- Created: 2007/05/09 22:04|
- Last Modified: 2009/11/17|
Trnulcica(Sleeping Beauty) / Slovensko Narodno Gledalisce Maribor

振付:ディンコ・ボグダニッチ
出演:アレンカ・ラウフェル/アントン・ボゴフ
収録:2004年11月19日 マリボール歌劇場 / 136分
録画
クロアチア・バレエの芸術監督ディンコ・ボグダニッチの振付による「眠れる森の美女」。ボグダニッチはハンブルク・バレエに在籍したこともあるそうで、そのせいか王子がジーンズ姿というノイマイヤー版との共通項も。
クレジット
振付:ディンコ・ボグダニッチ Dinko Bogdanic
音楽:P.I. チャイコフスキー
装置:Dinka Jericevic
衣装:Sasa Olenjuk
指揮:アレクセイ・バクラン Aleksej Baklan
演奏:マリボール歌劇場管弦楽団 Orkester Opere in Baleta SNG Maribor
キャスト
オーロラ姫:アレンカ・ラウフェル Alenka Laufer
デジレ王子:アントン・ボゴフ Anton Bogov
リラの精:クラヴィディーヤ・チェリマギッチ Klavdija Cerimagic
カラボス:ヴァレンティーナ・トゥルク Valentina Turcu
王:Marin Turcu
王妃:Marina Krasnova
式典長:Slavco Stoleski
フロリナ王女と青い鳥:Tijuana Krizman / Matjaz Marin
感想
序曲が終わるといきなり間奏曲の曲でジーンズ姿の青年=デジレとワンピース姿の女性(オーロラ役のラウフェル)のパ・ド・ドゥ。その後、嵐が来て彼女とはぐれてしまうと今度はリラの精が出て来て青年を導く...というオープニング。その後の序幕/1幕は、ジーンズ姿のデジレはリラの精(と、あるいはカラボス)にしか見えない傍観者なのですが、それ以外の設定はオーソドックスな「眠り」とほとんど変わりありません。1幕が終わるまでは、これは「冒頭に出会ったオーロラの”幻”の生い立ちをリラの精がデジレに追体験させてあげているのだ」と理解していたのですが、その後の2幕でチュチュ姿のオーロラ姫の幻とジーンズ王子のパ・ド・ドゥがあったので、その解釈は的外れだったようです。デジレがキスでオーロラ姫を目覚めさせ2人は結婚することになり、従者が「これを着て下さい」と王子衣装を持ってくる。そして3幕は何事もなく結婚式をあげてめでたしめでたし。ええっ、冒頭の彼女を忘れて結婚するのかっ?と驚いていたら、エピローグでリラの精が序幕と同じ場所のベンチで眠るワンピ姿の彼女のところへとデジレを誘い、2人が再会を喜ぶところで幕。
・・・うーん、意欲作かもしれないけど、かなり消化不足を感じるプロダクションです。プロローグとエピローグをそのような演出にした意味がよくわからない。恋人を嵐で見失うわ、迷い込んだ世界でなすすべない様子も何だか間が抜けてるし(これはボゴフの演技力の問題か)、幻影の場で別の女性に一目惚れして何のためらいもなく結婚しちゃうし、オーロラを救出しに行けばカラボスと手下に捕まるし、こんな男には誰も感情移入できないでしょう?(笑) なまじノイマイヤー版に共通項があるだけに、あちらの完成度の高さを思うと、もう少しなんとかならなかったのか、と。スロヴェニア語がわかれば、演目のページから何か読み取る事も出来たのでしょうけど。
衣装は豪華に見えるものが多く、やはりノイマイヤー版に何となく似てるものも見受けられます。よく見比べれば全然違うのかもしれないし、私が勝手に関連付けてるだけかもしれませんけれど。ただ、3幕の白い猫と長靴を履いた猫だけはもう少しお金をかけてあげないとかわいそうだよ〜。顔を塗って猫の顔を描いたメイクは気の毒で....白い猫ちゃんの蛇のようなしっぽもね。
ここのカラボスは大柄な女性ダンサーがポワントを履いて演じています。リラの精も同じく大柄な女性で、2人は共に黒と紫色を使った(デザインはかなり違うが)衣装を着ているので、エネルギーのベクトルこそ善/悪と違うものの、双子のようなライバルのような関係のようで、それはとても面白いと思いました。
そう大きくない規模のカンパニーをフル稼働して作り上げている舞台としては、人数の少なさを上手く演出に繋げているようには感じました。ただ、ダンサーたちはプティパものを踊るには力量が不足している人が多いかなぁ。そういう部分がとてもよくわかる作品ですよね、「眠り」って。オケもけっこうバラついていたし、チャイコフスキーの音楽への尊敬が感じにくい編曲もちょっと納まりが悪く、その点は残念でした。珍しい映像なので、見られた事自体はとてもよかったと思っていますが、せっかくお金と時間をかけた新プロダクション、細部まで詰められればよかったのになー、もったいないなーと思ってしまいました。
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