- 2008/05/06 18:00
- Category: ガラ公演

出演:梅若六郎、マイヤ・プリセツカヤ
収録:2008年3月30日 京都 上賀茂神社(賀茂別雷神社)細殿 / 73分
http://www.nhk.or.jp/art/yotei/2006/20080502.html
録画
コメント
3月に上賀茂神社で上演された能楽師 梅若六郎とマイヤ・プリセツカヤのコラボレーションを放映。上演までのドキュメンタリー的映像も一緒に。
クレジット
美術:松永智美
照明:石原直盛
音響:森広樹
企画・製作:西尾智子
演目
バレエ「アヴェ・マイヤ」
振付:モーリス・ベジャール(Maurice Bejart)
バイオリン演奏:中島慎子
出演:マイヤ・プリセツカヤ(Maya Plisetskaya)
リトルエンジェル:井阪友里愛、西尾萌
能・バレエ・舞「ボレロ・幻想桜」
音楽:モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)/構成・演出:梅若 六郎
小鼓:仙波清彦/笛・尺八:竹井誠/大鼓:望月秀幸
出演:マイヤ・プリセツカヤ(バレリーナ)、梅若 六郎(能楽師)、藤間 勘十郎(日本舞踊家)
感想
当日上演された演目だけを見るより、それにかかるドキュメンタリーを一緒に見る事でこの上なく面白いコラボレーションを堪能する事が出来たと思います。何しろ「ボレロ」は本番前に1度即興で合わせただけで、本番も即興で踊られたのですから。
確かにプリセツカヤは「これは即興なので、本番で同じようには踊れません」と言っていました。映像で見た感じだと(庁屋<ちょうのや>でのリハと細殿で客入れしての本番は)もう天地ほどに違うものに見えました。梅若六郎さんがロシアにプリセツカヤを訪ね、その場で2人が即興で踊ったのともまた全然違う。
私が感じたのは、プリセツカヤって本当にサービス精神が旺盛な人だという事。ロシア系のダンサーには大抵そのような感想を持つのですが、彼女は本当にベクトルが「人を喜ばせる事」に向いているの。だからたぶん、ロシアでは一緒に舞う梅若さんが喜ぶように舞い(実際彼女は『あなたの為に踊りました』と言っている)、リハでは梅若さん、藤間勘十郎さん、そして和楽器奏者の方々が喜ぶように舞った。で、本番では(バレリーナ プリセツカヤとして)観客を喜ばせる為に舞ったのだろう、と。
そういう意味で言うならば、梅若六郎さんとプリセツカヤの純度の高いコラボレーションはボリショイ劇場のリハーサル室で踊られた2人のボレロだったのかな、と。本番以外は全編映った訳ではないのですが、このセッションも一緒に見られた事に感謝したくなりました。
勘十郎さんを加えての「ボレロ」は勘十郎さんが蝶、梅若さんが鷹、プリセツカヤが桜というイメージ。それぞれの個性の違いが非常に際立ってユニークでした。場をさらったのはプリセツカヤだと思うけど、圧倒的だったのは梅若さんだったのでは。プリセツカヤの舞は途中、スペイン舞踊風であったり、ベジャールっぽかったり彼女が踊ってきた振付を彷彿させるものがありました。
しかし、何より強く印象を受けたのは梅若六郎その人。今年還暦の梅若さんプリセツカヤが今から10年程前に踊った時の「瀕死の白鳥」を見て、彼女と「ボレロ」で共演する期待を口にするのですが、その目の輝きはまるで少年のよう。プリセツカヤを前にした時にははにかんだ笑顔でいらっしゃるし。
それが、ボリショイ劇場のリハーサル室を借りてお能を舞う時の鋭い眼光。急遽プリセツカヤと舞う事になり、舞い終えた後は「お邪魔にならないかしら」と本当に柔和に、そして思いがけない共演に興奮したようにおっしゃるのです。一つの道を極めた方でいらっしゃるのに、プリセツカヤの前では謙虚で少年のようですらあり。立派な方だと思うのと同時に、こう言っては本当に失礼ですが可愛らしいとすら感じました。
それにしても和楽器を取り入れてのボレロ、とてもユニークでした。奏者の方たちにとってはとても難しい演奏だったに違いないと思うのですが、これは本番では本当に艶やかに激しく盛り上がって素晴らしかったです。
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