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「マリス・リエパ ~栄光と失墜~」(2005)

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出演:マリス・リエパ 他

製作:2005年 / 45分

http://www.umpstudio.com/ru/projects/documentary/show/id/24

録画

コメント

シアテレで録画。『ロシア・バレエの伝説』という4回シリーズの第2回はマリス・リエパ。今までほとんど知らなかった彼の半生を知る上で、とても興味深いものでした。

クレジット

コメント出演:アンドリス・リエパ、イルゼ・リエパ、マーシャ・リエパ、ウラジーミル・ワシーリエフ、ヴィクトール・ヴァリャエフ(友人)、ニーナ・セミゾロワ、インナ・ミラー(友人)

映像

「スパルタクス」クラッスス、「白鳥の湖」、クラスレッスン、「ロミオとジュリエット」など

感想

このドキュメンタリーを見るまでマリス・リエパの人生についてはほとんど何も知りませんでした。彼にアンドリスとイルゼという子供がいて、父と同じくダンサーになった事くらい。

彼は1989年に亡くなっていますから、このドキュメンタリーは近親者や友人のコメントと貴重な映像から成り立っています。彼の引退公演が行われた1982年3月28日の半日を軸に、彼の人生を織り込む形で進んで行くのですが、そこに出てくる映像がどれも貴重なものばかり。

このドキュメンタリーで語られるのは、マリス・リエパがいかにボリショイ劇場を愛し渇望し身を捧げていたか。それにもかかわらず、ボリショイ(と当時の文化省)がリエパにどれだけつれなかったか。そして、彼の私生活について。

彼の人生について何も知識がなかっただけに、このドキュメンタリーにはショックを受けました。何故彼の映像やドキュメンタリーが少ないのかは、この映像を見ると察しがつくのですが...それだけに、このドキュメンタリーはとても重要です。本当に何と不運なダンサーでしょう。生まれた時代が違っていたら、、、と思わずにいられません。

ダンサーとしての彼は早くから(特に女性に)人気があり、ずっとボリショイ劇場に憧れていたにもかかわらず、入団できたのは24歳の時。それから20年間に40もの役で1,000回以上踊ったとか。中でも1968年に初演された「スパルタクス」のクラッスス役は彼の最大の当たり役で、1970年にはこの役でレーニン賞も受賞。

しかしながら、その後まもなく、芸術監督グリゴローヴィチと確執の為に徐々に主要な役を割り振られる事がなくなり、1980年に引退勧告。1982年に彼の文化大臣への訴えが通り、引退公演として1度だけボリショイ劇場の舞台に戻りクラッススを踊ったのが彼の最後の舞台でした。

グリゴローヴィチとの確執の他に、ボリショイに3人のリエパがいる事を劇場が快く思わず(当時イルゼは臨時雇用だった)イルゼを正式採用するにはマリスが引退する必要があったとか。また彼のボリショイへの忠誠にかかわらず文化省には(洋服のセンスやセミゾロワと再婚(知らなかった!)した時にイタリア大使公邸で式を挙げた(大使夫人がリエパの大ファンだったそう)などから快く思われてはいなかったようですし、リガ出身である事ももしかしたら不遇の原因の1つであったかもしれません。

私生活では最初の夫人との間にアンドリス(62年生)、イルゼ(63年生)がいますが、1978 or 79年に離婚。セミゾロワとは79年に再婚。しかし、彼が失意の時になぐさめたというボリショイ劇場の衣装係エヴゲーニャとの間にもマーシャ(79年生)が誕生しています。

引退後のマリスはお酒に溺れ、子供をほしがったそうですが、ちょうど大きな役がつくようになったセミゾロワはその決心もできず関係が悪化、最終的にはマーシャの存在が発覚したのが離婚の原因となったようです。セミゾロワの元を離れたマリスは最後にはエヴゲーニャたちと一緒に住むようになりましたが、余裕のある生活ではなかったようです。

字幕がどれだけの事を伝えてくれているかわかりませんが、とても貴重なドキュメンタリーです。このマリス・リエパというダンサーについて、多方面からドキュメント映像が発売される事を願ってやみません。

とても印象に残っているのは、リエパの友人が語ったエピソード。ボリショイを閉め出されてからの事だと思うのですが、リエパの車のトランクに板の切れ端が載っていて、それはボリショイ劇場の舞台の板で改装中に切り取ったものだったとか。自分にとってとても大切なものなので、きちんと飾りたいと言っていたそうです。

また、息子のアンドリスには常に、踊る前にはホックとシューズの縫い目を全て確認しなさいと言っていたそうです。それだけ舞台を神聖視し劇場を愛していた人に対して、時代とはいえ政府とボリショイ劇場(と、グリゴロ)は何と言う仕打ちを...

参考までに、マリス・リエパのプロフィールを。「for Ballet Lovers Only」さんとリエパさんちのオフィシャルサイトです。
http://www.for-ballet-lovers-only.com/Maris10.html
http://www.liepa.ru/eng/family/maris_01.shtml

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