら、地球の創世というストーリー性を持たせた事がとても良かったのだと思います。「神」が出てくると西洋の(というかキリスト教の)宗教観と八百万の神を信仰する日本古来の価値観とがぶつかってしまうのではと思ったりもしたけど、宗教的なものは排してシンボリックな象徴として神が出てくるので、その辺も上手く折り合っていたのではないでしょうか。(ま、日本人は何でもあり、かもしれないけども)

劇場のオープニング公演という事で求められる祝祭感もあり、更に熊川さん本人の復帰公演としてのお膳立ても整って、きっと劇場は特別な空気が流れていた事でしょう。舞台の上でも、熊川さんのプロデュース能力がいかんなく発揮されていたのと思います。

第1楽章の真っ赤な照明が、映像では見にくいのが難点でしたが、逆にそれが「マグマのほとばしり」的に見えたので面白さに転換する事ができました。第2楽章の海の場面は女性らしい振付で第1楽章の男性ぽさとの対比がよいですね。荒井さんのアレグロの良さに女性らしさが加わっていてとても素敵でした。

第3楽章はカップル3組を配しての生命の誕生。熊川さんが女性に対して持っているロマンチシズムみたいなのが、第2,3楽章からは伝わってくるのがよいですね。この女性3人の中では長田さんが、男性の中ではドゥ・ハイさんが一番好みだと思っていたのですが、浅川さんの表現力と遅沢さんの頼りになるサポート振りが印象に残りました。宮尾さんはこういう作品だと個性が垂れ流されてもったいない気がするなー。彼、王子役より2枚目半くらいのキャラクターを踊らせたら面白いんじゃないだろうか。

第4楽章は曲自体もドラマティックだから盛り上がりますね。遅沢さん(太陽?)と宮尾さん(月?)が踊るところは2人がよく揃っていて感心しました。熊川さんが出てくるところがハイライトで、映像で見ていてもそこで空気がガラっと変わるのがわかる。この楽章の群舞の使われ方(主にフォーメーションと腕の動きで見せる)は私にはあまり面白さがわからなくて、しっかり踊るソリストカップルの東野さん、輪島さん、荒井さん、清水さんの場面がとても好きでした。

男の子が登場したところで、こっそり指折りカウント取っているのがバッチリ映っていましたが(笑)ご愛嬌ですね。このコもいつか素敵なダンサーになるのかしら。


ドキュメンタリーについてはTVで見た範囲になりますが、熊川さんの怪我からのリハビリがメインかと思っていたのですが、スターが出演できないカンパニーの芸術監督の面、ダンサーの指導、新作の振付、、とカメラが追うべき事がたくさん。もはやディレクターとしての彼を切り離す事はできませんね。

一番印象的だったのは「No pain, no gain」の言葉。そう言い切れるようになるまでに、どれだけの痛み、苦しみ、葛藤があったかは想像する事しかできませんが、この時期に彼が怪我で10ヶ月踊れなかった事は確かに彼の実りとなったのでしょう。とにかくまた踊れるようになってよかった。

この10ヶ月間、基本的にはずっと「熊川節」なのですが、怪我直後にTBSで開いた記者会見の時はお顔がむくんでいて痛々しいし、ようやく復帰できる事になった「第九」前のインタビューでは本当にご機嫌で、「人間 熊川哲也」が浮き彫りになっていました。ちょっと親しみが湧いた(笑)。

映像としては、DVD化されたものからだけでなくこの期間に上演された公演やリハの映像も多数引用されていました。それと、BGMにバレエの曲をピアノで奏でたものが多用されていたのが心地よかったです。

この記事の更新履歴

  • 2018.01.15 - HMV & BOOKS online 店名変更による差し替え
  • 2009.12.09 - セブンアンドワイ→セブンネットショッピングに変更
  • 2008.08.11 - DVD情報を追記/DVD収録のドキュメンタリーを統合
  • 2008.06.13 - DVDの仕様変更に伴い、商品情報を削除。
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